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ロシア:劇場のしおり


旧ブログ名:『サンクト・ペテルブルクからのひとこと日記』■サンクト・ペテルブルクやモスクワを中心に、ロシア各都市の劇場トピックスなどをご紹介しているJIC旅行センターのブログです。
by jicperformingarts
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タグ:くるみ割り人形 ( 13 ) タグの人気記事

2019.12.29(夜)ミハイロフスキー・バレエ『くるみ割り人形』ヴォロンツォーワ&ラティポフ

アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ
エルネスト・ラティポフ

ナチョ・ドゥアト版です。基本的なテイストは、2019年11月の同バレエ団日本公演の『眠れる森の美女』と同じ、洗練されたネオクラシックです。

冒頭、ナレーションで粗筋紹介と、黒子が操る30cm位の王子・お姫様・くるみ割り人形の人形が登場するところから始まります。王道演出のワイノーネン版と比べ始めるときりがないのでやめますが、特にドロッセルマイヤーの描き方が特徴的でしょうか。フリッツに蹴りは入れるし、ガチで剣を振り回すし…たまに会いに来る謎めいたおじさんというよりは、近所のやんちゃなおじさんみたいです。また、くるみ割り人形が舞台中央でネズミの王様のお腹にブスーっと剣を指し、ピクピクして息絶える所まで描くなど、お子様の教育上どうなんだろうという演出もあります。ネズミの王さまは、中々人間くさく、手下のネズミが取り上げたくるみ割り人形を不味そうに囓りだし、それを必死に奪い返そうとするマーシャというバトルは演劇的にリアルで良かったです。
群舞の見せ場である雪の場の冒頭は、舞台の4隅から各1人ずつ4人が舞台中央にグランジュッテで登場していく王道の振り付けですが(ただしここで出てくるのは8人だけ)、その後はドゥアト版独自のフォーメーションです。群舞の揃った動きを見せるところは、静止して密集した状態のことが多いので、難易度はそう高くないのでしょうか。

第2幕は、ストーリー性はばっさり切り落として、ひたすらダンスが続きます。確かに、そもそもこれ夢なんだし、という設定なので、あれこれ辻褄あわせの小芝居などを入れる必要はないとも言えます。
スペインはタチヤナ・ミリツェワとアンドレイ・カスヤーネンコ。スペインですが、タンゴのようです。踊りに疾走感はなく、大人の男女の余裕を見せる感じでしょうか。
続く東洋の踊りは久々に見たイリーナ・コシェレワ。相変わらず脚はすぱっと軽く上がりますが、音楽に比べて軽々上がり過ぎる気も。しかしドゥアト振り付けにしては意外なことに、フォルムの美しさがあまりありませんでした(二番プリエの多用はドゥアトらしいと言えますが…)。並行して黒子3人が、石見神楽の大蛇みたいな蛇を操って舞台上を練り歩きますが、冒頭と違って舞台がかなり明るいので、文楽とか見慣れている日本人ならともかく、外国人の眼にはどう移るんだろうと思いました。
中国の踊りは、男女2人ずつ4人が、巨大な中国傘の下で踊りますが、大きい跳躍が多用されていて、このテンポの速い音楽にあまり合っていないのでは??と思いました。
トレパック(ロシア)は、水兵さん4人の踊りです。こちらは、音楽と踊りがあっていてよかったです。
フランスは、イリーナ・ジャロフスカヤとパーヴェル・サーヴィン。落ち着いた光沢のあるシャンパンゴールドのチュチュがとても美しく、女性はタンジュから始まり、バレエレッスンのような振り付けです。また、上からしずしずと小さいピンクのハートが多数テトリスみたいに下りてきて、次第に大きなハートを形成していきます。
花のワルツは、カップケーキの装置です。こちらもグランジュテが多いです。ロシア人は割と跳んでナンボなところはありますが、他にも美しく複雑なパは多数あるような。。。衣装や装置などについては、劇場公式サイトに多数写真がありますので、ご興味のある方は覗いてみてください。
グラン・パ・ド・ドゥも、基本クラシックではありますが、例えば、アダージョでプロムナードを繋げていくところは、音楽が盛り上がりに比して、やたら振りがゆっくりなど、作品全体にあまりダイナミズムは感じませんでした。振付家の個性が強すぎるのか、ロシアの個々のダンサーの個性を活かす演出ではないということなのかわかりませんが、とりあえず個々のダンサーの踊りについて書くことがあまりないです。ヴォロンツォーワは、育ちのよいお嬢さん風ですが、いい意味で少女らしさがあり、『眠れる森の美女』よりも、こちらの方がよく似合っています。

