ロシア:劇場のしおり


旧ブログ名:『サンクト・ペテルブルクからのひとこと日記』■サンクト・ペテルブルクやモスクワを中心に、ロシア各都市の劇場トピックスなどをご紹介しているJIC旅行センターのブログです。
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タグ:モスクワ音楽劇場 ( 38 ) タグの人気記事

2017.4.15 モスクワ音楽劇場バレエ『アンナ・カレーニナ』

ヴァレリア・ムハノワ
ドミトリー・ソボレフスキー

 チューリッヒ・バレエとの共同制作で、そして来シーズンはミュンヘン・バレエでの新制作も予定されているクリスチャン・シュプックの新作です。衣装含めて洗練された演出ですが、ノイマイヤー作品の綺麗な部分(もちろんノイマイヤーはそれだけではないですが)だけを焼き直したようで、正直あまりオリジナリティを感じませんでした。振付上も、真新しい動きはなかったです。
 粗筋上、愛憎渦巻くドロドロ感がないと説得力が出ないので、『アンナ・カレーニナ』自体が洗練されたコンテンポラリー系の演出とはあまり相性良くない題材なのかもしれません。アンナとウロンスキーが不倫関係に落ちるまでもあっさりしており、直接的な性的表現の生々しさと、感情表見(葛藤とか良心の呵責とか)の薄さに違和感がつきまといます。ウロンスキーがアンナに一目惚れしてから人目もはばからずに口説くところも、猪突猛進というよりただ軽薄に見えたためか、これに引っかかったアンナがとても愚かに見えてしまい、第2幕も、自業自得だしなあ…と、アンナに同情する機会を失ってしまいました。アンナ役のムハノワもウロンスキー役のソボレフスキーも、とりあえず、ともに見目麗しくテクニックも確かです。演技は薄味でしたが、ダンサー個人の力量のせいというより演出の影響が大きかった気がします。
 ただ、アンナが自殺を選ぶところは、ありきたりな激しいソロではなく、舞台手前で崩れ落ちてドレスを握りしめて客席(虚空)を見つめるアンナと、舞台奥で踊る家族達という演出でしたが、自分が軽薄にも捨てたものに打ちのめされる感じがよく出ていて秀逸でした。

 ここまでとてもネガティブな感想になっていまいましたが、青年領主リョービンとキティ(アンナの兄嫁の妹)の描き方はとても気に入りました。シュプック版では、この二人がアンナとウロンスキーとの対比として、重要なポジションを与えられていますが、この二人の清々しい(?)愛の物語が、シュプックの抑制された演出に合っていた気がします。特に結婚式の場面は、とても美しい音楽が舞台に染み渡るような振り付けで、この日一番の喝采を浴びていました。



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by jicperformingarts | 2017-04-22 17:25 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

2017.02.26 モスクワ音楽劇場バレエ『白鳥の湖』カルダシュ&ミハリョフ

オクサーナ・カルダシュ
イワン・ミハリョフ

 オクサーナ・カルダシュが好きなので行ってみました。お気に入りのダンサーだからというのもあるのでしょうか、とても満足度が高い公演でした。

 カルダシュはふくらはぎなど筋肉はしっかりしており、ザハロワに代表される、しゅるんとした蔦のような造形美とはまた違いますが、鍛え抜かれたアスリート的な身体の曲線はそれはそれで美しいです。2幕(1幕2場)のアダージョでは、王子と目が合う寸前で目を逸らす一方(アダージョ後半では少し目が合うようになるのですが)、オディールの時は王子を凝視する対比が心憎いです。基本的にオデットもオディールも無表情気味なのですが、オディールの時は、笑みを浮かべる一歩手前で止めているような、全然違う印象の表情でした。第4幕では、演出の妙もあるのでしょうが、許しを乞う王子を無視して立ち去ろうとするが、見捨てきれずに戻ってきて絶望に支配されつつも許しを与えるところも、大げさな表情の演技はありませんでしたが、マイムの間も含め、味わい深さがありました。
 32回フェッテは後半はシングルのみなのでスーパーテクニックがあるわけではありませんが、第2幕のソロでは、左右対称にデヴェロッペも上がるし、ポーズ一つ一つでぴたりと止まれるポワントの強さもあり、全幕通じて技術面で目立った減点要素はありませんでした。

 イワン・ミハリョフは、スタイルの良いロシア系の中でもひときわ脚が長く、物腰穏やかな、おっとりお坊ちゃん王子の佇まいでした。
 濃ゆい演技というわけではありませんが、第2幕で、オデットを見つめ続けてもオデットが目を逸らし続けるのでしょんぼりしているあたりから、第3幕の「オデット(実はオディール)が自分を好きになってくれた!!」という素直な喜びに溢れた黑鳥のパ・ド・ドゥのソロ、そして第4幕でオデットに許しを乞う時もしつこく食い下がらず、ああ一応自分のやらかしたことの意味を理解してるんだな~と思わせる一連の流れから、好感度が高い王子でした(脱線しますが、この許しを乞う場面、群舞18羽+大きい白鳥3羽+小さい白鳥4羽=25羽から一斉に王子に拒否を突きつけるところは壮観です。この25羽の中心にあって、唯一明確な拒絶を示さないのがオデットです)。

 道化のサレル・アファナシエフはシベリア出身なのかな?という容姿です。東アジア系っぽいお顔の道化はちょっと新鮮です。バネのある跳躍だけでなく、回転からも若さがあふれる感じです。モスクワ音楽劇場はキャラクターダンサーが充実していますが、新たな逸材です。
 
