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ロシア:劇場のしおり


旧ブログ名:『サンクト・ペテルブルクからのひとこと日記』■サンクト・ペテルブルクやモスクワを中心に、ロシア各都市の劇場トピックスなどをご紹介しているJIC旅行センターのブログです。
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2012.01.27 ルーセント劇場:「シルヴィ・ギエム 6000マイル彼方」

アエロフロートでバレエ巡り~ハーグ編~

アエロフロートを使って「モスクワ+ヨーロッパ一都市バレエ旅行」を推奨してみる企画第二弾はハーグです。今回使った空港はアムステルダムですが、元々アムステルダム-ハーグ間の鉄道路線上に空港があるので、空港からハーグ中央駅まで直行できて所要時間は30分くらいです。ハーグ旅行の目的は「Holland Dance Festival」。ヨーロッパはコンテンポラリー・ダンスのフェスティバルが本当に多く、どこか行ってみたかったので決行しました。もちろんオランダ国立バレエ、NDT、スカピノ・バレエ・ロッテルダム等、レベルの高いカンパニーが沢山あるようなので、オランダもいいなあと思いました。


この日鑑賞したのは「シルヴィ・ギエム 6000マイル彼方」です。サドラーズ・ウェルズとギエムのプロダクションとパンフレットに記載されています。6000マイル彼方の国とは日本のことで、2011年3月の東日本大震災の被害者に捧げた作品とのことです。と言っても、震災を前面に出したプログラムではありませんが、ダンサーと観客の距離感があり、それが「どんな悲劇が起こってても6000マイル離れてたら届かない」というメッセージにも感じました。メッセージの受け手がヨーロッパということもあるのか、「ボレロ」のような作品は持って来ていません。

第一部はまずフォーサイス振付の「Rearray」マッシモ・ムッルとのデュオです。テクニックはクラシック寄りなのでパ・ド・ドゥといってもよさそうですが、感情の応酬のようなものはなく、ストップ・モーションの連続が淡々と続いて、これまたクールなサポートの反復で幕…という感じです。
何よりもまずギエムのコントロールされたテクニックに釘付けです。グワッと音がしそうなディベロッペを見慣れた眼には、エネルギーの発散が全然見えない急ブレーキのような静かなムーブメントが新鮮です。次の動きにエネルギーを一切引きずらない、慣性の法則って何だっけ…と言いたくなるような、研ぎ澄まされたテクニックでした。
ムッルはかなり久々にみましたが。肩下まである巻き毛をハーフアップという、イケメンのみに許される髪型です(笑)踊りは、パワー勝負というより、流麗な感じでしょうか。

そして次がキリアン振付の「27’ 52“」。NDTのNatasa NovotnaとVoclav Kunesが踊りました。先ほどの「Rearray」とはまったく異なり、今度は典型的コンタクト・インプロヴィゼーションというか、動きと動き、ダンサー間の相互作用で構成される作品です。こちらも、とても静かな作品で、ダンサーのエネルギーも波紋のように反復を繰り返しながら小さくなって、観客に届く前に消えてしまいます。
冒頭、女性ダンサーは赤いタンクトップを着ていましたが、途中で脱いで、男性ダンサーとまったく同じ衣装になって踊り続けます。肌色のレオタードを下に着込んでるとかそういう生ぬるいことはしないんですね…。

最後がエック振付の「Bye」です。舞台中央にドア位の大きさのパネルがあり、このパネルに様々な白黒映像が映し出されます。ギエムの顔の超アップから始まり、全身にどんどんカメラを引いて行ったあと、パネルの後ろに隠れているギエム本人が現れて、生身と映像が交錯します。その後パネルには男性や犬などが映し出されて、最後には5~6人の人々が現れ、ギエムもそこに吸い込まれて幕、となります。
映像芸術を語るときに欠かせない理論の一つにロラン・バルトの「明るい部屋」がありますが、この理論をざっくりいうと写真に映るのは「かつてあったもの」であり「失われてもうないもの」です。なので、どこかユ-モラスな振付ながら、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ、そしてギエムの表情とのあいまって、泣き笑いを誘うような作品だと思いました。観客としての私個人の経験による解釈ですが、失われてしまった人やものの楽しかったことを思い出して笑ってから、そっかもうないんだっけ、思ってしまう感覚を思い出します。
by jicperformingarts | 2012-01-28 18:23 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)
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