ロシア:劇場のしおり


旧ブログ名:『サンクト・ペテルブルクからのひとこと日記』■サンクト・ペテルブルクやモスクワを中心に、ロシア各都市の劇場トピックスなどをご紹介しているJIC旅行センターのブログです。
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タグ:マリインスキー劇場 ( 153 ) タグの人気記事

HP更新記録(2018.6.5) :6月モスクワ、ペテルブルク公演予定

6月モスクワの公演予定を作成しました。
6月サンクト・ペテルブルクの公演予定を作成しました。

 6月の公演予定を更新しました。シーズン終盤を迎え、モスクワ・ペテルブルクとも見どころが多いプレイビルです。特にマリインスキー劇場は、5月23日から白夜祭が始まっています。バレエに関しては、定番の古典演目はもちろん同バレエ団が得意としているところです。また、一幕ものなどの小品は現代作品が多いのですが、ショスタコーヴィッチやストラヴィンスキーなどの有名な楽曲が使用されている作品を中心に上演予定です。ロシアでは、基本的にバレエ公演であっても生オーケストラなので、音楽だけでも十分見ごたえ(聞きごたえ?)はあると思います。



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by jicperformingarts | 2018-06-06 00:08 | HP更新記録 | Comments(0)

2018.5.20 マリインスキー・バレエ「バフチサライの泉」

オレーシア・ノヴィコワ
エカテリーナ・コンダウーロワ
ダニーラ・コルスンツェフ
ヤロスラフ・プシコフ

地味に豪華なキャストでありました。
プーシキンの詩が原作のバレエです。ポーランド貴族の娘・マリアは、自分の誕生日の舞踏会の最中、クリミア・タタール軍の侵攻に遭い、家族・友人・婚約者を殺害される。そしてマリア自身は、彼女に一目惚れしたタタールの汗・ギレイに略奪されクリミアまで連れてこられた末、マリアに嫉妬したギレイ汗の第一夫人ザレマに刺されて死んでしまう、という三幕バレエです。
ロシアではどちらかというと子ども向けバレエに分類されていますが、第一幕たっぷり使って観客のポーランド側への感情移入を誘った後に、タタール侵攻で虐殺されたポーランド人の死体の山を舞台中央に作るなど、なかなかえげつない演出もあります。

