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ロシア:劇場のしおり


旧ブログ名:『サンクト・ペテルブルクからのひとこと日記』■サンクト・ペテルブルクやモスクワを中心に、ロシア各都市の劇場トピックスなどをご紹介しているJIC旅行センターのブログです。
by jicperformingarts
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民族舞踊ショー付レストラン「サンクト・ペテルブルク」

住   所:5, Nab.Kanala Griboyedova
電話番号:+7 812 314 4947

Photo:JIC旅行センター
ウェブサイトがないとのことなので、お店に許可をとって写真を掲載しています。
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  民族舞踊ショーをウリにしているレストランはサンクト・ペテルブルクに数多くありますが(モスクワにも沢山あるとは思いますが、不案内なもので…)、その代表格「サンクト・ペテルブルク」に5月4日に行って来たので、レポートします。

 まずロケーションですが、血の教会と運河を挟んでお向かいです。ということは、街の最中心部で、地下鉄「ネフスキー・プロスペクト駅」もミハイロフスキー劇場もカザン大聖堂もロシア美術館もこのレストランから見えます。
 ご予算の目安として、二人でサラダ、ワイン、メイン(付け合わせとバケットがついてきます)、食後にデザートとお茶も頼んで約3000ルーブルでした。日本円にすると高めではありますが(9600円)、元々ロシアではレストランの相場が高めだということや、ショーやお店の雰囲気を考えると、まあこんなものなのかなと思います。このレストランに限ったことではありませんが、少食な日本人のこと、結局最後までおいしく食べきるのは難しいので、上手くシェアするのがコツではないかと。なお、入口前にメニュー(英語併記)が置いてあるので、先にパラパラ見ておくことが出来て安心です。
 ショーはディナータイムに一時間一回、20分ほどです。20:00~、21:00~、22:00~、の予定でしたか、まだシーズン前で客席がまばらだったせいか、22:00~を21:40~に持ってきていました。また2回とも違うプログラムでした。ハイシーズンはBGMが生演奏、23:00~のショーもあるそうです。
 私が行ったGWの時期は、ペテルブルクではまだ観光シーズンではないので、客席はまばらで、ステージから遠い席でも鑑賞に不都合はありませんでした。でも、ショーがお目当てなら、夏に行く場合は予約は必須なのかなと思います。
     Photo:JIC旅行センター 
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 さて肝心の民族舞踊ショーの中身ですが、店内には小さなステージがあり、結構本格的です。民族舞踊ショー付きのレストランは何度か行ったことがありますが、3~4人で客席を練り歩くくらいの規模だったので、なるほど、確かにここは本格的です。客席をぐるっと一周してくれたり、ステージ外の別のフロアにも進出してきてくれることもあります。ステージには2~3人でいることが多かったですが、後半はマックスで15人位いたと思います。
 定番の民族衣裳に身を包んだ出し物からフレンチカンカンならぬロシアンカンカン?というミニスカ演目(でも健康的なんですよね…)、ツィガン(ジプシー)の踊りまで、あれこれ趣向を変えてくれるので、こういうステージを普段観ないという方には、ダンス鑑賞20分間お試しパックといった感じで、飽きにくいかもしれません。お兄さんたちが頑張ってアクロバットを披露してくれました。また、民謡を披露してくれたりと、歌あり踊りありです。有名な「黒い瞳」も歌っていました。

 最後に嬉しいオプションを一つ。お店を出ると、ライトアップされた血の教会が不意打ちのように近くにあります。
Photo:JIC旅行センター
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左上から時計回りに:1.シーザーサラダ(350RUB)、2."トルネード"(ビーフです。750RUB)、3.ベリーとチーズのタルト(300RUB)、4.キエフ風カツレツ(700RUB)
by jicperformingarts | 2010-05-26 01:19 | 公演の感想(フォーク・ショー) | Comments(0)

エカテリンブルク国立劇場:2009-2010シーズン閉幕

 エカテリンブルクは、エリツィンの出身地としても知られるロシアの工業都市です。ソ連時代の「スヴェルドロフスク」という都市名の方に馴染みがある方も多いかもしれません。そんな都市にあるオペラ劇場ですが、首席常任指揮者にファビオ・マストランジェロ、首席客演指揮者にセルゲイ・スタドレルを抱えているなど、どちらかというとオペラの方に力をいれています。
 シーズン閉幕が近づく中、いくつかイベントが企画されていますので、キャストなど詳細は未発表ですがご紹介します。