ボリショイ・バレエ、モスクワ・クラシック・バレエ、ワガノワ・バレエ学校と立て続けに見てからの感想は、フィギュアスケートで言えばエキシビションのような演出っぽいという印象です。洗練され、趣向も凝らされていて見応えはあり、観客としてはたまに観るとご褒美のように楽しめますが、とはいえ選手(ダンサー)は、エキシビやるために日々鍛錬してるわけではありませんし、こんな上演頻度の高い演目でこの演出はダンサーにとってはどうなのかなあと思いました。



by jicperformingarts | 2020-01-05 10:28 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

2019.12.28(夜)モスクワ・クラシック・バレエ『くるみ割り人形』


ナタリア・オグネワ
アルチョム・ホロシロフ

 工科系の大学内に劇場があり(多分普段はフォーラム会場なのでしょうが)、学生さん達がパンフレットなどを販売し、そして受付で1000ルーブル(≒1700円)で手書きのチケットを買うという公演でした。ロシア、大分ヨーロッパ化したと思っていましたが、まだまだ奥が深いです。

Photo: JIC旅行センター
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 「モスクワ・クラシック・バレエ」は海外向けの名称で、ロシアでは「カサトキナ&ワシリョーフ・バレエ」の名前で呼ばれています。直近では2017年に来日しています。そこまで来日頻度は高くないですが、かつてイレク・ムハメドフやウラジーミル・マラーホフも在籍していた、ロシア国内でも名門のバレエ団です。モスクワの3~4番手とはいえ、ボリショイ・モスクワ音楽劇場に次ぐレベルなので、ダンサーのレベルは高いなと思いました。全体に、男女ともに脚が高くあがるダンサーが多く、そういう振付が好まれているカンパニーでもあるようです。
 
 今回、会場の奥行きが足りなかったせいか、装置はほぼ背景幕のみでしたが、HPを観ると、オリジナルの装置は豪華なようです。
 ウラジーミル・ワシリョーフとナタリア・カサトキナの演出は、古典演出ではありますが、なかなか独自色が強いです。くるみ割り人形が大きめの人形で、ローラン・プティ版の『コッペリア』のように、ドロッセルマイヤーが自らの四肢に括り付けて、二人羽織風に踊ったりします。第一幕の人形も、ハレーキンとコロンビーヌまではまあ普通ですが、その次には、壊れた女性の人形と小熊(巨大ネズミにも見える着ぐるみ)が登場します。また、ネズミの王さまを女性が踊ります(女王様)。手下のネズミたちに担がれながら開脚を変形させていったり、宙を舞うなど、結構音楽に合っていて、これはこれでいいなと思いました。マーシャと王子の関係にしても、ネズミの女王様を撃退したところから、既に恋人同士のような甘やかさがあるのですが、ラストでは、誰設定にしたのかわかりませんが、現実に戻ったマーシャの前に、人間界の青年として王子が現れ幕、ということで、一片の曇りもないハッピーエンドです。
 
マーシャのオグネワは、演出もあるのでしょうが、第一幕は若作りというか、ベテランにミュージカルの子役をさせるような違和感がありましたが、第二幕は、やはりメリハリは付けすぎの感はあるものの、きちんとクラシック・チュチュが似合う踊りです。
 王子は、アルチョム・ホロシロフ。立ち姿はしっかり王子ですが、マネージュなどを存分にできるほど広い舞台ではなく、大技は抑え気味でしたが、特に回転の際に怒り肩気味になるのがなあです。