第一幕は、マリアと婚約者ワツラフの初々しいやりとりから、クラコヴィアクやマズルカなどポーランドの民族舞踊が続きます。二人の青年達による剣を持った踊りなど、勇壮な貴族の踊りもふんだんに盛り込まれ、マリアの父アダム侯も威風堂々と強そうです。マリアにも、可憐で清楚だけではない、気高さを強調したヴァリエーションが宛てられています。ワツラフを踊ったプシコフは、首が長く細く、全体にかなり細身なので、登場の瞬間は大丈夫かと思いましたが、踊りになよなよしたところはなく、第一幕終盤、マリアを城外に逃がすためにタタール兵を斬っていくところも違和感ありませんでした(サポートは若干不安定でしたがまだ若いので御愛嬌)。しかし遂にギレイ汗率いるタタール兵に囲まれ、ワツラフはもはやこれまで、という表情で突撃し、あえなくギレイ汗に刺し殺されてしまいます。そしてギレイ汗はマリアを捕らえ、彼女の顔を隠していたヴェールはぎ取ります。彼女の美貌に釘付けになるギレイ汗と、しばしギレイ汗と対峙したのち絶望の表情で頭を垂れるマリア、で幕が下ります。
第二幕は、汗の帰還を祝うクリミア汗国の後宮が舞台です。ドラマとしては、ザレマが、ギレイ汗の心が既に完全にマリアに持って行かれていることを知り嘆きもだえる所までしか進展しませんので、やや冗長な幕ではありますが、しかし、寵を失ったザレマをあざ笑う第二夫人以下ハレムの女性たち、というこれまたえぐい場面もあります。笑 
後宮の女性たちが、鈴の踊りなどを披露して汗にアピールしますが、汗は完全に上の空です。そんな華やかながらどこか猥雑な後宮の広間に、マリアが引きずり出されます。純白のドレスで、故郷から唯一持ち出せた金の竪琴を抱きしめたマリアの薄幸さ・生気のなさが痛々しいです。その後、必死に汗の寵を取り戻そうとするザレマの踊りが続きますが、当然徒労に終わります。
第三・四幕は、汗に与えられた宮廷の一室で、幸せだったポーランドでの日々の幻に無理矢理浸ろうとするかのように、一人竪琴をかき鳴らし、そして踊るマリアの場面から始まります。第一幕の舞踏会でのソロをなぞる振りが何回も出てきますが、明るい庭園で、家族・友人・婚約者に祝福されて踊った第一幕とは対象的に、ここでは、暗い石造りの部屋で一人ぼっちです。そこへギレイ汗が乱入し、自分の愛を受け入れて欲しいと嘆願しますが、マリアは受け入れるはずもなく、汗は苦悩のまま去って行きます。そしてさらに夜が更けた頃、今度はザレマがマリアの部屋に忍び込み、ギレイ汗を拒んで欲しいと訴えます。拒むもなにも汗は憎い仇、とマリアが混乱状態のところに、ギレイ汗が先ほど訪れた際に忘れていった帽子をザレマが見つけます。(粗筋にははっきり書いてませんが、おそらくマリアが汗の寵を受けたと誤解して)嫉妬に狂ったザレマはマリヤの背中を刺し、マリアは音もなく崩れ落ちて息絶えます。
ザレマはその咎で城壁から突き落とされ処刑され、ギレイ汗の部下ヌラリは、ギレイ汗を鼓舞するために踊るが、ギレイ汗は腑抜けたまま。彼女を偲ぶために作ったバフチサライの泉のほとりで嘆いていると、マリアの幻が現れて消え(ギレイ汗の作った幻なのになお拒否されてるのがなんとも…)、幕となります。

マリア役のノヴィコワは、薄幸な少女をやらせたらマリインスキー随一ではないでしょうか。ギレイ汗への抵抗が甘かったり(パドドゥとして大人しくリフトされているので)、マリアに共感しかねるところもありましたが、男性目線で、可憐なヒロインの究極像を追求した結果がこの演出なのでしょう。ドラマとしてリアリティを追求しにくいので、現代においては多少演技しにくい役ではあると思います。

マリアが、その儚さは反則だろというかおよそ現実感がない役どころなせいもあり、第2幕・第3幕は、コンダウーロワ演じるザレマの方がむしろ主役でした。実際拍手も大きかったです。コンダウーロワは長身のク-ルビューティーですが、悪役をやるほどのどぎつさはなく、かといって庇護欲をそそるような繊細さも今ひとつ、なので、愛する男性の心変わりに悶えて悪あがきする女性、という役どころがよく似合っています。第二幕冒頭の、権勢を誇る第一夫人ぶりから、汗の帰還を知り心をときめかせる様への変化はかわいらしかったです。その後、心ここにあらずな汗にうちのめされつつ、汗の心を取り戻すために渾身の舞いを見せて縋るところでは、長い長い手脚から繰り出されるダイナミックな跳躍から、ザレマの気性の激しさや嘆きの深さが伺えました。第4幕、愛する男性が自分の処刑を命じることへの悲しみは見せつつも、従容と処刑されるところでは、第一夫人としての品格もありました。

何度オペラグラスを覗いても、ギレイ汗がコルスンツェフという確信が持てないのですが、キャスト表にそう書いてあるということはそうなんでしょう。メイクの力恐るべしです。見せ場となるこれというソロはなく、マリヤに拒否され続けるパドドゥがある以外は、ひたすら小娘に鼻毛抜かれた演技をするだけです。とはいえ、演じる人によっては、ギレイ汗は一族郎党皆殺しにしておきながら自分を愛してくれとのたまう無神経な人にしか見えないので、愛する女性の国を滅ぼしてしまったことの悔恨を感じさせる、いい演技だったと思います。