「ニコライ・ゴーリシェフを称えて」
2010年6月6日 『スペードの女王』
2010年6月7日 『ガラ・コンサート』

http://www.uralopera.ru/actuals/showactuals.php?id=47 
 この劇場で長年活躍し、現在はエカテリンブルクのコンセルヴァトーリヤで教鞭を取るゴーリシェフを称える企画です。フランスやモスクワ、サンクト・ペテルブルク等各地で活躍する彼の友人や教え子による公演とのことです。ピヤフコも登場予定です。
 6日の『スペードの女王』には、ゲルマン役に4人キャスティングされていますが、持ち回りということなのかこの中の誰か、という意味なのかよく分かりません。

オペラ『ドン・ジョバンニ』新制作
2010年6月24,25,26日

http://www.uralopera.ru/actuals/showactuals.php?id=36
指揮:ファビオ・マストランジェロ
演出:マティアス・フォン・シュテークマン

『ニコライ・オスタネンコを称えて』
2010年6月27日

http://www.uralopera.ru/actuals/showactuals.php?id=44
 こちらも、この劇場で長年活躍したソ連邦功労芸術家のオスタネンコを称えるガラ・コンサートが予定されています。この公演でバレエはシーズン閉幕です。

『VIVA GALA OPERA』
2010年6月28日

http://www.uralopera.ru/actuals/showactuals.php?id=50
 ガラ・コンサートの出演者については、ボリショイ劇場、マリインスキー劇場からソリストを迎えて、となっています。定訳は分かりませんが、全ロシアの歌手見本市のようなイベントの開幕コンサートという位置づけになっているので、外国からのゲストはいなさそうですが、ガリーナ・ヴィシネフスカヤ・プレゼンツになっているので、水準は高いのではないでしょうか。
by jicperformingarts | 2010-05-24 08:35 | イベント・ゲスト情報 | Comments(0)

HP更新記録(2010.05.22)

6月サンクト・ペテルブルクの公演予定を更新しました。

6月サンクト・ペテルブルクの公演予定のページを作成しました。マリインスキー・コンサート・ホールの予定なども追加しましたが、この月は、むしろオペラ・バレエよりもクラシック・コンサートが充実しています。クラシックはあまり詳しくない私でも知っているアーティストが目白押しです。
 また、ペテルブルクの老舗コンサート・ホールの「ボリショイ・ザール」(フィラルモーニアとも呼ばれています)でも6月は国際フェスティバルを開催しますので、ファンにとっては楽しいひと月なのではないでしょうか。
by jicperformingarts | 2010-05-22 20:08 | HP更新記録 | Comments(0)

HP更新記録(2010.05.15)

7月モスクワの公演予定のページを作成しました。
7月サンクト・ペテルブルクの公演予定を更新しました。


 7月モスクワの公演予定のページを作成しました。また、サンクト・ペテルブルクの公演予定も更新しました。
 このゴールデン・ウィークを使ってロシアに行ってきました。観光シーズンには少し早いかなという気もしたのですが、その分まだ混雑というほどの混雑もなく、ゆったり過ごすことができました。また、ロシアだけでなく、パリ・オペラ座とマリインスキー劇場の同演目を観比べてみたり、ハンブルクでバレエ・リュスにちなんだ公演も観ることができたので、こちらも少しずつブログにUPしていこうと思います。
by jicperformingarts | 2010-05-16 18:25 | HP更新記録 | Comments(0)

ボリショイ劇場:2010年ブノワ賞ガラ・コンサート

 ブノワ賞は、ヨーロッパでもっとも権威あるともいわれる舞踊関連の賞ですが、モスクワ・ボリショイ劇場で授賞式が行われることが多いです。今年2010年は5月18日にノミネート公演が行われますが、翌日19日には、こちらも恒例の過去の受賞者による豪華なガラ・コンサートが予定されています。既に直前ではありますが、出演者・演目は以下の通りです。

http://www.bolshoi.ru/en/season/press-office/pconf/notice/index.php?id26=1526

≪第一部≫
『3つのグノシェンヌ』
アヌ・ヴィヘリアリンタ(オランダ国立バレエ)
アレクサンドル・ゼンブロフスキー(オランダ国立バレエ)

