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ロシア:劇場のしおり


旧ブログ名:『サンクト・ペテルブルクからのひとこと日記』■サンクト・ペテルブルクやモスクワを中心に、ロシア各都市の劇場トピックスなどをご紹介しているJIC旅行センターのブログです。
by jicperformingarts
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2012.10.07 クレムリン大会宮殿「21世紀のバレエのスターたち」

 諸事情で大幅に遅刻したので、観られなかった演目が結構あるのですが、観られたもののみ感想を書きます。当日購入したプログラムと演目がバラバラなので、何が見逃した演目なのか、いまいち確証はありません。
 クレムリン大会宮殿は舞台が巨大なので、舞台両脇にスクリーンをそれぞれ設置して、色々なアングルからダンサーが映し出されます。最初は表情などがわかりやすくていいなと思っていたのですが、キスシーンも大映しになってしまうのですね(笑)スクリーンでバーン!!と映し出されると、ちょっと気恥しい…。

第一部(後半のみ)
「白鳥の湖」より湖畔のアダージョ
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ

 最初誰が踊っているのかわからず、この美脚は一体誰だと思ったのですが、後でキャスト表を見て納得。最後の方しかみていないのでよくわかりませんが…腕のしならせ方はやや過剰で好きになれませんが、フォトジェニックで美しい白鳥です。

「カラヴァッジョ」
リュドミラ・パリエロ、マチュー・ガニオ

 ガニオがこの作品をレパートリーにしているとは知りませんでした。カラヴァッジョという人間の放蕩ぶりは全く感じられませんでしたが、ビゴンゼッティ(振付家)が志向した世慣れぬ少年の風情はばっちりです。
 パリエロは、マノンよりはこちらの方が似合っているかなと思います。ゆっくりと静かに脚で語る作品でした。

「ドン・キホーテ」
マリア・コチェトコワ、イワン・ワシーリエフ

 コチェトコワは小柄でかわいらしいダンサーです。少しふくらはぎがたくましくなったかなあという気もしますが、32回転でスタっと立膝をついてフィニッシュできる余裕がありました。
 ワシーリエフは、モスクワの観客の覚えがめでたいのか、名前がアナウンスされた瞬間から拍手喝采です。

「リリオム」
アリーナ・コジョカル カースティン・ユング

 モルナールの戯曲を元にした作品で、ろくでなしの回転木馬の客寄せと可憐な女中さんの物語です。何よりも、コジョカルのテクニックはすごいなと思いました、深腹筋をめいいっぱい人形振りのような踊りでドギマギしている様子を上手く表現していたり、長いバランスや速いパッセ(異様に速い)や、テクニックのすべてが音楽を表現するためにあるようです。
 ユングは、やさぐれた男の色気があるダンサーなので、この役にぴったりだなと思いました。1975年生まれとのことなので現在37歳のようですが、動きもまだまだキレがいいです。彼女に対しては、そりゃあ誰でも誠実にならざるを得ないだろうと思うのですが、戯曲のあらすじをインターネットで調べてみると、そうもいかない泥沼の戯曲なのですね…。

第二部
「Keep your breath」
アナスタシア・ヴィノクール、ウラディスラフ・マリノフ

若手振付家にチャンスを与えるプロジェクトとして今回のガラで抜擢されたのはベルリン国立バレエのクセニヤ・ヴィスト。男女の諍いがテーマなのでしょうか、すがるヴィノクールの手をすり抜けてマリノフが去り、茫然とした表情のヴィノクールで幕、です。

「海賊」
アレクサンドラ・ティモフェーエワ、セルゲイ・ポルーニン

 ティモフェーエワはクレムリン・バレエのプリマです。2008年に観た時は強靭なテクニックの持ち主だと思ったのですが、今回はフェッテもかなり辛そうでした。
 ポルーニンは大技を詰め込みすぎて、なんだかメリハリのない踊りです。ワシーリエフの、大技の後の「俺はやったぜ…拍手カモン」的キメを多少見習ってもよかったんじゃないかと思います。ソロで力尽きてしまったのか、コーダのピルエットは軸の崩れが目立ちました。

「マノン」より寝室のパ・ド・ドゥ
 マチュー・ガニオ、リュドミラ・パリエロ

残念ながら、パリエロには小悪魔的お色気が不足していました。なんとなく、エトワール歴の長いガニオが彼女を盛り立てようとしているような印象を受けました。しかし、マチューのロシア語表記が「マチヨー」になってしまうのはなんとかならないのでしょうか。

「Source of Inspiration」
パルヴァネ・シャラファリ、ホルヘ・ナザル、Medhi Walerski

ソル・レオン、ポール・ライトフットがフィリップ・グラスの音楽を使って制作した作品です。男性二人、女性一人の構成ですが、恋愛要素はなく、神秘的な音楽の中でクールに筋肉で語る作品です。

「椿姫」より白のパ・ド・ドゥ
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ

ノイマイヤーの傑作「椿姫」の第二幕で踊られる、幸福そうなマルグリットとアルマンのパ・ド・ドゥです。ディノは全てに恵まれたお坊ちゃんという感じで、全幕で観ていたら印象も変わると思うものの、このパ・ド・ドゥではさほど魅力的ではありませんでした。
でもラカッラの演技だけで舞台に引きずり込まれました。基本的にとても大人のマルグリットです。いずれ汚れていくような無垢さから来る白ではなく、何もかもが洗い流された後の白さのような、冴え冴えとした表情でした。しかし、時折見せるいたずらっぽさは、その職業のために人より早く捨ててしまった少女時代を、10数年後になってようやく彼女は取り戻せたのだろうと思わせます。

「椿姫」より黒のパ・ド・ドゥ
シルヴィア・アッツォーニ、アレクサンドル・リアブコ

 なんと二演目連続で椿姫という競演ですが、全く違う個性の役者による演技です。どちらもそれぞれに圧倒的でした。こちらのペアが踊ったのは第三幕で、アルマンの元を去ったマルグリットが、アルマンに彼女へのあてつけをやめてほしいと訴えに訪問する場面でのパ・ド・ドゥです。
 まず、リアブコは登場した瞬間からマルグリットに裏切られた怒りや混乱、彼女への愛情全てが全開で、一気に全幕の続きを観ているかのような気になりました。そうしたアルマンの熱情をぶつけられて、遂に理性を忘れてアルマンに飛び込むマルグリットには、激しさはなく、茫然とした表情というべきか鬼気迫る表情というべきかわかりません。足取りもふらふらしています。けれどそれが、弱った体で必死に相手の将来を思いやって彼と別れようとする賢い女性の本心がむき出しになった瞬間として説得力があります。

「The labyrinth of solitude」
イワン・ワシーリエフ

パトリック・ド・バナが彼に振付けたソロです。タイトル通り、孤独と格闘する男の人の物語なのでしょうか。タイツ姿だと脚のラインが気になってしまうのですが、多少ゆったりめのパンツ姿だったので、マネージュの迫力を心置きなく堪能させてしまいました。欲を言えば、動きのない状態で、顔からだけでなく全身から狂気を放って欲しいです。
by jicperformingarts | 2012-10-08 16:05 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)
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