 そしてドロッセルマイヤーが踊りまくります。アンドレイ・ボリボトは、なんだか北斗の拳に出てきそうなビジュアルで、ポーズなどはかっこいいのですが、アントルッシャが汚いのが残念です。
 また、このバージョンは、フリッツがマーシャと仲良しです。以前モスクワ音楽劇場にいた(現在はボリショイ・バレエの団員リストに名前がありますが)セルゲイ・クジミンが踊っていましたが、舞台が狭いので跳躍の高さでアピール!でしょうか。第二幕のパ・ド・トロワ(フランス)も踊っていました。
 第二幕は、おおむねワイノーネン版準拠でしょうか。雪の精のソリストでも活躍したエカテリーナ・シナンチエワの東洋の踊りも神秘的で良かったです。中国の踊りの男性を踊ったウラジスラフ・ドゥベンコは、荒いですが、荒ぶる感じが新鮮でよかったです。

Photo: JIC旅行センター
大学内での公演でした。本当にここで良いのか…とドキドキしながら向かいました。笑
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by jicperformingarts | 2020-01-04 18:20 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

2019.12.28(昼)ボリショイ・バレエ『くるみ割り人形』オブラスツォーワ&ツヴィルコ

エフゲーニヤ・オブラスツォーワ

イーゴリ・ツヴィルコ

毎年ボリショイ劇場の年末年始は、怒濤の『くるみ割り人形』祭りですが、今年一番観たかった組み合わせで観られて満足です。 

オブラスツォーワはいつまでも少女らしい容姿ですし、演技も辺に若作りして浮くところがなく、第1幕から少女マーシャとして自然です。古典バレエとしての自然な演技と、端正な技術のバランスがよく、いつまででも幸せな気持ちで観ていられます。サポートされている時も、跳んでいる時も、腕が綺麗なのもあるでしょうか。

ツヴィルコは、ピルエットの時のルティレがあまり綺麗ではないですが、どんどん加速して重量感も増していくようなコーダのピルエットはお見事。いい意味で踊りに重みがあり(ジャンプの着地音は小さいです)、この重みが存在感に繋がっています。

 ドロッセルマイヤーは、ヴィタリー・ビクティミロフ。ボリショイのドロッセルマイヤーには、いつも脚さばきの美しさに惚れ惚れされますが、今回は小芝居時の観客へのアピールが強く、舞台の世界と観客の世界を行き来するトリックスター的な存在にふさわしかったです。

 この演目では多数の人形が出てきますが、人形という設定なので、みなさんフレックス(くるぶしを曲げる)のことが多いですが、ボリショイ・バレエの皆さんは、フレックスですら脚が大変長く見えます…。

1幕の人形は、ハレーキンがイワン・ポドドゥーブニャク、コロンビーヌがクセニヤ・アヴェリナで、あまり人形ぶりは強調しない振付です。続くムーア人の人形は、グリゴロヴィチ版では赤い衣装の悪魔の男女で、タチヤナ・チリグーゾワとゲオルギー・グーゼフが踊りました。うーん、ここまで男女で似た動きさせるならもうちょっと揃っていた方が盛り上がるような。

第2幕は、グリゴロヴィッチ版では、男女1名ずつ5組10名で各国の踊りが踊られます。スペインのクセニヤ・ジガンシナはぎゅるぎゅる回ります。軸がゆがんでも回ってるうちにまっすぐに戻ります。

そのほか、ロシアの踊りでは、普段はついつい動きの派手な男性の方に目が行ってしまうのですが、この日ロシアの女性を踊ったアンナ・バルコワは活力に溢れていて、上背があるせいもあるのでしょうが、10名全員で踊るところでも彼女が目立ちます。

葦笛の踊り(フランス)のダリヤ・ホフロワはさすがに上手いです。グリゴロヴィッチ版は、男女同じような振りで踊ることが多いので、女性に高い技術が求められますが、ホフロワにとってはなんてことないようです。お相手のアルトゥル・ミクルチャンは、踊り全般はさほどエレガントではないですが、跳躍の着地はともかく足音がしないです。

なお、この演出は、宙乗りもありますし、第二幕冒頭、主役二人を乗せて魔法の国へ向かう舟は舞台高く吊るされ、しかもかなり激しく左右に振り子のように揺れるなど、結構危険満載なことをするので、上演される国によっては法規制にひっかかるんだろうな~と思いました。あまりツアーに持って行った話を聞かないのも納得です。



by jicperformingarts | 2020-01-01 23:05 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

