人気ブログランキング |

ロシア:劇場のしおり


旧ブログ名:『サンクト・ペテルブルクからのひとこと日記』■サンクト・ペテルブルクやモスクワを中心に、ロシア各都市の劇場トピックスなどをご紹介しているJIC旅行センターのブログです。
by jicperformingarts
カテゴリ

<   2012年 09月 ( 14 )   > この月の画像一覧

2012.09.23 マリインスキー劇場「シュラレー」

 タタールの民話をもとにしたバレエです。以前タタール国立バレエで観たことがあり、もう一度観たいと思っていたので、念願かなって満足です。全体に、マリインスキー劇場の方が衣装の色彩が鮮やかで、群舞の人数も多いので華やかですが、村の装置などはタタール国立バレエとよく似ており、当時の記憶がよみがえってきました。でも、マリインスキー劇場版の、「だったん人の踊り」風の、男性の帽子はいただけない(笑)
 
 シュユンビケを踊ったのはエレーナ・エフセーエワ。以前ミハイロフスキー・バレエ(レニングラード国立バレエ)に在籍していたので、ご存じの方も多いと思いますが、見れば見るほど別人のようです。本人としては、しっとり悩める系を目指しているのでしょうか。でも、踊りそのものにはあまりたおやかさはなく、跳躍も、いきおいよく前方に脚を振り上げていました。終盤の、幸せいっぱいに村人に祝福されて踊る場面のイキイキした表情をみると、この人には、楽しそうに華やかに踊っていてほしいとおもいます。
  
 ブィルティールは、アンドレイ・イェルマコフ。ちょこっとしたソロではよく見ていましたが、こうして主役でみると悪くないじゃーないですか!と一人客席で盛り上がっていました。「タタール人=なんとなく強そう」のロシア人のステレオタイプにのっとり、見せ場が多い役だったからというのもあるかもしれません。

 森にすむ魔物・シュラレーはアレクサンドル・セルゲイエフが踊りました。悪魔と言ってもひょうきんなところもある役なので、彼独特の軽快な踊りがぴったりです。床にスライディングするようにはけていく(舞台から退場する)動きが多いのですが、それが人外の存在であることの表現なのでしょうか。


 
by jicperformingarts | 2012-09-30 00:46 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

2012.09.22(ソワレ)ボリショイ劇場「ジュエルズ」

マチネとソワレを立見で見てきました。作品の簡単な説明については、下記の投稿をご参照ください。

 第一部の「エメラルド」では、リーディング・ペアはエフゲーニヤ・オブラスツォーワとウラジスラフ・ラントラートフで、瑞々しいペアでした。オブラスツォーワも、腕の動きがなめらかで、透明感も健在のようです。「エメラルド」は全体にフォーレの柔和な音楽でつづられた作品で、なんとなくラファエロの絵画を思い出します。個人的に特に好きな曲を使ったソロでは、エカテリーナ・シプリナのソロがとても丁寧に踊っているのが伝わってきて幸せなひと時でした。

 そして「ルビー」はアナスタシア・スタシケヴィッチ、ヴャチェスラフ・ロパーチン、アンナ・オークネワでした。何気なくオペラグラスを除いた瞬間、スタシケヴィッチがものすごい形相でピルエット(回転)しているのを目撃してしまいました。キレ自体はオークネワの方がよかったですが、スタシケヴィッチのコケットリーは彼女の大きな武器だな~と思います。
 生真面目な印象があるロパーチンが弾けているのを見れて嬉しかったのですが、手のひらをひらひらさせる振りだったり、ストラヴィンスキーの音楽が求めるほどには弾けていなかった気もします。