また、「バフチサライの泉」のリハを張り切りすぎて疲れてたから前日19日の「白鳥の湖」の民族舞踊が迫力不足だったのかな~、と思う位、クライマックスのタタールの踊りは群舞の皆さん気迫がこもっていました。ギレイ汗のグレゴリー・ポポフも渾身の跳躍です。


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by jicperformingarts | 2018-05-28 16:11 | 公演の感想(バレエ) | Comments(1)

2018.5.19 マリインスキー・バレエ「白鳥の湖」バトーエワ&パリッシュ

ナデージタ・バトーエワ
ザンダー・パリッシュ

バトーエワは容姿端麗で、全体的なスタイルは悪くないのですが、ため息が漏れるほど美しいポーズを生み出せるほどには熟練されていないのと、キープ力がそこまであるわけではないので、ポーズの一つ一つが流れてしまって、一秒弱でもぴたりと止まって魅せることができません。また、時々ぎょっとするレベルで腕の使い方に難があります。演目が、よりによってアームス(腕)が命の「白鳥の湖」なので、第1幕2場では興が削がれることもありました。マリインスキー比で腕がやや短めとはいえ、手首・指先の使い方次第で、もう少し長く見せられると思うのですが。
という感じで、演目も災いして、純粋にダンスとして見れば褒めるところがあまりない…というのが正直な感想なのですが、けして彼女の舞台が嫌いではないのは、観客に心を開いていて、演技への情熱がストレートに伝わってくるからでしょうか。自分なりに役を練っていることが窺えるソリストはマリインスキーにもいますが、「私のオデット/オディールを観て!」とばかりに客席をしっかり見据える彼女は、特に第3幕の舞踏会の場面でとてもキラキラしていました。『バヤデルカ』のガムザッティも観たことがありますが、その時の婚約式の場面同様、華やかな場面がよくお似合いです。
グランフェッテは、全部シングルでも、後半は上体が倒れてきてスピードも落ち、観ているこっちは手に汗を握る感じでしたが、意地でもダブルのピルエットで締めてきました。回転全般、綺麗な5番で降りてこようという意地は強く感じます。精緻に踊ることを捨てているわけではなさそうですし、負けん気も大変強そうなので、いずれもっと素晴らしいオデットが観られるだろう、と長い目で見守りたいです。

ザンダー・パリッシュは見目麗しく、サポートも上手、ヴァリエーションも品良くこなします。詩的な雰囲気もあり、王子様役が良くお似合いですが、終盤、ロットバルドと闘う所でも迫力ゼロだったりと、バトーエワとは対象的に、演技への情熱は少なくとも私には伝わってきませんでした。

今回、前列に巨大な男性が二人座っており、巨漢の隙間からピンポイントでソリストを追う感じで、カンパニー全体がよく見えなかったのですが(笑)、主役以外では、道化のウラディスラフ・シュマコフが良かったです。手脚が長くラインも綺麗で、道化には少し珍しいタイプですが、パとパの繋ぎがスムーズで、ほほうそこから直接そう繋げますか~、という新鮮さがありました。
そのほか、全体に、舞踏会の場面での民族舞踊が元気がないように見えたのが心配です。



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by jicperformingarts | 2018-05-20 22:57 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

HP更新記録(2018.4.30) :5月モスクワ、ペテルブルク公演予定

5月モスクワの公演予定を作成しました。
5月サンクト・ペテルブルクの公演予定を作成しました。

 既にゴールデンウィークは始まっていますが、5月のモスクワとペテルブルクの公演予定を更新しました。5月はどちらかというとペテルブルクの方が公演予定が盛り上がっています。というより、マリインスキー劇場の公演数が異常です。団員の皆様にはお疲れ様と申し上げるよりありませんが、観客としてはありがたい限りです。



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by jicperformingarts | 2018-05-01 06:41 | HP更新記録 | Comments(0)

