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ロシア:劇場のしおり


旧ブログ名:『サンクト・ペテルブルクからのひとこと日記』■サンクト・ペテルブルクやモスクワを中心に、ロシア各都市の劇場トピックスなどをご紹介しているJIC旅行センターのブログです。
by jicperformingarts
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1/4 ボリショイ劇場 『くるみ割り人形』

バレエの定番『くるみ割り人形』をロシアで見比べてみよう!③

 年末から新年にかけては、ロシアでも冬休みなので劇場の公演数は局地的に激増しますが、とりわけ多く上演されるのがこの『くるみ割り人形』。日本でもクリスマスの定番演目となっていますし、チャイコフスキーの音楽もあって、「バレエを観るなら『くるみ割り人形』か『白鳥の湖』かなあ」という方も多いのではないでしょうか。
 ですが、一口にロシアの『くるみ割り人形』といっても劇場によって演出等様々ですので、今回ちょっと『くるみ割り人形』めぐりをしてきました。


 最後、第3弾は首都モスクワのボリショイ劇場です。この劇場では現在グリゴロヴィッチ版が上演されています。海外公演ではあまり上演されない演目ですし、実は私もビデオで抜粋を観たことがある位で、このバージョンはほぼ初見です。

 まず、衣装・装置がワガノワ・バレエ・アカデミーと同じシモン・ヴィルサラーゼなので、やはりどこか似ていますし、全般にとてもオーソドックスで、子供でも気軽に楽しめる演出だと思います。ただ、意外に2幕は寂しい印象。というのも、各国のお菓子をイメージした踊り(キャラクター・ダンス)が、全て二人ずつだったり、音楽が非常に有名な「花のワルツ」の女性群舞が12人、ソリストが6人と、少人数編成だったというのが大きいと思います。
 とはいうものの、キャラクター・ダンスが二人ずつ、というのは演出として失敗だったとは言えません。ダンサーが粒ぞろいだったのもありますが、振り付けが通常のキャラクター・ダンスよりもバレエとしての見せ場が多く、見応えがあったからです。例えば、「インド」のオリガ・ステプレツォーワとルスラン・プローニンがムードがあって素敵でしたし、「フランス」の女の子がいいな、と思ったら別の日には金平糖の精(『くるみ割り人形』の主役)にキャスティングされているアナスタシア・スタシケヴィッチでした。また、「中国」の岩田守弘さんの超絶技巧には、会場もかなり沸いていました。

 以上、ボリショイ・バレエはやっぱり層が厚いね、とお伝えしたところで、主役の感想を。この日の金平糖の精はエカテリーナ・クルィサノワ、王子はアルチョム・アフチャレンコが踊りました。アフチャレンコは、日本でもお馴染みのニコライ・ツィスカリーゼの教え子で、最近ペルミの国際バレエコンクールで第一位になった、期待の新星です。確かに、ジュテのとき後方に伸ばした脚のニュアンスがツィスカリーゼを思い出させますし、好み云々に左右されず、素直にいいダンサーと認められる水準にある若手です。リフトでは一部危ないところもあったけれど、その他はソツなくこなしていました。
 クルィサノワはかれこれ一年ぶりに全幕主役をみましたが、可憐さはそのままに、主役らしい華も出て来た印象です。特に一幕、くるみ割り人形とジュテ(跳躍)を繰り返すところが、純粋な少女の風情があって素敵でした。ただ、2幕は…グリゴロヴィッチ版の振り付けはあまりに難しく、淑女の気品を醸し出せるほどの余裕を持ってこなせるバレリーナはほぼ皆無でしょうから、きっちり踊りきっただけでも充分なのではないでしょうか。