 「ダイヤモンド」は、マチネもソワレもオリガ・スミルノワとセミョン・チュージンでした。実はマチネがあまり良くなかったので、ソワレでは観ずに帰ろうかな~と思っていたのですが、とてもよかったです。マチネは下手側の第4ヤールス(実質6階)、ソワレは上手側のベリエターシュ(実質2階)で観ていたのですが、観る席でこんなに印象が左右されるものなんだなと驚きました。もちろん、全方位で魅力的なダンサーが理想なのですが。
 スミルノワには少し顎を突き出す癖があるのと、眉のメイクがよろしくないので、それが第4ヤールスからみると美しくなく見えてしまうようです。手首を曲げすぎだったり、つま先のさばき方が粗かったり、磨き抜かれたダイヤモンドの輝きとはまだまだ言い難いものの、昨今、これだけスターオーラのある若手は稀なので気長に将来に期待です。ただ、ニカッと上歯茎がみえそうな笑顔だけは、早く改善して欲しいです。
 チュージンについては、「ダイヤモンド」の衣装のベストのラインが絶妙で、彼のなで肩をうまくカバーしてました。衣装なんてそんな些末なと思われるかもしれませんが、テクニックは申し分なくエレガントなのに、このなで肩が気になって、いつも心の底から拍手できなかったので…。
by jicperformingarts | 2012-09-27 22:01 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

モスクワ音楽劇場:2012/13シーズンの予定

 モスクワ第二のオペラハウスであるモスクワ音楽劇場の今シーズンの予定が発表されていたのでご紹介します。この劇場は、先進的な作品もどんどんレパートリーに入れているのですが、その分訳しにくいプロジェクトも多いので上手く訳せない箇所もありますが、ご容赦ください。

http://www.stanislavskymusic.ru/about/plannig.html

【新制作】
バレエ
2012年11月23、 24日
「First flash」
振付:ヨルマ・エロ
音楽:ヤン・シベリウス
「Sleepless」
振付:イリ・キリアン
音楽:イリ・キリアン(コンセプト)、ディルク・ハウブリッヒ

2013年3月22、 23日 「マイヤーリンク(うたかたの恋)」
振付:ケネス・マクミラン
音楽:フランツ・リスト
美術:ニコラス・ジョージアディス

2013年7月30、31日 「バヤデルカ」
演出:ナタリア・マカロワ
音楽:レオン・ミンクス(ランチベリー編曲)
装置:ピエール・ルイジ・サマリターニ
衣装: ヨランダ・ソナベント

オペラ
2012年12月12、13日
レーラ・アウエルバッハ「Слепые」
 ※タイトルは「盲目の(人)」という意味ですが、定訳は不明です。
エレーナ・ランガ-「Песни у колодца」
 ※タイトルを直訳すると「井戸のそばの歌」くらいの意味です。
演出:ドミトリー・ベリャヌシュキン
美術:アレクサンドル・アレフィエフ

2013年1月20、 21日
レハール「メリー・ウィドウ」
演出: アドルフ・シャピロ
美術:アレクサンドル・シシキン
衣装:エレーナ・ステパノワ
振付:オレグ・グルシュコフ

2013年5月22、 23日
ロッシーニ「アルジェのイタリア女」
演出:エフゲニー・ピサレフ
美術:ジノーヴィー・マルゴリン

※この他、2013/14シーズン開幕として、2013年9月27日に「タンホイザー」のプルミエを予定しているそうです。

【コンサート・イベント】
2013年1月
スタニスタフスキー生誕150周年を記念した美術展

2013年4月
ブルメイステル版「白鳥の湖」制作60周年を記念したイベント

【招待公演】
12月7日ワガノワ・バレエ・アカデミー
「創立275年記念ガラ・コンサート」

2013年4月26、28日
「セビリアの理髪師」
※2011年の声楽コンクール Operaliaの入賞者 ルネ・バーバー(アメリカ)がアルマヴィーヴァ伯爵役で出演予定。
指揮:アルベルト・ゼッダ(イタリア)

【カンパニーのツアー公演】
オペラ

2012年10月9日「オペレッタの夕べ」
リガ(ラトヴィア)

2012年11月19~25日「椿姫」
アテネ(ギリシャ)

2013年2月26日~3月4日「エフゲニー・オネーギン」
アムステルダム(オランダ)

2013年4月27日~5月9日
「エフゲニー・オネーギン」「ラ・ボエーム」
Tianjin Grand Theatre (中国)

バレエ
2012年9月25日「石の花」
ヤロスラヴリ(ロシア)

2013年6~7月 一幕バレエの上演
ローザンヌ(スイス)

2013年7月(演目未定)
ロンドン(イギリス)

【その他のイベント
2012年9月28、 30日、10月2日
ドビュッシー「ペレアスとメリザンデ」
指揮: マルク・ミンコフスキ(フランス)
主演: ナタリア・ペトロジツカヤ

