ロシア:劇場のしおり


旧ブログ名:『サンクト・ペテルブルクからのひとこと日記』■サンクト・ペテルブルクやモスクワを中心に、ロシア各都市の劇場トピックスなどをご紹介しているJIC旅行センターのブログです。
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HP更新記録(2018.4.10) :4月モスクワ、ペテルブルク公演予定

4月モスクワの公演予定を作成しました。
4月サンクト・ペテルブルクの公演予定を作成しました。


 遅ればせながら4月のモスクワとペテルブルクの公演予定を更新しました。4月末からゴールデン・ウィークですが、ボリショイ劇場では「バヤデルカ」や、ミハイロフスキー劇場では「シンデレラ」と、見応えのある演目が盛りだくさんです。「シンデレラ」は今シーズンの新作ですが(元々この劇場ではボヤルチコフ版を上演していましたが、ザハロフ版に衣替えしました。)、現地の評判も良く、私も鑑賞しましたがとても楽しめました(感想はこちら)。



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by jicperformingarts | 2018-04-11 10:11 | HP更新記録 | Comments(0)

2018.04.01 バシキール国立バレエ『愛の伝説』

ソフィア・ガヴリュシキナ
リリヤ・ザイニガブディノワ
オレグ・シャイバコフ

ロシア連邦バシキール共和国の首都、ウファにある国立バレエ団の公演です。ウファはヌレエフが育ち、バレエ教育を受けた街ですが、メルクリエフ、ソログープ、昨年のモスクワ国際バレエコンクールで金賞だったデニス・ザハロフもウファのバレエ学校出身ですし(ザハロフはモスクワ舞踊アカデミーに転入)、いいバレエ学校と定評があります。
主にこのバレエ学校の卒業者で構成されるバレエ団も、メフメネ=バヌとシリンと異なる系統の役で双方いいソリストと、なかなかハイレベルな男性5人を道化役のために揃えられるあたり、地方劇場の中ではかなり層が厚い方です。お客さんは、サマーラの方が温かいような気もしましたが。

「愛の伝説」は、グリゴロ-ヴィチが振り付けたソ連バレエです。自分の美貌の引き替えに妹姫シリンの命を救った女王メフメネ=バヌが、宮廷画家のフェルハドに恋をするが、フェルハドが好きになったのはシリン、という三角関係のお話です。2015年にマリインスキー・バレエの日本公演でも上演されていますので、詳細な粗筋は、招聘元のページをご参照いただければと思います。ただ、ボリショイ版(おそらくウファもこちらの系統)の方が、メフメネ=バヌにやや好意的なので、マリインスキー版とは所々ニュアンスが違います。

シリン役のザイニガブディノワは、典型的なタタール美女で、最初は、振付のコケットリーに踊りが追いついていない気もしましたが、後半は熱演していました。第3幕の膝下を痙攣させるグランジュテの連続はお見事で、やっぱりロシア人(民族的にはタタールなのでしょうが)は飛んでナンボだな~と思いました。グリゴロヴィッチの振付けは単調という批判にはある程度同意しますが、大きな動きで大きな感情を表現することの舞台効果は確かなので、単調で何が悪いという気になります。笑

メフメネ=バネ役のガヴリュシキナは、強いというより憂える女王でしょうか。恋する二人がパドドゥを踊る→大体においてパドドゥがバレエ作品のハイライト、ということで、舞踊上はシリンの方がやや目立ちますが、粗筋的にはメフメネ=バヌ役の方が感情移入しやすいです。フェルハドと夢の中で踊るところも、生々しい情念を解放するというより、自分の心を慰めるための哀しい夢という趣きです。
さすがにボリショイのバレリーナほどの豪快さとカリスマ性を以てバンバン跳んだりはしませんが、女王であることは一目瞭然の存在感ですし、ポーズの一つを大事にしていて好感度は高いです。

シリンにせよメフメネ=バヌにせよ、フェルハドへの熱愛の表現はやや薄めな気がしましたが、フェルハド役のシャイバコフがあまりに大根だったからかもしれません。首は短いですが、手足は長くて身体能力も高く、ぽ~んと跳んで余裕を持って着地してくるのですが、このゆるゆる感が、フェルハドとしてはいかがなものかと。王子役ならいいと思うのですが。難易度の高いリフトも、安定感抜群でこなすのはさすがですが、リフトの前に「よし、リフトだ!」的な緊張が見えてしまうので、微笑ましいものの演技の流れは切れてしまいます。