 ということで、『くるみ割人形』巡りはこれにて終了です。全部若手中心の公演に当たったので、はからずもロシア・バレエの将来をかいま見ることも出来たかな~と思います。あとは、やはりこの作品は音楽がとても美しいので、定番には定番の理由があるようです。実は、あまりに定番すぎて、あえて観ることが少なかった演目なので、こうして見比べてみると、色々な発見があって面白かったです。
by jicperformingarts | 2009-01-04 12:00 | 公演の感想(バレエ)

1/3 ノヴォシビルスク国立オペラ劇場 『くるみ割り人形』

バレエの定番『くるみ割り人形』をロシアで見比べてみよう!②

 年末から新年にかけては、ロシアでも冬休みなので劇場の公演数は局地的に激増しますが、とりわけ多く上演されるのがこの『くるみ割り人形』。日本でもクリスマスの定番演目となっていますし、チャイコフスキーの音楽もあって、「バレエを観るなら『くるみ割り人形』か『白鳥の湖』かなあ」という方も多いのではないでしょうか。
 ですが、一口にロシアの『くるみ割り人形』といっても劇場によって演出等様々ですので、今回ちょっと『くるみ割り人形』めぐりをしてきました。


第2弾はノヴォシビルスク・バレエです。この劇場のくるみ割り人形は前任のバレエ・マスターであるセルゲイ・ヴィハレフのバージョン(注:ヴィハレフ退任後、バレエマスターのポストは廃止され、代わりに芸術監督が設置されました)。
 基本的にはワイノーネン版で、話の筋が通りやすいようにマイナーチェンジを施したという感じです。具体的には、マリーとくるみ割り人形、王子と金平糖の精を全く別の登場人物としているので、(特にくるみ割り人形から王子に変身するシーンなど)不自然さを感じることもないですし、また、本当はフリッツ(マリーの兄)もくるみ割り人形が欲しかったので、取り合いになって運悪く壊れてしまう、という感じです。その他、最初、ドロッセルマイヤーが機械仕掛けの人形に囲まれた部屋にいるところから始まるので、ほんのり『コッペリア』コッペリウス風味です。
 衣装・装置は至ってシンプル。物足りないとも言いますが(笑)、そもそもロシア系の『くるみ割り人形』全般がこういう感じなので、標準なのではないでしょうか。

 今回観たのは11:30開演のマチネでした。さすが冬休みのマチネ、お子様率は高く、クロークのクリスマス・ツリーではイベントでもあったのかマイクが残されており、子供が色々歌ってました。可愛かったです。私のチケットも、「娘が突然病気になっちゃって」という若いママから100ルーブリ(360円くらい)で譲って頂きました。

  若手中心のマチネで観ましたが、そこは伸び盛りのバレエ団。「あれ? こんないい子いたっけ?」と思うと入団一年目だったりで、将来が楽しみです。
  特に、お、と思ったのが、くるみ割り人形を踊ったセミョーン・ヴェリチコです。容姿・立居振舞いも優雅で、このまま他バージョンのように王子も踊れそうでした。横に開脚する跳躍が、爪先まで良く伸びふわっとしていて印象的でした。一幕最後の、マリーを担ぎ上げたまま舞台袖まで連れて行くまさに最終盤のリフトだけミスってしまいましたが、そこはご愛敬??
  もう1人、金平糖の精を踊ったヴェーラ・サヴァンツェワも入団一年目です。えーと、容姿はgoo-です。というか不思議な魅力があります。体型はヒョロヒョロでもなくムチムチでもなく伸びやか。お顔も作りそのものよりも表情が印象に残るというか、健康的でいいですね。

  その他、マリーを踊ったエレーナ・ルィトキナは小柄で元気いっぱいなところが新鮮でした。可憐なだけがマリーではないってことでしょうか。一方、既に何回か観ているロマン・ポルコーヴニコフは不調でした。リフトのサポートはスパンと決まるのに、回転系のサポートがほぼ全滅とはこれいかに。。。でもマネージュで床面に描く円は大きくなってました。あのノヴォシビルスクの大きな舞台を大回りできるダンサーも珍しいかなと思います。
  こんな感じで、5年後が楽しみな若手が観れたのは勿論収穫なのですが、雪の場の清々しい美しさを観ると、改めてこのバレエ団の感じ良さは貴重だな~と思います。