2012年9月29日バレエ「白鳥の湖」
ソ連邦人民芸術家ヴィオレッタ・ボルト生誕85周年記念

2012年10月26日オペラ「戦争と平和」

2012年11月28日オペラ「ランメルモールのルチア」
ドニゼッティ生誕215周年を記念して

2012年11月30日バレエ「シンデレラ」
オレグ・ヴィノグラードフを記念して

2012年12月14日バレエ「ドン・キホーテ」
アレクセイ・チチナーゼを記念して

2012年12月23日オペラ「愛の妙薬」
この公演以降、同演目はイタリア語で上演されるそうです。
by jicperformingarts | 2012-09-26 23:39 | プルミエ・シーズン情報 | Comments(0)

2012.09.22(マチネ)ボリショイ劇場「ジュエルズ」

 弾丸日帰りモスクワで、マチネとソワレを観てきました。運よく立見席(一応椅子はあるのですが、立たないと何も見えない)を入手できたので、経済的には助かったのですが、体力的には厳しかったです(笑) ヴァンクリ-フ&アーペルとの共同プロジェクトらしく、ストーン(全部本物の宝石だったら天文学的な値段になりそうです)をふんだんに使った衣装がみどころです。
 
 第一部は、フォーレの音楽を使った「エメラルド」です。ファースト・ペア、セカンド・ペア、パ・ド・トロワ(男一人、女二人)と10人の群舞によって踊られます。 正直、今回のソリストは個人的にイマイチだったのですが、美しい幾何学模様を描くコールド・バレエ(群舞)にうっとりしました。

 第二部は、ストラヴィンスキーの音楽でルビーを表現しています。エメラルド、また第三部の「ダイヤモンド」はほぼクラシック・バレエに分類されるのですが、ルビーはややモダンよりです。両方の手のひらを顔の近くに持って行ってふるふるさせるふりが特徴的です。クリスチーナ・クレトワとアンドレイ・ボロティンのペアと、マリーや・アラシュ、そして8人の女性群舞と4人の男性群舞によって踊られます。
 クレトワとボロティンは、何も不足はないけれどルビーというからにはもう少し情熱的に踊って欲しいところ(ボロティンのソロはよかったです)。かわりにアラシュが空気を締めてくれました。派手な踊りではありませんが、エキゾチックな目力があり、コールドを従えた女王様のような貫禄がありました。

 第三部の「ダイヤモンド」は、チャイコフスキーによる音楽です。バランシンをクラシックに分類するか否かは議論が多々あるところですが、この作品については、クラシックよりもクラシックの粋を感じさせます。マチネもソワレも、主役はオリガ・スミルノワとセミョン・チュージンが踊りましたが、ソワレの方が個人的に印象がよかったので、感想はそちらに詳しく書こうと思います。
 
 突然話題は変わりますが、ロシアでは基本的に「プログランマチカ」と言われるキャスト表と簡単なあらすじが書かれたリーフレットが30~50ルーブル程度で売られています。日本のプログラムに相当する厚めの冊子は「ブクリェート」と呼ばれていますが、こちらについては、売っている劇場と売っていない劇場など様々です。マリインスキーは演目によりけりなのですが、ボリショイは各演目につき制作しています。
 今回の「ジュエルズ」については、写真に力を入れたからか著作権の都合かいつもより高めで250ルーブル(650円くらい)でした。このブックレットで「ダイヤモンド」のチュチュを観た時、胸元の刺繍にかなり胸がときめいたのですが、舞台上で、照明の下でみると、写真ほど高級感はなくちょっと残念でした。でも、「ルビー」については、舞台で観る方が映えるな~と思いました。
by jicperformingarts | 2012-09-26 18:40 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

2012.09.21 ミハイロフスキー劇場「ドン・キホーテ」

アンナ・オリ
レオニード・サラファーノフ


 アンナ・オリは以前クラスノヤルスク国立劇場でみたダンサーです。ミハイロフスキー劇場の公式サイトのダンサーの一覧に名前がないので移籍したかどうかは不明なのですが、昨シーズンの終わりに続いての再出演です。
 お顔は大変失礼ながらやや老け顔で、演技がやや古臭いかなあという気はするものの、股間節がとても柔らかく、特に後方によく上がります。跳躍もふわっとしています。32回転はあらぬ方向にあちこち移動してしまってましたが、全体的な満足度は高かったです。