『カルメン組曲』
エカテリーナ・コンダウーロワ(マリインスキー・バレエ)
イリヤ・クスネツォフ(マリインスキー・バレエ)

『白鳥の湖』第2幕よりアダージョ
ルシア・ラカッラ(ミュンヘン・バレエ)
マーロン・ディノ(ミュンヘン・バレエ)

『マーラー交響曲第5番』よりアダージェット
シルヴィア・アッツォーニ(ハンブルク・バレエ)
アレクサンドル・リアブコ(ハンブルク・バレエ)

『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』
エフゲーニヤ・オブラスツォーワ(マリインスキー・バレエ)
セミョーン・チュージン(モスクワ音楽劇場バレエ)

『Buenos Aires in the Evening Hour』
エレオノーラ・カッサーノ(Ballet Argentino, Julio Bocca Foundation)
ガブリエル・ポンセ(Ballet Argentino, Julio Bocca Foundation)

≪第2部≫
『マノン』
カースティン・マーティン(オーストラリア・バレエ)
ロバート・カラン(オーストラリア・バレエ)

『ザ・ピクチャー・オブ...』...』(※HPでは"The Portrait of...")
マニュエル・ルグリ(パリ・オペラ座バレエ)

『シンデレラ物語』
シルヴィア・アッツォーニ(ハンブルク・バレエ)
アレクサンドル・リアブコ(ハンブルク・バレエ)

『タイス』
ルシア・ラカッラ(ミュンヘン・バレエ)
マーロン・ディノ(ミュンヘン・バレエ)

『三角帽子』より
マリヤ・アレクサンドロワ(ボリショイ・バレエ)
ジョゼ・マルティネス(パリ・オペラ座バレエ)

『海賊』よりパ・ド・ドゥ
エカテリーナ・クルィサノワ
イワン・ワシーリエフ
by jicperformingarts | 2010-05-15 14:25 | イベント・ゲスト情報 | Comments(0)

『第16回ヌレエフ記念国際バレエフェスティバル』(ウファ)

先日カザンのタタール国立劇場の「ルドルフ・ヌレエフ記念国際クラシックバレエ・フェスティバル」をご紹介しましたが、ロシアにはもう一つ(もしかしたら他にもあるかもしれないですが)、同じ名前のダンサーの名を冠したフェスティバルが存在します。
 毎年開催されているようですが、今年は第16回目を迎え、2010年6月1日~9日の開催になりますので、概要を紹介します(ロシア語のみですが参照したペ-ジはこちら)。

6月1日(火) 新作『マリオネット』(『ペトルーシュカ』に着想を得て)
6月2日(水) 新作『マリオネット』(『ペトルーシュカ』に着想を得て)
6月3日(木) 『ウラノワ生誕100年記念ガラ』
6月4日(金) 『ESSE HOMO』
         (イタリアのダンス・カンパニーによる公演)
6月5日(土) 『白鳥の湖』 ギュリシナ・マヴリュカソワ / イリダール・マニャポフ
6月6日(日) 『バヤデルカ』 ギュゼル・スレイマノワ / ディヌ・タマズラカル
6月7日(月) 『ショピニアーナ』 アンドレイ・エフドキモフ
         『カルメン組曲』 アンドレイ・メルクリエフ
         『ワルプルギスの夜』ディヌ・タマズラカル
6月8日(火) 『眠れる森の美女』 リマ・ザキーロワ / アンドレイ・メルクリエフ
6月9日(水) 『ガラ・コンサート』 ウリヴィ・アジゾフ(アゼルバイジャン)、
         ユーリ・アナニャン、エレーナ・クジミナ(エイフマン・バレエ)、
         アンドレイ・エフドキモフ、岩田守弘、アンドレイ・メルクリエフ(ボリショイ・バレエ)、
         ダリア・ホフロワ、アルチョム・アフチャレンコ(ボリショイ・バレエ)、
         ラウラ・オルミゴン、オスカー・トレド(スペイン国立バレエ)、
         ディヌ・タマズラカル(ベルリン国立バレエ)、
         アレクサンドル・タラノフ、クセニヤ・バルバシェワ(ペルミ・バレエ) 
by jicperformingarts | 2010-05-09 18:40 | フェスティバル情報 | Comments(0)