2019.12.29(昼) ワガノワ・バレエ・アカデミー『くるみ割り人形』

アナスタシア・スミルノワ
ジャック・ハーチル

 毎年恒例で、マリインスキー劇場で行われているワガノワ・バレエ・アカデミーによる『くるみ割り人形』です。
 
 スミルノワについては、2019年1~2月のワガノワ・バレエ・アカデミー来日公演でもマーシャを踊っていたので、既にご存じの方が多いかと思います。ピルエットの時に肩が上がる癖は早く直して欲しいな~と思いますが、回転自体は非常に安定しています。また、既に、サポートはまだまだ発展途上の高学年の男子生徒(カヴァリエール達含む)を引っ張る頼もしさがあり、未来のソリストとして有望なのは間違いなさそうです。
 王子のジャック・ハーチルはスウェーデンからの留学生のようです。容姿はとても美しく、跳躍も高いです。ソロの1回目のザンレールが超垂直で高さもあったので、おお、と思ったのですが、若干尻すぼみ気味、しかしコーダのマネージュで名誉挽回していました。
 小さいマーシャはナタリー(ナターシャ)・フルマン。アメリカ国籍で、2019年のYAGPでも入賞しています。2009年生まれとのこと、ポワントワークはまだまだ発展途上で、一際小柄ですが、早熟といえるほど演技はしっかりしており、ワガノワ比でも年齢相応の生徒という感じがしませんでしたが、あと7~8年かけてバレエ学校でじっくり育てられていけば、印象も変わっていくのでしょうか。
 フランツのニコライ・フィリューシキンは、人形の方のくるみ割り人形も踊っていましたが、フランツの時の悪ガキぶりはさすがです。今日は嫌みなく演技の上手い子役が多かったです。

 ハレーキンはウラジスラフ・ホダセヴィッチ。例年のハレーキンの枠を破る感じでもありませんでしたが、バネのある、膝がきれいに伸びた跳躍の男の子を常に揃えてくるのは、ワガノワの面目躍如なのでしょうか。コロンビーヌはエレーナ・ルィスコワ。こちらはちょくちょく膝が緩んでしまっていました。ムーア人(最近、バレエにおけるポリコレが問題になっていましたが、やはりロシアは欧米の批判にはどこ吹く風)はイタリア人留学生のダニエレ・ブルーノ。もうちょっと爆発力がほしいところです。
 雪のソリストは、ヴァレリア・ベスパロワとポリーナ・チェーホフスキフ。ひたすら跳ぶ役とも言えます。今回かなり舞台に近い席で観ていたため、必死に跳ばないと舞台回りきれなくて大変そうという現実の方が眼に入ってしまい、例年に比べてどうなのかよくわかりませんでした…。

 第2幕はスペインがソフィヤ・ディネルシュテインとレフ・セミョーノフ。えぐい角度の付け方がメリハリ効いてです。東洋の踊りは、エフゲーニヤ・サフキナ。脚の上げ方だったり、音楽はしっかり聴いていると思いますが、もっと陶酔してもいいのになと思います。中国はケイトリン・ジルカとゲンナーディ・オオルジャク。男の子は、跳躍は元気いいですが、打点自体はあまり高くないもよう。フランスは、アリーナ・スタシコワ、ソフィヤ・ロマノヴィッチ、イワン・ヴォルコフと、久々に全員才色兼備で初々しさのある組合せで眼福でした。

 花のワルツのソリストは、4組の中に当然上手い下手はありますが、パートナーに左右されるところも多く、皆様お疲れ様です。下手側の群舞の最前列の女の子が、腕の使い方まで美しく素敵でしたが、来年あたり、ソリストで観られるでしょうか。また、男性群舞の下手側後方に、ルジマトフの息子さんがいました。私も最初は気づきませんでしたが、言われてオペラグラスを観たらお顔がそっくりでした。笑



by jicperformingarts | 2019-12-31 16:21 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

2010.12.31 ノヴォシビルスク国立劇場『くるみ割り人形』

エカテリーナ・リーホワ
イワン・クズネツォフ
タチアナ・ゴロホワ
ミハイル・ケメロフ


 寒い時に寒い所第二弾です。ノヴォシビルスクは、前日のオムスクから夜行で8時間程度のいい距離にあります。-30℃近かったですが、駅からメトロでほぼ通りを歩かずに劇場まで辿りつけるので、それほど苦痛ではありませんでした。