 サラファーノフは相変わらずつま先がきれいで端正な踊りでしたが、ところどころ大技と大技の間に余計な一歩が入ってしまったり、絶好調というわけではないようです。キトリに扇子を差し出して、キトリが受け取ろうとするとヒュッと隠すのを3~4回繰り返すところは微笑ましかったです。

 エスパーダはデニス・モロゾフ。この日がデビューだったようです。程よく筋肉質な体型や、巻き毛の黒髪など、ヴィジュアルはエスパーダにぴったりで、サラファーノフともいいバランスでしたが、スペインらしい暑苦しさがもう少し欲しかったです。
 そしてヴィクトリア・クテポワもこの日森の女王デビューでした。とっても速いテンポで(遅い方が難しいです)、イタリアン・フェッテも足を90~100°位までしか上げず、極力難度を落として踊ってました。
 一方、キューピッドを踊ったアンナ・クリギナは、必死に音についていってるという感じでした(このソロは早めのテンポで踊ることが求められます)。
 この日の張り切ってましたで賞は、ジプシー男性を踊った、ニコライ・アルジャエフでしょうか。エビ反りになるジャンプを見る限り、柔軟性も高いようです。
 
 この演出は昨シーズン2012年4月にお披露目されたばかりなのですが、三幕のグラン・パの8人のクラシック・チュチュは、ボリュームがあって華やかです。一人目のソロでは、さりげなくシェネからダブルのピルエットをつなげたりしていました(キャスト表をミリ限りエカテリーナ・クラシュークのようですが、少し自信はありません)。その他にも素敵と思うダンサーも何人かいて、いいダンサーも着々と増えてるんだなあと思いました。
ごくごくオーソドックスな演出なのであまり書くこともないのですが、酒場の後に野営・夢の場という構成です。夢の場は、トロピカルな森の背景幕に、白いチュチュの群舞なので、まるバヤデルカのようです。
by jicperformingarts | 2012-09-25 16:05 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

2012.09.20 マリインスキー劇場 トリプル・ビル

「カルメン組曲」
ウリヤナ・ロパートキナ
ダニラ・コルスンツェフ
有名なビゼーの音楽をシチェドリンが編曲した作品で、ロシアのさまざまな劇場で踊られている一幕バレエです。ロパートキナのカルメンについては、硬質な笑みの裏に色々たぎらせて欲しかったですが、美しい体のラインから生み出される美しいポーズは、それだけで価値はあります。
コルスンツェフは、カルメンを刺した瞬間の、何かに取りつかれたような表情は良かったのですが、殺意に至るまでの感情の動きが不明瞭だったり、カルメンがトレロではなくホセを選んだ後のパ・ド・ドゥでもっと嬉々とした表情を見せて欲しかったなあと残念に思うところもありました。でも真面目そうなところは、原作のホセに近かったんじゃないかと思います。
トレロはエフゲニー・イワンチェンコ。年齢のせいか、体型と踊りが少し重たくなったような気がします。

「Without」
ベンジャミン・ミルピエによる現代作品です。衣装の色はそれぞれ赤(エカテリーナ・コンダウーロワ&コンスタンチン・ズヴェーレフ)、水色(スヴェトラーナ・イワノワ&アンドレイ・エルマコフ)、ヴァイオレット(ヴィクトリア・クラスノクツカヤ&フィリップ・スチョーピン)、緑(マルガリータ・フロロワ&クサンドル・パリッシュ)、オレンジ(マリア・シリンキナ&アレクセイ・ポポフ)と、5色各2名の10人によって踊られます。短い踊りをつらつらとつなげた作品ですが、人数、組合せはバラバラで、、パズルのような作品です。音楽はショパンです。
 コケットリーだったりドラマを感じさせるアクセントつけに時々ふふっと笑わされるのですが、全体的に抒情的で似たようなトーンの踊りがつらつらと続くので、少し飽きてしまいました。目立つ役はコンダウーロワ&ズヴェーレフ、イワノワ&エルマコフでしたが、特にイワノワの透明感にうっとりでした。リフトされている時も、きれいに開脚していて美しいです。
 