2018.3.31 マリインスキー・バレエ『バヤデルカ』

オレーシア・ノヴィコワ
ウラジーミル・シクリャローフ

 3/30サマーラ、4/1ウファの間に(余裕のある方は地図をご覧ください)ペテルブルクを挟むのは馬鹿としか言いようがないのですが、行った価値はありました。

 個人的にノヴィコワが好きなので、眉が濃すぎたり口紅の色がベージュだったりで、メイクがかなりおばさん臭かったのには目をつぶります。
 昔インタビューで、一番上手な群舞になりたいと語っていたような気がしますが、その言葉通り、控えめに、ひっそりと神殿の奥に住まう巫女の風情です。大僧正に言い寄られるところも、嫌悪感というより混乱がまず先に出てきます。特にロシア系だと、これ以上近寄ったら神罰が下りますと言わんばかりに、巫女の高潔さで、大僧正を軽蔑混じりにはねつける演技が王道なのですが、ノヴィコワのニキヤはそこまで強くありません。抱きすくめられて半ばパニックになりつつ、必死に振り切り、震えそうにこっち来ないでオーラを出す感じでしょうか。上司のセクハラ被害に遭う女性社員のようで、妙な生々しさがありました。
 という場面からの、ソロルとの逢引の場面です。前述の通り、かなり内向的なニキヤ像だったのが、ソロルを見つけた瞬間、大きく上体を逸らしてまったり陶酔してから、ソロルに飛び込んでいったので、その豹変ぶりに驚くとともに、彼女にとってソロルがどんな存在だったかが伝わってきます。
 前後しますが、生々しく見えるのは、単に内向的というより、不器用で、感情の起伏を上手くコントロールできなそうな人物描写だったからかもしれません。第1幕2場でガムザッティに腕飾りを与えられそうになるところも、大体のダンサーは、笑顔で固辞するのですが、彼女の場合は本気で困ったような(嫌そうにも見える)顔をしますし、ソロルが愛を誓った相手は自分と主張するところも、必死に自分を奮い立たせるかのようです。例えば、ヴィシニョーワがここで愛される女の輝き全開になるのとは対照的です。

 踊りそのものは堅実に正確です。花籠の踊りの終盤も、音にピッタリはめつつ、ピケとルティレを反復していきます。第3幕のスカーフを掲げての両回転ピルエットも、近年なかなかお目にかかれないレベルで軸があまり崩れません。上体も常に引き上がっていて、第3幕、シクリャローフにサポートされたままルティレで立って、そのまま自立するところは、ただ軸がぶれないだけでなく、本当に宙に浮いているようで、鳥肌が立ちました。
(褒めちぎり過ぎるのも客観性に欠けるかと思うので一点だけ、最後の最後のコーダの、アラベスクのまま後退するところで、一瞬だけ集中が切れたかな~という気はしました。)。
 ただ、間の取り方が独特で、手に独特のニュアンスを持たせつつ(純粋にクラシックの第3幕では控えめです)、物言いたげに指先を見つめる様は、ワガノワ特有の、頭から首・肩の美しいラインと相まって、充分に個性的な演技・踊りです。また、第3幕では、時折うっすらほほえんでいるように見えるのが意外でした。

 ソロルはシクリャローフです。演技自体は王道に勇壮な戦士なのですが、その演技に違和感がありませんでした。彼については柔和な王子様の印象が強く、ソロルはどうなのかなー、と思っていたので意外でした(ファンの方すみません。偏見でした)。爆走からの飛距離ある跳躍など、踊り自体も調子が良さそうです。サポートも安定感も増して、見ていて戦士でした。ソロのフィニッシュで、上体を反りすぎるところは、間延びするので個人的にはやめて欲しいですが。。。

 ガムザッティは、アナスタシア・マトヴィエンコ。特に好きなダンサーではないですが、そのプロ根性は素直に尊敬します。フェッテ前のピルエットで軸が崩れてからの軌道修正力はさすがです。

 第2幕のキャラクター・ダンスの中では、インドの踊りが特に良かったです。オリガ・ベーリクとエニケーエフが、二人とも背中の柔軟性とバネが相まって、圧倒的に迫力満点でした。