 2年前の年末年始にもこのバレエ団の「くるみ割り人形」を観ていましたが、今回はセカンド・ソリスト級として名前はちらほら聞いていた方の主役デビューが盛りだくさんでした。ソリストが順調に育っていますってことでしょうか。

 この演出では、マリーとくるみ割り人形、金平糖の精と王子、という2つのペアが主役になります。
 また、くるみ割り人形というと、王子以外のダンサーが踊る場合はキャラクター系(いわゆる三枚目系)のことが多いですが、このバレエ団ではお菓子の国の騎士様という位置づけなのか、王子様系のダンサーが踊ります。この役デビューだったミハイル・ケメロフは初見です。脚にはしっかり筋肉がついていますが、あっさりした顔と全身のバランスの良さのおかげか、それほどムキムキには見えません。跳躍も、なかなかきれいです。
 なお、マリーはタチアナ・ゴロホワでしたが、こちらは思ったより小柄なんだな~位で、パフォーマンスそのものには強烈な印象はありませんでした。
 
 そしてもう一方の主役カップルは、エカテリーナ・リーホワとイワン・クズネツォフです。リーホワも小柄な方ですが、筋肉質でよくしなる、カッコイイ系の脚が魅力です。ソロでは回転が特に怪しかったですが笑)、この日がデビューだったようなので、これからに期待です。
 クズネツォフは、モスクワ音楽劇場期待の若手だっただけあって、ザンレールが鮮やか!です。  また、二幕のアダージョでは金平糖の精がカヴァリエール4人とクズネツォフにかわるがわる後ろ向きに軽く飛び込みながらリフトされるところは、全てスパッと決まってました。リーホワが軽くて自立した踊りなのか、コンスタントにサポート上手い男性ソリストを揃えているのか、いずれにしても、バレエ団のレベルの高さが垣間見えるパートでした。
 
 その他、チャイナを踊ったオレグ・ボンダルチュクのバネが驚異的でした。それから、花のワルツのソリストに、スタイルはそれほど良くないけれど見せ方をよく心得たお嬢さんがいて、これからも新しいソリストが育っていきそうな予感です。

 公演後は、とても市内をブラブラする気温でも気分でもなかったので、駅の待合室で数独をしながら時間をつぶします(ロシア人はSUDOKUが好き)。カウントダウンは待合室で一人でか…と覚悟していたのですが、駅の職員さんたち(仮装している人多数)がクリスマス・ツリーの周りに集まってワイワイしていたので、それほど寂しくなかったです。シャンパンとみかんとご相伴にあずかりました。
by jicperformingarts | 2010-12-31 11:30 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

1/2 マリインスキー劇場『くるみ割り人形』(ワガノワ・バレエ学校)

アリサ・ソーダレワ
セルゲイ・ストレルコフ


 マリインスキー劇場の、ほぼ付属学校といってもいいワガノワ・バレエ学校の公演ですが、特にこれ!という子はいませんでした。目立つといえば、花のワルツのソリストにオリガ・スミルノワがいましたが、主役を踊るために生まれてきたような生徒と言えばそうなんですが、もはや4人で踊っている自覚はゼロでした(笑)
 主役のアリサ・ソーダレワは笑顔が魅力と聞いていたのですが、今回はサポートがメタメタで気の毒でした。あれでは伸び伸び踊れないだろうと思いますが、柔軟性は抜群でした。
 王子役はセルゲイ・ストレルコフでした。ダンサーとしてはちょっといかついでしょうか…。サポートがメタメタなどと彼の将来性にケチをつけることを書いてしまいましたが、彼だけではなくカヴァリエール全体にサポートは危なっかしかったですし、基本的に、学生は筋力もサポート技術も発展途上なので、よくあることでもあります。
 ハレーキンのヤロスラフ・ルィジョフは、何年も前から観ている気がしますが、あまり進歩がみられません。スペインを踊ったデニス・ザイネットディノフは、スペインらしい切れは今一つですが、華やかでした。

 と、なんだか酷評になってしまいましたが、イタリア・ツアーでみっちり十数公演こなしてきた後で、みなさんヘロヘロだったんだそうです。
by jicperformingarts | 2010-01-02 11:30 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