「若者と死」
ウラジーミル・シクリャローフ
エカテリーナ・コンダウーロワ
嘆きはありました。前日の「ライモンダ」比べ、跳躍の切れ味もよく、ピルエットも許容範囲でした。が、椅子の背もたれを恋人のように抱きしめるところといい、黄色いドレスの女に対する眼差し(足蹴にされてる時などは特に…)といい、なんだか失恋の痛手で自殺する物語のようでした。この作品には、敗北・挫折を受け入れられない男の人がむりやりねじ伏せられるところに痛々しさを感じるので、あまり好みの「若者」ではありませんでした。
コンダウーロワは、ヴィジュアルは文句なしなのですが、個人的に彼女の悪女役はピンときません(むしろ抒情的な踊りが本領だと思ってます)。という主役二人だったので、激しいバトルはない「若者と死」でした。
by jicperformingarts | 2012-09-24 00:09 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

2012.09.19 マリインスキー劇場「ライモンダ」

オレーシヤ・ノヴィコワ
ウラジーミル・シクリャローフ


 マリインスキー・バレエのシーズン開幕公演です。ロシアの伝説的なバレリーナ、ナタリア・ドゥジンスカヤ生誕100周年を記念した公演でした。ドラマ性は薄い演出ですが、グラズノフの音楽と、さまざまなソリストが入れ替わり立ち代わり踊る贅沢な作品でもあります。
 ノヴィコワは、アラベスクを伸ばしすぎると軸が崩れるのか、きれいにポワントから降りられないのが気になったけれど、一幕の夢の場のラストで音楽のテンポが上がって盛り上がるところは、キレよく力強さもありおおっと思いました。立ち姿まで神経が行き届いていて美しいので、3幕のヴァリエーションもよかったです。瀕死のアブデラーマンから目を背けるなど、あまり演技のしようがない演出のなかで、できる限りの演技をしていたと思います。
 シクリャローフのジャン・ド・ブリエンはあまり踊りがないのですが、貴重な見せ場出る第3幕のソロが端正とは言い難かったかもしれません。具体的には、ピルエットでは目をカッと見開いて頭で思いっきり反動をつけて回っていたり、フリーレッグの足が軸脚のももの方まで勢いよく振り上げられていたりしてました。
 ボリショイ・バレエの「ライモンダ」と比べると、アブデラーマンの踊りはとても少ないです。独立したソロはなく、コールドを従えて踊るくらいです。後は、ジャンと同じくサポートは主でしょうか。アレクサンドル・ロマンチコフが踊りましたが、濃ゆさはイマイチです。

 クレマンスはダリア・ヴァスネツォワ。関節がしっかり開いてないのでアラベスクはあまり美しくないですが、股関節自体は柔らかいのか、特に前方には脚が高々と上がります。ヘンリエッタをおどったゴンチャルは、いつみてもこれといった欠点なく踊るので、地味さが本当に惜しいところです。クレマンスとヘンリエッタはライモンダの友人という役どころですが、一幕はミマンス(宮廷貴族のエキストラ役など基本踊らない役)のような恰好で踊るのでちょっと欲求不満でした。
 とはいえ、女性ソリストの踊りが多く眼福でした。夢の場の片割れのソロを踊ったユリアナ・チェレシケーヴィッチは、パごとに気合が見え隠れして、まだまだ幼さが残る踊りでした。第3幕のソロは、マリア・シリンキナ。オブラスツォーワを黒髪にして更に軽やかにした感じでしょうか。コケットリーもあり、かわいらしいです。
 しかし、第3幕の男性4人の踊り(パ・ド・カトル)で、ザンレールを二回ともクリアに跳べた人がいないとはどういうこと…。この日の男性陣はアで始まる男性祭りで、アブデラーマンのアレクサンドル・ロマンチコフはじめ、ベランジェはアンドレイ・エルマコフ、ベルナールがアンドレイ・ソロヴィヨフ、件のパ・ド・カトルに、アレクセイ・ニドヴィーガ、アレクセイ・ティモフェーエフに加え、アンドレイ・ヤコブレフも出演してました。
by jicperformingarts | 2012-09-21 21:37 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