5/7 ハンブルク・バレエ『バレエ・リュッスへのオマージュ』

 ドイツ、ハンブルクでの公演です。ロシアではないですが、前日にサンクト・ペテルブルクでバレエ・リュッスの写真展を観ていたこともあり、とても興味深かったので感想を書いてしまいます。バレエ・リュッスとは、約100年前にパリを始め世界中を席巻したロシアのバレエ団です。ワツラフ・ニジンスキー、アンナ・パヴロワ、タマラ・カルサーヴィナ等の伝説的なダンサーを擁していましたが、それだけではなく、ピカソ、ルオー、ローランサン、ジャン・コクトーなどの芸術家とのコラボレーションが、バレエ・ファン以外の関心を集める理由なのでしょうか(音楽のチョイスも心憎いと思います。)。

『放蕩息子』
アレクサンドル・トゥルシュ / エレーヌ・ブシェ 

 主役の放蕩息子は、やんちゃなところがピッタリでした。好感が持てる役どころでは全くないので、有り金巻き上げられても「ざまあみろー」と思ってしまうのですが、巻き上げられた後のボロボロ感はすさまじく、無事家に帰り着いて、父親にまた迎え入れてもらうところでは、心底、ああよかったねと思いました。が、その直後、放蕩息子の父が、突然放蕩息子をお姫様だっこして幕となったので、余韻は吹き飛んでしまいました(笑)
 放蕩息子を誘惑して全てを巻き上げる娼婦のシレーヌを演じたエレーヌ・ブシェは、正直、冷気を放つ迫力はあまりありませんでした。が憐憫とごろか、巻き上げた金品を手下に分配する時でさえ何の喜びも見せない、心が冷え切っていそうなシレーヌで、かなり際どいパ・ド・ドゥをトゥルシュと踊っている時も、無表情に観客を見据えるころに空虚さを感じます。彼女は女王でも魔女でもなく娼婦なので、この空虚さこそシレーヌをシレーヌたらしめているのでは、という気にさせました。

『アルミードの館』
オットー・ブベニチェク 
ジョエル・ブーローニュ / カースティン・ユング
チャゴ・ボアディン / アレクサンドル・リアブコ / アレクサンドル・トゥルシュ

 発狂した後のニジンスキーを描いた80~90分のノイマイヤーの作品です。実体としてのニジンスキーをブベニチェクが、彼の影(ドイツ語が分からないので解釈違いだったらすみません)をユングが、かつてのダンサーとしての彼をリアブコ(『アルミードの館』)とボアディン(『シャムの踊り』)が、そしてバレエ学校時代の彼をトゥルシュが踊ります。また幾重にも展開する舞台構造など複雑ではありましたが、紙芝居のなかに吸い込まれるような不思議な感覚を覚えました。
 印象に残っている演出は色々ありますが、舞台手前にブベニチェク、そして床に敷かれたバックドロップを境界に舞台奥がバレエ学校時代の想い出の世界、というシーンで、バックドロップを踏み越えて向こう側へ行くところが一番気になっています。
 まだ、舞踊作品としての一つのピークは、『シャムの踊り』だったと思います。今年の世界バレエフェスティバルでボアディンのソロを観ていましたが、全幕の中で観ると雰囲気が全く違います。彼が誘いかける相手は、他ならぬニジンスキ-でした。精神病院の庭のような場所を散歩中に、ボアディンの姿がちらついてブベニチェクの中で踊りへの衝撃がムクムクふくらんで苛立って行きます。そしてついに医者・看護婦を振り切って踊り出すところは、この作品を通して一番の激しさがありました(他は全体にフワフワ地に足が付いてない感じ)。ただ、その激しさもドラマトゥルギーとしてのもので、ブベニチェクとボアディンとの二極になった分、東京で観た時のような圧倒的な求心力はありませんでした。
 ニジンスキーは、結局死ぬまで狂気から醒めることはなく、この作品も史実の通りでした。真っ白い空間にブベニチェクが孤独に立ちつくすのを観て、ああ、こういうエンディングなのかと思ったら、結局また踊り始めてスーッと幕がおりました。やっぱり、狂気の中でも踊り続けるんですね。
 なんだかダンサーについてほとんど触れていませんが、ダンサーと作品が完全に一つの世界に溶け込んでいたので、特に切り出して書くこともないかなと。でも、カースティン・ユングの一挙手一投足は渋くてかなり気になりました。