1/4 ボリショイ劇場 『くるみ割り人形』

バレエの定番『くるみ割り人形』をロシアで見比べてみよう!③

 年末から新年にかけては、ロシアでも冬休みなので劇場の公演数は局地的に激増しますが、とりわけ多く上演されるのがこの『くるみ割り人形』。日本でもクリスマスの定番演目となっていますし、チャイコフスキーの音楽もあって、「バレエを観るなら『くるみ割り人形』か『白鳥の湖』かなあ」という方も多いのではないでしょうか。
 ですが、一口にロシアの『くるみ割り人形』といっても劇場によって演出等様々ですので、今回ちょっと『くるみ割り人形』めぐりをしてきました。


 最後、第3弾は首都モスクワのボリショイ劇場です。この劇場では現在グリゴロヴィッチ版が上演されています。海外公演ではあまり上演されない演目ですし、実は私もビデオで抜粋を観たことがある位で、このバージョンはほぼ初見です。

 まず、衣装・装置がワガノワ・バレエ・アカデミーと同じシモン・ヴィルサラーゼなので、やはりどこか似ていますし、全般にとてもオーソドックスで、子供でも気軽に楽しめる演出だと思います。ただ、意外に2幕は寂しい印象。というのも、各国のお菓子をイメージした踊り(キャラクター・ダンス)が、全て二人ずつだったり、音楽が非常に有名な「花のワルツ」の女性群舞が12人、ソリストが6人と、少人数編成だったというのが大きいと思います。
 とはいうものの、キャラクター・ダンスが二人ずつ、というのは演出として失敗だったとは言えません。ダンサーが粒ぞろいだったのもありますが、振り付けが通常のキャラクター・ダンスよりもバレエとしての見せ場が多く、見応えがあったからです。例えば、「インド」のオリガ・ステプレツォーワとルスラン・プローニンがムードがあって素敵でしたし、「フランス」の女の子がいいな、と思ったら別の日には金平糖の精(『くるみ割り人形』の主役)にキャスティングされているアナスタシア・スタシケヴィッチでした。また、「中国」の岩田守弘さんの超絶技巧には、会場もかなり沸いていました。

 以上、ボリショイ・バレエはやっぱり層が厚いね、とお伝えしたところで、主役の感想を。この日の金平糖の精はエカテリーナ・クルィサノワ、王子はアルチョム・アフチャレンコが踊りました。アフチャレンコは、日本でもお馴染みのニコライ・ツィスカリーゼの教え子で、最近ペルミの国際バレエコンクールで第一位になった、期待の新星です。確かに、ジュテのとき後方に伸ばした脚のニュアンスがツィスカリーゼを思い出させますし、好み云々に左右されず、素直にいいダンサーと認められる水準にある若手です。リフトでは一部危ないところもあったけれど、その他はソツなくこなしていました。
 クルィサノワはかれこれ一年ぶりに全幕主役をみましたが、可憐さはそのままに、主役らしい華も出て来た印象です。特に一幕、くるみ割り人形とジュテ(跳躍)を繰り返すところが、純粋な少女の風情があって素敵でした。ただ、2幕は…グリゴロヴィッチ版の振り付けはあまりに難しく、淑女の気品を醸し出せるほどの余裕を持ってこなせるバレリーナはほぼ皆無でしょうから、きっちり踊りきっただけでも充分なのではないでしょうか。

 ということで、『くるみ割人形』巡りはこれにて終了です。全部若手中心の公演に当たったので、はからずもロシア・バレエの将来をかいま見ることも出来たかな~と思います。あとは、やはりこの作品は音楽がとても美しいので、定番には定番の理由があるようです。実は、あまりに定番すぎて、あえて観ることが少なかった演目なので、こうして見比べてみると、色々な発見があって面白かったです。
by jicperformingarts | 2009-01-04 12:00 | 公演の感想(バレエ)

1/3 ノヴォシビルスク国立オペラ劇場 『くるみ割り人形』

バレエの定番『くるみ割り人形』をロシアで見比べてみよう!②

 年末から新年にかけては、ロシアでも冬休みなので劇場の公演数は局地的に激増しますが、とりわけ多く上演されるのがこの『くるみ割り人形』。日本でもクリスマスの定番演目となっていますし、チャイコフスキーの音楽もあって、「バレエを観るなら『くるみ割り人形』か『白鳥の湖』かなあ」という方も多いのではないでしょうか。
 ですが、一口にロシアの『くるみ割り人形』といっても劇場によって演出等様々ですので、今回ちょっと『くるみ割り人形』めぐりをしてきました。