2012.09.15 ミハイロフスキー劇場「ジゼル」

ポリーナ・セミオノワ
マルセロ・ゴメス


 今シーズンからゲストプリンシパルを務める二人による公演です。オーソドックスながらも美しい美術でしたが、音楽・演出がややせわしなく、二人の演技をじっくり堪能できなかったのが若干残念でした。

 セミオノワは、アルブレヒトと幸せそうに踊るところはとてもかわいらしかったです。ただ音楽の盛り上がりにのりきれてないというか、もう少し疾走感が欲しいなあという気もしました。一方、狂乱の場では、表情や髪をかきむしる演技が迫真過ぎて、憐れみよりも恐怖を感じてしまいました…。
 第二幕では、ミルタに訴えかける表情やうっすら笑みを浮かべて踊る姿を観る限り、妖精というより生身の女の子の要素を強く残していたと思います。ミハイロフスキ-劇場の「ジゼル」は、夜が明けた時アルブレヒトはほぼ意識を失っている状態で、彼が目覚めた時は既にジゼルの姿はなかった、という終わり方なのですが、この倒れているアルブレヒトの手を名残惜しげに抱きしめてから消えていく所はいじらしくてよかったです。

 ゴメスは、リフトして降ろす時にジゼルを見つめる目線がロマンチックだなあと思いました。最大の見せ場である第二幕のソロでは貴族らしさをいかんなく見せつけるピルエットでした。
 先ほど、音楽がせわしなかったと書きましたが、一番残念だったのが、終盤、アルブレヒトが目覚めてからジゼルの墓の前で泣き崩れるとほぼ同時に幕が下りてしまったことで、彼の嘆きが十分に伝わってきませんでした…。また、第一幕の終盤では、城に連れ帰ろうとする従者を殴り倒さんばかりのいきおいで振り切ってジゼルの亡骸に縋り付くものの、ジゼルの母(ヴィジュアルが魔女っぽいので迫力があります…)の憎悪に満ちた目に圧倒されて走り去るのですが、この辺はまるで早送りでみているようで、あと5秒位長くしてほしかったです。

 もう一点演出について、大体どの演出においても、第二幕は下手脇にジゼルの墓があり、ここからジセルが登場するのですが、この登場シーンをいかに精霊らしく見せるかは、それぞれの演出で大きく異なります。2007年の初演を観た時は、スモークをきつく炊いて霧の中からスッと現れるという登場でしたが、今回は木立を模した装置をついたて代わりにしていました。ただ、この木立があると群舞の見せ場やアルブレヒトのソロの時に舞台が狭くなって邪魔らしく、頻繁に上げ下げしていて、演出としてはどうなんだろうと思いました。 

 ペザントのパ・ド・ドゥは、アナスタシア・ロマチェンコワとアントン・プロームでした。二人とも派手な踊りではありませんが、ロマチェンコワは美しい笑顔を見せるようになったなあと思いました。
 ミルタはヴィクトリア・クテポワ。もう少し跳躍に大きさが欲しいところですが、凍てつく表情の美女ということで、ミルタらしさはありました。
 ヒラリオンはウラジーミル・ツァル。ディズニー版「眠れる森の美女」のガストンを純情にしたような役なので、「ジゼル」を観るたびに、なにも殺さなくてもいいのにと思います。
 群舞は、3日連続「ジゼル」の3日目だったにしては良くなかったと思います。12人+12人に分かれてアラベスクで進みながら交差する場面では、アラベスクの角度がバラバラでしたし、フォーメーションが変わる時の乱れが気になりました。
by jicperformingarts | 2012-09-16 19:37 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

HP更新記録(2012.09.06):モスクワ9月、ペテルブルク11月

11月サンクト・ペテルブルクの公演予定を作成しました。
9月モスクワの公演予定を更新しました。


 やっと9月のボリショイ劇場のキャストが発表されたので更新しました。
 また、まだマリインスキー劇場の公演予定は発表されていませんが、ペテルブルク11月の公演予定を作成しました。ミハイロフスキー劇場で11月3、4日に「Kings of the Dance」、また11月6、7、9日にはハンブルク・バレエによるツアー公演も予定されています。また、11月7日にはアイスパレスにて、エフゲニー・プルシェンコ選手のショーも予定されているなど、まさに芸術の秋の様相を呈しています。
by jicperformingarts | 2012-09-15 18:08 | HP更新記録 | Comments(0)