『春の祭典』
シルヴィア・アッツォーニ 
 
 ミリセント・ホドソンという方が振り付けたとのことですが、マリインスキー・バレエと良く似ているので、おそらく原典版からも近いと思います。衣装はマリインスキーのものより手が込んでいて繊細です。
 ひときわ華奢なアッツォーニが生け贄でした。内股でおどおどした彼女は輪になって踊っていても、爪弾かれ爪弾かれ、そしてある瞬間に輪の中心に追いやられて閉じこめられます。なんだかこういう罰ゲームがあったなあ、と思いますが、この過程も儀式のうち?と思ってしまうのは、不協和音が禍々しい祭典の音楽のせいでしょうか。少女のような彼女が激しく踊る豹変振りは、それまで置物のように動かなかったこともあり、まさに何かの儀式でした。しかも一発芸的な激しさではなく、舞台全体のボルテージを上げるだけ上げきるアッツォーニの見かけによらない底力がすごかったです。
 
 うっかり真面目に感想を書いていたら力尽きてしまいました。
by jicperformingarts | 2010-05-07 19:00 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

5/5マリインスキー『セレナーデ/イン・ザ・ナイト/テーマとヴァリエーション』(一部5/3パリ・オペラ座)

 今回の旅のお楽しみの一つが、ジェローム・ロビンズの名作『イン・ザ・ナイト』をマリインスキー劇場とパリ・オペラ座で見比べてみよう!だったので、先にこの演目から書いてしまいます。もちろん、水準はもとより規模も世界最大級というこのカンパニーの公演を一回ずつ観たからといって、何か大層なことが書けるわけではありませんが、全く違う印象を受けたのは事実です。

「ジェローム・ロビンズへのオマージュ」より『イン・ザ・ナイト』
パリ・オペラ座(5/3)
メラニー・ユレル/マティアス・エイマン
エヴァ・グリンツスタイン/クリストフ・デュケンヌ
オレリー・デュポン/ニコラ・ル=リッシュ

 コンサートなどで抜粋だけ観ていて、ずっと全幕で観てみたかった作品です。明確なあらすじはなく、そのまんま、とある夜に3組のカップルが踊るという作品です。ですが、クライマックスで3組がバッタリ出会うところは、とてもドラマチックです。
 一番目のカップルは、グレーがかった水色の衣装で踊ります。ユレルとエイマンも、とてもはつらつとショパンのピアノ音楽を舞台中に振りまいてくれました。エイマンは若干サポートが危ういところもありましたが、それも若さのアピールか、という感じです。
 そして次がマズルカ風の踊りを披露したグリンツスタインとデュケンヌです。茶色というかオレンジというか、ともかく秋色の衣装です。グリンツスタインの人妻の貫禄というか(実生活がどうかは知りません)、堂々たる貴婦人ぶりに、まるで、一組目のカップルの10年後を観ているような錯覚にとらわれました。
 そして最後に登場するのは黒の下に赤がのぞくドレスのデュポンと、グレーの衣装を着たル=リッシュです。衣装が分かりやすいペアルック(笑)でなかったり、ワケアリカップルの香りがする等、明らかにこのペアがメインです。うねるようなリフトの後、パートナーは去り、また戻ってくる…を繰り返し、最後に抱き合って終わります。
 デュポンは、格調高い美しさです。ル=リッシュに手を伸ばして肩から腕に触れていきながらもすがりつくことに躊躇うシーンは、その理由を考えはじめると、この作品が非常にドラマチックなものに思えてきます。が、ここからそのまま「男」の前に腕を投げ出してうずくまるところは、ちょっと違和感です。彼女の演技は、この「全てをあなたに委ねます」と言いたげな振りをするには、あまりにも誇り高そうだったのかもしれません。 ル=リッシュはサポート上手いですね!この公演は3階席で観ていたのですが、一階3列目で観たマリインスキーのこのパ・ド・ドゥより迫力がありました。

※実は5/2も観ていたのですが、ほとんどまともに観れていないので、感想は控えます。でも、マリインスキーを含め3回観た中で、5/2のデルフィーヌ・ムッサンが一番良かったと思います。たおやかで…。

