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ロシア:劇場のしおり


旧ブログ名:『サンクト・ペテルブルクからのひとこと日記』■サンクト・ペテルブルクやモスクワを中心に、ロシア各都市の劇場トピックスなどをご紹介しているJIC旅行センターのブログです。
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2012.03.03 ロイヤルオペラハウス「ロミオとジュリエット」

アエロフロートを使ってヨーロッパでバレエ巡り~ロンドン編~
パリと並ぶメジャーな観光都市で、便数も多く行きやすい都市です。もちろん英国ロイヤル・バレエの本拠地ですが、サドラーズ・ウェルズやロンドン・コロシアムでは様々なカンパニーが色々な企画を上演しています。


アリーナ・コジョカル
ヨハン・コボー

この日鑑賞したのは英国ロイヤル・バレエの「ロミオとジュリエット」。おそらく英国ロイヤル・バレエのプリンシパルの中でも看板と呼べる二人ですが、この日は、特にコボーが素晴らしかったと思います。コジョカルのスピード感を少しも損なわないサポートで、マクミラン版のリフトってこんなに美しかったのか、と再認識させられました。でもそれよりもこんなにジュリエットへの愛を感じさせるロミオは初めて観ました。バルコニーのパ・ド・ドゥの何がすごかったかというと、ロミオがバルコニーに登場した時点で「うわあ完全にのぼせ上ってる…」と思わせる演技だったことです。そこからスタートして、どんどん骨抜き度が上がっていくのです。終盤のジュリエットから目が離せない彼の表情は、まさに魂を抜かれたようでした。

というコボーの演技は、コジョカルのジュリエットが持つ小悪魔的な魅力によって補完されていたのか、コボーの演技がジュリエットを小悪魔に見せたのかはよくわかりません。ただ、コジョカルのジュリエット像は純真そのものとは少し違うと思います。利発で、他人が自分に何を求めているのかちゃんとわかっているジュリエットで、キャピュレット夫人の前ではちゃんと自分を取り繕うことも知っています。バルコニーのパ・ド・ドゥ後半では、ロミオの「キスしたい!!」という気配を察知(観客の十割も察知してたかも。笑)した上でかわしてみたりします。恥じらう演技自体は大体のジュリエット・ダンサーが見せるものですが、恥じらってみること、それが許されることで、ロミオから寄せられる愛情を実感する、という喜びを隠さないところにファム・ファタールとしての破壊力を感じました。
といってもロミオへの愛情が薄いジュリエットというわけでは全然なくて、第三幕冒頭の別れを惜しむパ・ド・ドゥでは悲壮感が漂っています。特にナイチンゲールの鳴き声に怯える二人の表情が印象的です。コボーのジュリエットへの愛情を必至に抑えようとする演技が、痛々しい。その後、仮死状態のまま埋葬されたジュリエットにロミオが会いに来ます。おそらくジュリエットが自殺するのに使う短刀の伏線になるためだけに殺されるパリスが気の毒で気の毒で仕方がなかったのですが、この日の公演では、自分たちの置かれた状況の理不尽さに対する怒りがパリスにぶつけられたのかな、と思わせる迫力がありました。

また、今回特にいいなあと思ったのはベネット・ガートサイド演じるティボルトです。箱入り娘のジュリエットの相手としては、ティボルトに刃物突き付けるは、常に娼婦とつるんでいるは、挙げ句ロザリンドに言い寄っていたりと、彼の株は上場前にして底値を割っているようなものなので、ティボルトが「俺のかわいい従妹にこんな害虫が!!」となるのもよくわかります。血の気は荒いが従妹思いのいい人という感じで、マキューシオを殺してしまったのも事故になっています。演出によってはティボルトを明確に悪役に仕立てている版がありますが、個人的には、「ロミオとジュリエット」は本当に悪い人はいないはずなのに最悪の結果になる点に悲劇性があると思います。実は、第三幕のジュリエットの死よりも、第二幕最後の、大事な人を殺された人が、今度は誰かの大事な人を殺す、という振れ幅激しいドラマトゥルギーの方に毎回圧倒されます。今回、特にエリザベス・マクゴリアンのキャピュレット夫人の熱演はこのドラマトゥルギーを際立たせていたと思います。
マキューシオはリカルド・セルヴェラ、ベンヴォーリオは蔵健太。ベンヴォーリオ以外の主要な若者はほぼ皆殺しという…。マキューシオに比べると影が薄くなりがちなベンヴォーリオですが、彼のステップの切れの良さはセルヴェラの小回りの利いた踊りとはまた違った個性があってよかったです。

by jicperformingarts | 2012-03-04 06:51 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)
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