Kings of the Dance 2012

11月3、4日に、ミハイロフスキー劇場で「Kings of the Dance」という企画が予定されています。世界的な男性ダンサーを集めて、主に現代作品を上演する企画で、毎秋の人気シリーズになりつつあります。

http://www.mikhailovsky.ru/en/afisha/detail/151593/

【出演者】
ギョーム・コテ(ナショナル・バレエ・オブ・カナダ
マルセロ・ゴメス(ABT)
デニス・マトヴィエンコ(マリインスキー・バレエ)
レオニード・サラファーノフ(ミハイロフスキー・バレエ)
イワン・ワシーリエフ(ミハイロフスキー・バレエ)

【プログラム】
第一部「For 4」

音楽:フランツ・シューベルト
振付:クリストファー・ウィールドン
出演:サラファーノフ、マトヴィエンコ、ワシーリエフ、コテ

第二部「レマンゾ」
音楽:エンリケ・グラナドス
振付:ナチョ・ドゥアト
出演:サラファーノフ、コテ、ゴメスマトヴィエンコ
出演者の名前を誤って転記してしまったので修正させていただきます。
申し訳ございません


第三部
「”プルースト~失われた時を求めて”よりモレルとサン=ルー」
音楽:ガブリエル・フォーレ
振付:ローラン・プティ
出演:コテ、ゴメス

「牧神の午後」
音楽:クロード・ドビュッシー
振付:ティム・ラシュトン
出演:サラファーノフ

「LABYRINTH OF SOLITUDE」
音楽:Tomaso Antonio Vitali
振付:パトリック・ド・バナ
出演:ワシーリエフ

「DANCE OF THE BLESSED SPIRITS」
音楽:クリストフ・グルック
振付:フレデリック・アシュトン
出演:デニス・マトヴィエンコ

「KO’d」
音楽:ギョーム・コテ
振付:マルセロ・ゴメス
出演:ゴメス、コテ

この公演を企画しているアルダーニの公式サイトによると、11月1、2日にノヴォシビルスクでの公演を予定していますが、現時点ではこの二都市以外の公演は予定されていないようです。
by jicperformingarts | 2012-09-10 01:06 | イベント・ゲスト情報 | Comments(4)


検索
リンク集
■JIC旅行センター
メインページ
■JICトピックス■~ロシア・旧ソ連の情報あれこれ~
エンターテイメントのページ

■バレエ/オペラ
ボリショイ劇場
マリインスキー劇場
モスクワ音楽劇場
ノーヴァヤ・オペラ(モスクワ)
ミハイロフスキー劇場
エカテリンブルク国立劇場
ペルミ国立劇場
ノヴォシビルスク国立劇場
タタール国立劇場(カザン国立歌劇場)
バシキール国立劇場(ウファ)
サマーラ国立劇場
チェリャビンスク国立劇場
サラトフ国立劇場
クラスノヤルスク国立劇場
ボロネジ国立劇場
ニジニ・ノヴゴロド国立劇場
ロストフ国立音楽劇場
アストラハン国立劇場
チュバシ国立劇場
オムスク国立音楽劇場
国立ブリャート歌舞劇場
コミ共和国国立劇場(スィクティフカル)

カザフスタン国立オペラ劇場
アルメニア国立オペラ劇場
リヴィヴ国立オペラ劇場(ウクライナ)

エルミタージュ・バレエ
クレムリン・バレエ
モスクワ・シティ・バレエ
エイフマン・バレエ
タッチキン・バレエ
ヤコブソン・バレエ(サンクト・ペテルブルク・アカデミー・バレエ)
パンフィーロフ・バレエ

■コンサート
モスクワ音楽堂
チャイコフスキー記念モスクワ・コンセルヴァトーリア
チャイコフスキー記念コンサート・ホール(*Moscow Philharmonic Society)
ボリショイ・ザール(*マールイ・ザールと共通)

■その他(編集中)
サンクト・ペテルブルク国立児童音楽劇場
アレクサンドリンスキー劇場
マールイ・ドラマ劇場
ヴォルコフ・ドラマ劇場(ヤロスラヴリ)

タグ
Twitter
以前の記事
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