「セレナーデ/イン・ザ・ナイト/テーマとヴァリエーション」
5/5 マリインスキー劇場
『イン・ザ・ナイト』(本当はこの日2番目の演目でした)
マリヤ・シリンキナ/デニス・マトヴィエンコ
アリーナ・ソモワ/コンスタンチン・スヴェーレフ
ヴィクトリア・テリョーシキナ/ユーリ・スメカロフ

 これは単純にカンパニーの個性だろうと思いますが、マリインスキーの方が、蔦のように優美な腕から身のこなしまで美しかったです。が、最初の二組の差別化は正直微妙です。これだけキレイならまあいいやと思って「ショパンのピアノ音楽」らしいロマンティシズムにごまかされてみるものの、でも全然違う音楽なのに…、と気になる箇所もありました。マトヴィエンコにしてもズヴェーレフにしても、サポートに徹してこそ輝き3割増しというダンサーではないので、それも通常比で不完全燃焼な印象が残った理由です。
 そして最後のカップルがテリョーシキナとスメカロフでしたが、抑えても抑えきれない愛情というよりも、愛の苦しみを直球(剛速球?)で謳い上げてしまった感がありました。先程デュポン/ル=リッシュのところでも触れた、「男」の前に腕を投げ出してうずくまるくだりですが、これはやはり抑制の表現だと思うので、テリョーシキナのパフォーマンスの中で浮いてしまった感じでした。

『セレナーデ』
アナスタシア・マトヴィエンコ
エフゲニー・イワンチェンコ / アレクサンドル・パリーシュ

 最初、群舞がバラバラでう~んと思いましたが、後半は、バランシンの硬質な振り付け(絶対この人は理系だと思う)と、マリインスキーの草食系なところが醸し出す透明感にうっとりでした。
その中で、アナスタシア・マトヴィエンコは華奢なんですがお肉をモリモリ食べてくるところが思い浮かぶダンサーで少し系統が違います。
 系統が違うと言えば、パリーシュはイギリスから移籍してきたダンサーと言うことです。舞踊的にそんなに見せ場がある役ではなかったので力量の程はわかりませんが、あの体型が膨張して見える衣装でも普通に見えたということで、容姿には恵まれているのではないでしょうか。

『テーマとヴァリエーション』
オレーシア・ノーヴィコワ/レオニード・サラファーノフ

 個人的に、『イン・ザ・ナイト』が、キレイだけどちょっと地味なパフォーマンス…だったのすが(こちらが期待しすぎたせいもあります)、この作品で締めくくってくれたので、この日の満足度は高かったです。
 ノーヴィコワは、衣装もさることながら、それ以上に本人がキラキラしていました。アレグロが得意で軽快なイメージだったので、脚裁きが身上の、素敵な振り付けのソロは本来十八番だったのではないかと思いますが、今回そのあたりは産休明けのせいかまだまだ未回復でした。
 サラファーノフは、サポートの前に妙な気合いが入っていて、流れがそのたびに切れるとこはいかがなものかと思います。でも、キレのあるジュテはさすがに美しく、群舞をひっさげて踊るに相応しいダンサーなんだなと実感しました。
by jicperformingarts | 2010-05-05 19:00 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

HP更新記録(2010.04.30)

第10回マリインスキー国際バレエフェスティバルの
速報を掲載しました。


マリインスキー・国際バレエフェスティバルのレビューを3件いただいたので掲載しました。21日『白鳥の湖』、23日の『NEW GENERATION』(若手振付家の夕べ)と、25日の開幕『ガラ・コンサート』です。春はロシアにおけるバレエ・フェスティバルのハイ・シーズンですが、さすがにマリインスキーは盛りだくさんです。読んでいるだけでも楽しいフェスティバルなので、特にバレエファンの方には、是非目を通していただければと思います。
by jicperformingarts | 2010-05-05 16:24 | HP更新記録 | Comments(0)


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■コンサート
モスクワ音楽堂
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チャイコフスキー記念コンサート・ホール(*Moscow Philharmonic Society)
ボリショイ・ザール(*マールイ・ザールと共通)

■その他(編集中)
サンクト・ペテルブルク国立児童音楽劇場
アレクサンドリンスキー劇場
マールイ・ドラマ劇場
ヴォルコフ・ドラマ劇場(ヤロスラヴリ)

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