  結局、この日は朝5:40にノヴォシビルスク空港着、荷物がナカナカ出てこず、市内に出れたのは7:30頃。そこから駅の仮眠室でシャワーを浴びて仮眠とって~というスケジュールだったので、結構慌ただしかったです。でも太陽が出ていて、気温もマイナス8度と過ごしやすかったのはラッキーでした。おかげで終演後街をブラブラすることができました。
18:00にはモスクワに向かうべく空港に戻ります。21:00に(時差は3時間)モスクワに着くと、なんとマイナス15度…。寒波でした。
  そんなわけで、翌日、1月4日はボリショイ劇場の『くるみ割り人形』です。
by jicperformingarts | 2009-01-03 11:30 | 公演の感想(バレエ)

1/2 マリインスキー『くるみ割り人形』

バレエの定番『くるみ割り人形』をロシアで見比べてみよう!①

 年末から新年にかけては、ロシアでも冬休みなので劇場の公演数は局地的に激増しますが、とりわけ多く上演されるのがこの『くるみ割り人形』。日本でもクリスマスの定番演目となっていますし、チャイコフスキーの音楽もあって、「バレエを観るなら『くるみ割り人形』か『白鳥の湖』かなあ」という方も多いのではないでしょうか。
 といっても一口にロシアの『くるみ割り人形』といっても劇場によって演出等様々ですので、今回ちょっと『くるみ割り人形』めぐりをしてきました。
 
 
 第一弾はマリインスキー劇場です。この劇場では二つの演出が上演されています。まずバレエ団によって通年上演されているバージョンがあり、こちらはシェミャーキンによる前衛的な美術がウリになっている現代バレエです。一方、年末年始限定でワガノワ・バレエ・アカデミーによって上演されているのがザ・スタンダードのワイノーネン版。衣装はシモン・ヴィルサラーゼです。
 今回観たのは、ワガノワ・バレエ・アカデミーによる公演です。勿論プロの公演ではないのですが、そこはスターを含む優秀なソリストを輩出し続ける名門ですから、充分楽しめます。
 
 この日の主役はエカテリーナ・クラシュークとヴィクトル・レベジェフ。一言で言うと、男の子はアタリだけど、他はなあ…、です。まずよかったレベジェフですが、ほっそりしていて立ち居振る舞いも優雅です。2008年3月に観た時より大分たくましくなったし、このまま順調に成長して欲しいなと思います。カリフラワーのような髪型はいかがなものかと思いましたが、そこはおいおい(笑) 跳躍がキレイでした。
 そしてマーシャのクラシュークは、近年マリインスキーでよくみる「そこまで脚あげなくてもいいのに」型です。確かに誰にでも出来ることではないですが、「ひえー」と思うところで感想が終わってしまい、他のところにまで目がいきませんでした。

 子役のマーシャは去年も既に何回か見たレナータ・シャキロワ。個人的にあまり好きなタイプではないので、他の子で見たかったですが、これから大化けすることに期待します。
 その他、雪の精の二人のソリストでは、アメリカからの留学生キナン・カンパの跳躍がダイナミックでしたし、黒人の人形のダニール・ロパーチンが回転を非常に頑張っていました。
 大変失礼ながら、粒ぞろいだけど皆小粒??という印象がぬぐえなかったのですが、多分これは私が一番大事な3幕を観なかったせいもあると思います。あとから友人に聞いたところでは、他にも目立つ子がいたようですし。

 3幕を観ずに何をしてたのかといいますと、空港に向かっていました。翌日はノヴォシビルスクです(笑)
  
  
   
by jicperformingarts | 2009-01-02 19:00 | 公演の感想(バレエ)


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