 第3幕のトリオは、レナータ・シャキロワ、ヤナ・セリナ、永久メイさん。シャキロワは、ピルエットでぐおんぐおん回ったついでに軸が崩れまくってましたが、それでも手拍子が起こる躍動感です。そもそもこのソロって手拍子起きるもんだっけ?とは思いつつ、第2・3ソロのセリナと永久さんがしっかりまとめてくれたので、秩序は保たれました。笑 
 永久さんは、楚々とした柳のような手足含め、ロシア人の考えるいい意味での「日本美女」の幻想にはまる容姿・踊りなので、今後も期待です。


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by jicperformingarts | 2018-04-04 07:35 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

HP更新記録(2017.12.01) :12月モスクワ、ペテルブルク公演予定

12月モスクワの公演予定を作成しました。
12月ペテルブルクの公演予定を作成しました。

 12月のモスクワ、サンクト・ペテルブルクの公演予定を更新しました。今年も年末年始は公演が盛りだくさんですが、特にペテルブルクでは12月21~24日まで、フィギュアスケートのロシア選手権が開催されますので、そちらも見応えがあるかと思います。



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by jicperformingarts | 2017-12-03 00:19 | HP更新記録 | Comments(0)

HP更新記録(2017.09.30) :10月モスクワ、ペテルブルク公演予定

10月モスクワの公演予定を作成しました。
10月ペテルブルクの公演予定を作成しました。

 ブログに投稿するのを失念しておりましたが、10月のモスクワ、サンクト・ペテルブルクの公演予定を更新しました。本格的にシーズンが始まり、盛りだくさんなプレイビルになっています。マリインスキー劇場では「ニーベルングの指輪」のツィクルス上演も予定されていますので、体力のある方はぜひ挑戦されてはいかがでしょうか。





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by jicperformingarts | 2017-10-08 18:08 | HP更新記録 | Comments(0)

2017.6.23 マリインスキー・バレエ『Le Divertissement du roi/イン・ザ・ナイト/シンフォニー・イン・C』

現代作品によるトリプル・ビルですが、いずれもある意味クラシックより上品な作品です。楽しめた公演でしたが、マリインスキー・バレエの層の薄さが浮き彫りになった公演でもありました。

Le Divertissement du roi
 意味としては「王様のディベルティスマン」ですが、ラモーによる17世紀後半の音楽に乗せて個々の小品がつらつらと続いていく、ルイ14世時代のフランス宮廷の様子を再現したような作品なので、フランス語のままの方が、作品の雰囲気がよく伝わると思います。
冒頭、いきなりスカート姿の王様と4人の貴族(御学友?)が登場し、荘重で美しくはありますが、現代人の目には舞踊的にはかなり物足りない振付で、これが約30分続いたら退屈だな~と思っていたのですが、その後のオランダ風やらゼフュロスやらの踊りでは、優美さの平均値ならパリ・オペラ座の向こうも張れるマリインスキーの男性陣に合った振付けで、見せ場もそれなりにあり、楽しめました。バランシンの「ルビー」のような手をひらひらさせる振りや、脈絡なく登場するカタツムリなど、微妙なやる気のなさがいいアクセントになっています。
 王様役はフィリップ・スチョーピン。跳躍時の姿勢の美しさやプリエのなめらかさなど、そして生まれ持ったお公家っぽさがこの役にとても合っています。そのほか、4人の貴族の中では、アンドレイ・アルセニエフにコンテンポラリーの可能性を感じました(しかし、目立っていたのは若干踊りがこの作品の雰囲気に合ってなかったからでもあるので、一概に褒め言葉とは言えません)。

イン・ザ・ナイト
アナスタシア・マトヴィエンコ&フィリップ・スチョーピン
エカテリーナ・コンダウーロワ&エフゲニー・イワンチェンコ
ヴィクトリア・テリョーシキナ&ユーリ・スメカロフ

 まずスチョーピン、連投お疲れ様です。そして昨日全幕で主要な役を踊ったばかりのイワンチェンコ、スメカロフもお疲れ様です。
 最初のペアについてはみずみずしさがイマイチで、二組目の似たような踊りになってしまっており、しかし二組目のような円熟味もなく…という印象でしたが、ダンサーのせいと言うよりはこんな日程で踊らせた事務局のせいという気がしなくもありません。
 三組目では、テリョーシキナから熱演したい気持ちは伝わってくるのですが、抑制的な振付の中では時に浮いてしまうというか、もう少し水面下での激情を感じさせて欲しいです。