逆に廷臣役のイリダール・マニャポフは、迫力満点で舞台上を引き締めてくれました。一歩一歩に力があります。バシキール人民芸術家のようです。




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by jicperformingarts | 2018-04-06 20:48 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

2018.3.31 マリインスキー・バレエ『バヤデルカ』

オレーシア・ノヴィコワ
ウラジーミル・シクリャローフ

 3/30サマーラ、4/1ウファの間に(余裕のある方は地図をご覧ください)ペテルブルクを挟むのは馬鹿としか言いようがないのですが、行った価値はありました。

 個人的にノヴィコワが好きなので、眉が濃すぎたり口紅の色がベージュだったりで、メイクがかなりおばさん臭かったのには目をつぶります。
 昔インタビューで、一番上手な群舞になりたいと語っていたような気がしますが、その言葉通り、控えめに、ひっそりと神殿の奥に住まう巫女の風情です。大僧正に言い寄られるところも、嫌悪感というより混乱がまず先に出てきます。特にロシア系だと、これ以上近寄ったら神罰が下りますと言わんばかりに、巫女の高潔さで、大僧正を軽蔑混じりにはねつける演技が王道なのですが、ノヴィコワのニキヤはそこまで強くありません。抱きすくめられて半ばパニックになりつつ、必死に振り切り、震えそうにこっち来ないでオーラを出す感じでしょうか。上司のセクハラ被害に遭う女性社員のようで、妙な生々しさがありました。
 という場面からの、ソロルとの逢引の場面です。前述の通り、かなり内向的なニキヤ像だったのが、ソロルを見つけた瞬間、大きく上体を逸らしてまったり陶酔してから、ソロルに飛び込んでいったので、その豹変ぶりに驚くとともに、彼女にとってソロルがどんな存在だったかが伝わってきます。
 前後しますが、生々しく見えるのは、単に内向的というより、不器用で、感情の起伏を上手くコントロールできなそうな人物描写だったからかもしれません。第1幕2場でガムザッティに腕飾りを与えられそうになるところも、大体のダンサーは、笑顔で固辞するのですが、彼女の場合は本気で困ったような(嫌そうにも見える)顔をしますし、ソロルが愛を誓った相手は自分と主張するところも、必死に自分を奮い立たせるかのようです。例えば、ヴィシニョーワがここで愛される女の輝き全開になるのとは対照的です。

 踊りそのものは堅実に正確です。花籠の踊りの終盤も、音にピッタリはめつつ、ピケとルティレを反復していきます。第3幕のスカーフを掲げての両回転ピルエットも、近年なかなかお目にかかれないレベルで軸があまり崩れません。上体も常に引き上がっていて、第3幕、シクリャローフにサポートされたままルティレで立って、そのまま自立するところは、ただ軸がぶれないだけでなく、本当に宙に浮いているようで、鳥肌が立ちました。
(褒めちぎり過ぎるのも客観性に欠けるかと思うので一点だけ、最後の最後のコーダの、アラベスクのまま後退するところで、一瞬だけ集中が切れたかな~という気はしました。)。
 ただ、間の取り方が独特で、手に独特のニュアンスを持たせつつ(純粋にクラシックの第3幕では控えめです)、物言いたげに指先を見つめる様は、ワガノワ特有の、頭から首・肩の美しいラインと相まって、充分に個性的な演技・踊りです。また、第3幕では、時折うっすらほほえんでいるように見えるのが意外でした。

 ソロルはシクリャローフです。演技自体は王道に勇壮な戦士なのですが、その演技に違和感がありませんでした。彼については柔和な王子様の印象が強く、ソロルはどうなのかなー、と思っていたので意外でした(ファンの方すみません。偏見でした)。爆走からの飛距離ある跳躍など、踊り自体も調子が良さそうです。サポートも安定感も増して、見ていて戦士でした。ソロのフィニッシュで、上体を反りすぎるところは、間延びするので個人的にはやめて欲しいですが。。。

 ガムザッティは、アナスタシア・マトヴィエンコ。特に好きなダンサーではないですが、そのプロ根性は素直に尊敬します。フェッテ前のピルエットで軸が崩れてからの軌道修正力はさすがです。

 第2幕のキャラクター・ダンスの中では、インドの踊りが特に良かったです。オリガ・ベーリクとエニケーエフが、二人とも背中の柔軟性とバネが相まって、圧倒的に迫力満点でした。