第2弾はノヴォシビルスク・バレエです。この劇場のくるみ割り人形は前任のバレエ・マスターであるセルゲイ・ヴィハレフのバージョン(注:ヴィハレフ退任後、バレエマスターのポストは廃止され、代わりに芸術監督が設置されました)。
 基本的にはワイノーネン版で、話の筋が通りやすいようにマイナーチェンジを施したという感じです。具体的には、マリーとくるみ割り人形、王子と金平糖の精を全く別の登場人物としているので、(特にくるみ割り人形から王子に変身するシーンなど)不自然さを感じることもないですし、また、本当はフリッツ(マリーの兄)もくるみ割り人形が欲しかったので、取り合いになって運悪く壊れてしまう、という感じです。その他、最初、ドロッセルマイヤーが機械仕掛けの人形に囲まれた部屋にいるところから始まるので、ほんのり『コッペリア』コッペリウス風味です。
 衣装・装置は至ってシンプル。物足りないとも言いますが(笑)、そもそもロシア系の『くるみ割り人形』全般がこういう感じなので、標準なのではないでしょうか。

 今回観たのは11:30開演のマチネでした。さすが冬休みのマチネ、お子様率は高く、クロークのクリスマス・ツリーではイベントでもあったのかマイクが残されており、子供が色々歌ってました。可愛かったです。私のチケットも、「娘が突然病気になっちゃって」という若いママから100ルーブリ(360円くらい)で譲って頂きました。

  若手中心のマチネで観ましたが、そこは伸び盛りのバレエ団。「あれ? こんないい子いたっけ?」と思うと入団一年目だったりで、将来が楽しみです。
  特に、お、と思ったのが、くるみ割り人形を踊ったセミョーン・ヴェリチコです。容姿・立居振舞いも優雅で、このまま他バージョンのように王子も踊れそうでした。横に開脚する跳躍が、爪先まで良く伸びふわっとしていて印象的でした。一幕最後の、マリーを担ぎ上げたまま舞台袖まで連れて行くまさに最終盤のリフトだけミスってしまいましたが、そこはご愛敬??
  もう1人、金平糖の精を踊ったヴェーラ・サヴァンツェワも入団一年目です。えーと、容姿はgoo-です。というか不思議な魅力があります。体型はヒョロヒョロでもなくムチムチでもなく伸びやか。お顔も作りそのものよりも表情が印象に残るというか、健康的でいいですね。

  その他、マリーを踊ったエレーナ・ルィトキナは小柄で元気いっぱいなところが新鮮でした。可憐なだけがマリーではないってことでしょうか。一方、既に何回か観ているロマン・ポルコーヴニコフは不調でした。リフトのサポートはスパンと決まるのに、回転系のサポートがほぼ全滅とはこれいかに。。。でもマネージュで床面に描く円は大きくなってました。あのノヴォシビルスクの大きな舞台を大回りできるダンサーも珍しいかなと思います。
  こんな感じで、5年後が楽しみな若手が観れたのは勿論収穫なのですが、雪の場の清々しい美しさを観ると、改めてこのバレエ団の感じ良さは貴重だな~と思います。

  結局、この日は朝5:40にノヴォシビルスク空港着、荷物がナカナカ出てこず、市内に出れたのは7:30頃。そこから駅の仮眠室でシャワーを浴びて仮眠とって~というスケジュールだったので、結構慌ただしかったです。でも太陽が出ていて、気温もマイナス8度と過ごしやすかったのはラッキーでした。おかげで終演後街をブラブラすることができました。
18:00にはモスクワに向かうべく空港に戻ります。21:00に(時差は3時間)モスクワに着くと、なんとマイナス15度…。寒波でした。
  そんなわけで、翌日、1月4日はボリショイ劇場の『くるみ割り人形』です。
by jicperformingarts | 2009-01-03 11:30 | 公演の感想(バレエ)