シンフォニー・イン・C
 マリインスキー・バレエのこの作品は大好きです。4組のペアが、それぞれ男女2人ずつを従えて踊ったあと華やかにフィナーレ、という構成です。
 Allegro vivo(オレンジ)はオスモルキナとジュージン。久々に観たオスモルキナですが、持ち前の明るさが健在でうれしいです。そしてエシャペで2番に立ったときの幅がびっくりする位広くて、コンパスの違いを再認識…。
 Adagio(グリーン)はアナスタシア・コレゴワとアンドレイ・イェルマコフ。コレゴワは、マリインスキーにあっては凡庸なソリストという評価にならざるを得ませんが、全幕主演の翌日でもしっかり踊れるスタミナはあるのだなと思いましたし、それゆえ貴重な人材だと思います。
 Allegro vivace(グレイ)はオレーシア・ノヴィコワとエルネスト・ラティポフ。ラティポフも6月20日までモスクワ国際バレエコンクールに出てたのにお疲れ様です。でもノヴィコワのサポートなら、お疲れでもこなせるか~と思うくらい、華麗な音楽をさくさく裁いていくようなノヴィコワの踊りは、自立していてパートナーへの負担も少なそうです。
 もう一度Allegro vivace(ネイビー)で、ナデジタ・ゴンチャルとアレクセイ・ティモフェーエフこのペアだけイマイチでした。この作品、男性ソリストにとってはそこまでの超絶技巧はないので、安心してマリインスキーの男性ソリストの洗練・優美が堪能できるはずなのですが、ティモフェーエフだけ音の遅れや、着地の乱れが目につきました。この曲は、グレイのAllegro vivaceよりも軽やかさが求められるにもかかわらず、なぜズラータ・ヤリニチとニカ・ツィフヴィタリアというアレグロ向きではない二人(役によってはいいダンサーです)で脇を固めたのかなあ…と疑問です。



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by jicperformingarts | 2017-07-03 07:03 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

2017.6.22 マリインスキー劇場『海賊』

アナスタシア・コレゴワ
エフゲニー・イワンチェンコ
ウラジーミル・シクリャロフ
エレーナ・エフセーエワ

 久々に全幕の「海賊」を観ましたが、やっぱり面白いです。個人的には、イワンチェンコが脚の線含め若返っていてびっくりです。1992年ワガノワ卒ということは、現在42歳くらいのはずですが、多少跳躍の高さに衰えはあるもののとても40過ぎには見えません。そして、メドーラを高々と持ち上げるリフトも、全然腕がプルプルしていないのがすごいです。思わずオペラグラスで確認してしまいました。さすが、長年ロパートキナや他の長身のマリインスキーの女性ソリストを持ち上げ続けて何十年怪我なしなだけのことはあります。加えて、若手には出せない海賊の頭領としての貫禄もあります。

 メドーラはコレゴワでしたが、花園の場で、快活な音楽なのにテロ~ンとした踊りなのはいかがなものかと思いましたが、身体の線はきれいです。
 アリ役のシクリャーロフは客席からの歓声がとても大きかったです。ただ、特に空中での回転で軸がぶれがちだったり、そして着地音がとても大きいので、また怪我をするんじゃないかと不安になる踊りです。この役を演じる上では、野性味と従順かつ優秀な部下ぶりのバランスが重要ですが、かなり従順さに偏る印象でした。
 
 ギュリナーラ役はエフセーエワでしたが、動きの一つ一つにいい意味での型があり、日々の研鑽が窺えます。ただ、ミハイロフスキー・バレエ時代の天真爛漫さが失われてしまったようで少し寂しくもあります。これからベテランになる中で、いい意味で肩の力が抜けてくれますように。