 第3幕のトリオは、レナータ・シャキロワ、ヤナ・セリナ、永久メイさん。シャキロワは、ピルエットでぐおんぐおん回ったついでに軸が崩れまくってましたが、それでも手拍子が起こる躍動感です。そもそもこのソロって手拍子起きるもんだっけ?とは思いつつ、第2・3ソロのセリナと永久さんがしっかりまとめてくれたので、秩序は保たれました。笑 
 永久さんは、楚々とした柳のような手足含め、ロシア人の考えるいい意味での「日本美女」の幻想にはまる容姿・踊りなので、今後も期待です。


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by jicperformingarts | 2018-04-04 07:35 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

2018.3.30 サマーラ国立バレエ「ジゼル」

エカテリーナ・パンチェンコ
ヌルラン・キネルバエフ

サマーラは、ソ連時代はクィビシェフと呼ばれており、第二次世界大戦中は、ボリショイ・バレエが疎開していたり、キーロフ・バレエ(現マリインスキー)のプリマだったアッラ・シェレストが1970〜1973年芸術監督を務めていたこともあります。なお、ショスタコーヴィッチの交響曲第7番「レニングラード」の世界初演もサマーラです。ということで長年行ってみたかった劇場の一つです。現在のレベルとしては、中堅上位の国立劇場でしょうか。

ジゼル役のエカテリーナ・パンチェンコは、首から背中のラインは満点とはいきませんが、スタイルも良く、テクニックもしっかりしている若手ダンサーです。アティテュード・ターン含め、回転の軸がまっすぐで、上体もしっかり引き上がっていて美しいです。ただ、軸が崩れても根性で軌道修正するスキルはこれからでしょうか(よく言えばごまかしのない踊りなのですが)。
特にテンポ早く快活に踊るところは、ジゼルらしい初々しさがあっていいのですが、純粋な演技の部分に関しては、古典的すぎるというか、大げさ過ぎて、逆にフィクション感が出てしまってました。ヒラリオンに言い寄られただけで、まるで誘拐未遂にあったかのようです。

アルブレヒト役のヌルラン・キネルバエフは、ストレートネック気味なのと、ペタペタ歩きが、古典の王子としてうーん、ではありますが、踊り自体に目立ったクセがあるわけではないです。体力不足なのか、第二幕で地面に倒れこむところは迫真です。

ラスト、世が明けて二人のお別れのシーンは割とあっさりしています。森から連れ帰ろうとするアルブレヒトの手をジゼルがすり抜けていって、そのまま姿を消します(演出によっては、すり抜けたジゼルをアルブレヒトが更に追ったり、または、ジゼルが完全にはける前に墓に供えられた百合の花束をはたはた散らしたりします)。そのまま、マントを引きずりうなだれ、トボトボ上手に引っ込むアルブレヒトの後ろ姿で幕、です。あまり感情表現が濃いペアではないので(外形的には時に大仰ですが)、この位あっさりと余韻だけ残す方がいいかなと思いました。

ミルタはウリヤナ・シバノワ。威厳もあり、冒頭のパドブレまでは良かったのですが、跳躍がバンバン入ってくると、上体の力みが気になってしまいます。

ハンス(ヒラリオン)はドミトリー・サグジェーエフ。第1幕ラストでの「俺を殺してくれええ」アピールはすごかったです。第2幕での、渾身のソロも説得力がありました。

ペザントは、ナカジマ・マリナさんとイーゴリ・コチュロフ。ナカジマさんはサクサクサクっと軽快にパをこなしていきます。パートナーも踊りやすそうです。
コチュロフは、容姿はいいのですが、ことごとくザンレールの着地が乱れるなど、テクニックの弱さが残念です。しかし、どれだけヨロヨロしても輝く笑顔でフィニッシュする心がけは、学びたいものがあります(皮肉ではなく)。

群舞に至るまで全員、というわけにはいきませんが、基礎がしっかりしたダンサーが多い印象です。ベテランの味わいのあるコリフェ/セカンドソリストっぽい人々の存在感が、昔ながらのバレエ団という感じで安心します。



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by jicperformingarts | 2018-04-02 22:29 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)


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チャイコフスキー記念コンサート・ホール(*Moscow Philharmonic Society)
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■その他(編集中)
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マールイ・ドラマ劇場
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