1/2 マリインスキー『くるみ割り人形』

バレエの定番『くるみ割り人形』をロシアで見比べてみよう!①

 年末から新年にかけては、ロシアでも冬休みなので劇場の公演数は局地的に激増しますが、とりわけ多く上演されるのがこの『くるみ割り人形』。日本でもクリスマスの定番演目となっていますし、チャイコフスキーの音楽もあって、「バレエを観るなら『くるみ割り人形』か『白鳥の湖』かなあ」という方も多いのではないでしょうか。
 といっても一口にロシアの『くるみ割り人形』といっても劇場によって演出等様々ですので、今回ちょっと『くるみ割り人形』めぐりをしてきました。
 
 
 第一弾はマリインスキー劇場です。この劇場では二つの演出が上演されています。まずバレエ団によって通年上演されているバージョンがあり、こちらはシェミャーキンによる前衛的な美術がウリになっている現代バレエです。一方、年末年始限定でワガノワ・バレエ・アカデミーによって上演されているのがザ・スタンダードのワイノーネン版。衣装はシモン・ヴィルサラーゼです。
 今回観たのは、ワガノワ・バレエ・アカデミーによる公演です。勿論プロの公演ではないのですが、そこはスターを含む優秀なソリストを輩出し続ける名門ですから、充分楽しめます。
 
 この日の主役はエカテリーナ・クラシュークとヴィクトル・レベジェフ。一言で言うと、男の子はアタリだけど、他はなあ…、です。まずよかったレベジェフですが、ほっそりしていて立ち居振る舞いも優雅です。2008年3月に観た時より大分たくましくなったし、このまま順調に成長して欲しいなと思います。カリフラワーのような髪型はいかがなものかと思いましたが、そこはおいおい(笑) 跳躍がキレイでした。
 そしてマーシャのクラシュークは、近年マリインスキーでよくみる「そこまで脚あげなくてもいいのに」型です。確かに誰にでも出来ることではないですが、「ひえー」と思うところで感想が終わってしまい、他のところにまで目がいきませんでした。

 子役のマーシャは去年も既に何回か見たレナータ・シャキロワ。個人的にあまり好きなタイプではないので、他の子で見たかったですが、これから大化けすることに期待します。
 その他、雪の精の二人のソリストでは、アメリカからの留学生キナン・カンパの跳躍がダイナミックでしたし、黒人の人形のダニール・ロパーチンが回転を非常に頑張っていました。
 大変失礼ながら、粒ぞろいだけど皆小粒??という印象がぬぐえなかったのですが、多分これは私が一番大事な3幕を観なかったせいもあると思います。あとから友人に聞いたところでは、他にも目立つ子がいたようですし。

 3幕を観ずに何をしてたのかといいますと、空港に向かっていました。翌日はノヴォシビルスクです(笑)
  
  
   
by jicperformingarts | 2009-01-02 19:00 | 公演の感想(バレエ)

3/5 ミハイロフスキー劇場 「くるみ割り人形」 

      マーシャ/タチヤナ・ミリツェワ 
     王子/アンドレイ・マスロボエフ


 久しぶりにミリツェワが主役を踊るというので行って観ました。個人的にはミハイロフスキー劇場で一番好きなダンサーなので元々よく観てたんですが、お色気が出てきてビックリしました(笑) 「くるみ割り人形」じゃもったいないくらいというか、当初、この日は「ロメオとジュリエット」が上演されることになっていたので、そちらのほうで観たかったです。今現在、ケガ人、病人続出のミハイロフスキーなので、彼女もテクニック的には絶好調、というわけではないようでしたが、ちゃんとプロらしい踊りを見せてくれました。
 マスロボエフは、堅実ではあるけれど少し硬いかなと思います。でもサポートもミスなくこなしていたので好印象です。
 ドロッセルマイヤーはマラト・シェミウノフでしたが、あのチャップリンのようなメイクは一体…(笑) 怪しげでミステリアス、というよりかは神出鬼没の不思議なおじさん、でした。
 ここの花のワルツは主役を踊るソリストが沢山出演するのでゴージャスです。女性がハビブリナ、コシェレワ、カミロワと新人のディアナ・マディシェワ、男性がプハチョフ、モロゾフ、ルダチェンコ、シャドルーヒンでした。振付としてはそう見せ場があるわけで特に誰を見てよかった、とかはないのですが、全体としてまあ華やかだわ~という感じです。
by jicperformingarts | 2008-03-05 19:00 | 公演の感想(バレエ)


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