 そして、ランケデム役のマクシム・ジュージンがとても良かったです。ディズニーのアニメに出てきそうな軽妙な足取りに、客席からも自然に笑いが出ます。プリエが綺麗なので、一幕のパ・ド・ドゥも軽快です。
 ビルバントはユーリ・スメカロフです。踊りそのもののキレは普通ですが、濃ゆい演技をテクニックの中に織り込むスキルはさすがです。

 オダリスクの三人娘は、ラウラ・フェルナンデス、ヤナ・セリナ、ヴァレリア・マルティニュクでした。フェルナンデスは、ローザンヌ・コンクールでのコンテンポラリーの印象が強かったのですが、要所要所のポーズはクラシックとしても美しく、はつらつとしたいい踊りです。しかし、次のヤナ・セリナの360度いつでも端正な踊りをみると、ベテランはさすがだなと思います。



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by jicperformingarts | 2017-06-29 18:34 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

2017.4.16 マリインスキー・バレエ『フォーキン・プロ』

『ショピニアーナ』
ダリア・パヴレンコ、アナスタシア・マトヴィエンコ、ザンダー・パリッシュ
 10年振り位にパヴレンコを観ましたが、自己陶酔感にびっくりしました。年齢的なものもあってポワントも弱くなってしまいましたが、ロマンティシズム溢れるショパンの音楽を、かなりゆっくりしたテンポで、いい意味でねっとり踊ってくれました。なんというか、むわっとした熟女感があり、シルフィード達を率いる貫禄は十分です。
 ザンダー・パリッシュも、跳躍の時にフリーレッグがぐらんぐらんするのはいかがなものかと思いましたが、細心の注意がうかがえるサポートで、妖精達から歓待されるのも納得の、夢見る詩人の風情です。
 という中、マトヴィエンコは美しいものの、心を閉ざしたような機械的な踊りで残念でした。

『薔薇の精』
ワシリー・トカチェンコ、クセニア・オストレイコフスカヤ
 トカチェンコは勢い余って着地でよろめく時も数回あり、人外の魔性感はありませんでしたが、音楽の華やかさに見合うみごとなバネです。オストレイコフスカヤも、いくつになっても少女のような佇まいで眼福です。

『瀕死の白鳥』
カテリーナ・チェブィキナ
可もなく不可もなくでしょうか。肩が意外と堅かったです。

『シェヘラザード』
ヴィクトリア・テリョーシキナ、ダニラ・コルスンツェフ
 テリョーシキナのゾベイダは、一つ一つのポーズの端正さ、音に合わせてさらに身体のラインを引き絞るところ、そして絶妙な音ハメなど、この役ってダンスそのものでこんなに魅せられるものなんだな~という新鮮な驚きを与えてくれるゾベイダでした。わかりやすい恍惚の表情やクネクネ感はありませんが、宦官から鍵を奪って扉を開けるところは、これは初めての逢瀬じゃないんだろうなあ、と予感させるほど、沸き立つ気持ちが伝わってきます。そして、命を賭けるならこの程度の快楽では足りないとばかりに、金の奴隷や群舞をあおる目力もさすがです。おかげさまであおられた舞台全体が盛り上がりました。
 コルスンツェフは、ゾベイダへの愛というか崇拝に溢れており、こんな純朴な金の奴隷があっていいのだろうか、と途中まで思っていました。が、後半、愛するゾベイダに「もっと踊れるわよね?」とばかりに顔をのぞき込まれ、それに応えようとするかのように踊る姿を見ると、変に魔性の存在ぶるよりも、この人にはこういう金の奴隷の方が合っているなとしっくりきました。1992年バレエ学校卒ということは、とうに40歳を超えているわけですが、主役として舞台を盛り上げる水準のテクニックは保っている一方、体力的にはさすがにそこまで余裕はなくなっているからこそ、渾身!という感じが出ており、「そうまでしてゾベイダの期待に応えたいか~頑張れ~」と応援したい気持ちになりました。


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by jicperformingarts | 2017-04-25 19:26 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)


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ボリショイ・ザール(*マールイ・ザールと共通)

■その他(編集中)
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アレクサンドリンスキー劇場
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ヴォルコフ・ドラマ劇場(ヤロスラヴリ)

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