 一方で、三羽の大きな白鳥、パ・ド・カトル(セルゲイエフ版等定番の演出ではパ・ド・トロワ)ではこれというソリストはいませんでした。しかし、パ・ド・カトルではいまいち地味だったセルゲイ・マヌイロフは、第3幕のマズルカでは、パートナーのスタニスラワ・アントワとともにぐいぐい前に進む疾走感がありよかったです。



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by jicperformingarts | 2017-03-20 18:11 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

HP更新記録(2016.12.20):1月公演予定

1月モスクワの公演予定を作成しました。
1月サンクト・ペテルブルクの公演予定を作成しました。

 1月の公演予定を更新しました。今年もロシアの年末年始は「くるみ割り人形」祭りです(ロシアに限ったことではありませんが)。色々な演出があるので、見較べてみるのも面白いと思います。
 モスクワは、ボリショイ劇場・モスクワ音楽劇場ともにクラシックな演出ですが、どちらも衣装・装置はとてもシンプルで、ダンサーのレベルが高いからこそ満足度が保たれるのか…という演出です。マリインスキー劇場では、超王道のワイノーネン版、抜群に気合いが入ってキテレツなシェミャーキン版、付属に近いバレエ学校であるワガノワ・バレエ・アカデミーによる公演(ワイノーネン版)の3パターンがあります。ミハイロフスキー劇場のくるみ割り人形は、コンテンポラリーのドゥアト版ですが、シンプルエレガントな演出です。



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by jicperformingarts | 2016-12-20 08:30 | HP更新記録 | Comments(0)

HP更新記録(2016.3.27):3月モスクワ公演予定

4月モスクワの公演予定を作成しました。

 
4月のモスクワの公演予定を更新しました。4月末と言えばゴールデンウィークに突入していますが、この時期、ボリショイ劇場では、オペラ「エフゲニー・オネーギン」と、バレエ「オネーギン」を並行して上演するようです。どちらも、ロシアの国民的文豪プーシキンの戯曲が原作で、チャイコフスキーの音楽ですが、全然違う雰囲気の作品ですので、見比べてみるのも面白いのではないかなと思います。
 また、モスクワ音楽劇場でも4月に集中的に世界的なスターがゲスト出演します(サラファーノフ 4/7「ラプソディー」&4/11「コッペリア」、ムンタギロフ4/17「ジゼル」、ポルーニン4/21「白鳥の湖」、シクリャロフ4/22「白鳥の湖」、フォーゲル4/29「マノン」)。

 
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by jicperformingarts | 2016-03-27 23:47 | HP更新記録 | Comments(0)

HP更新記録(2015.11.01):モスクワ11月の公演予定

11月モスクワの公演予定を作成しました。


  11月のモスクワの公演予定を更新しました。モスクワ音楽劇場と言えば、昔ながらのバレエファン・オペラファンに愛される劇場ですが、一方でボリショイ劇場よりも先鋭的な現代作品も沢山レパートリーに持っています。11月もそういった新制作が日本予定されていますが、一本は黒沢明の映画(ということは芥川龍之介の小説「羅生門」「藪の中」でもありまずが)をモチーフにしたダンス作品「羅生門」です。 



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by jicperformingarts | 2015-11-02 00:34 | HP更新記録 | Comments(0)

2015.1.4 モスクワ音楽劇場「管弦楽入門」

指揮者:ヴャチェスラフ・ヴォーリチ
ガイド:アルチョム・ヴァルガフチク
ダンサー:エレーナ・ポドモゴワ、
      ティモフェイ・グーリン、ウラジーミル・フォーミン


 アウトリーチ等が盛んなヨーロッパの影響か、ロシアでも青少年向けの入門プログラムが増えてきたので、どんなものだろうと思い行ってみました。日本でいう就学年齢未満と思しき観客も多い中、休憩なしで80分程度の公演でしたが、あらゆる趣向を凝らしていて、ぐずりだす子どもはいませんでした。私自身とても面白く鑑賞しましたので、ロシア語がある程度できて(子どもが理解できる程度なので、難解なロシア語ではありません。)、オーケストラについてちょっと勉強してみたいなという方にはとてもおすすめです。

 プログラムは、ベンジャミン・ブリテンの楽曲の「マチネ・ミュージカル」「青少年のための管弦楽入門」「夕べの音楽会」で構成されています。出演は、指揮者のヴャチェスラフ・ヴォーリチと楽団員に加え、ガイドのアルチョム・ヴァルガフチクと、ダンサー3人です(コロンビーヌとハレーキン2人)。
 「マチネ・ミュージカル」の後、ガイドが淡々と解説しながら進行するのかな、と思っていたら、ガイドとダンサー3人が突然料理を始めます。「マチネ・ミュージカル」と「夕べの音楽会」がロッシーニからだったので、ロッシーニ風レシピということで、イタリアン料理のいいにおいが会場に漂います。 
 その後、「青少年のための管弦楽入門」「夕べの音楽会」と続きますが、ダンサーが大活躍です。「青少年のための管弦楽入門」の冒頭は、パーセルの「ムーア人の復讐」がベースになっているので、その寸劇をやったり(ガイド、指揮者も加わります。)、「夕べの音楽会」では、それぞれの民族衣装に着替えて、ボレロやタランテラなどを実際に踊って見せてくれました。もちろん、「青少年のための管弦楽入門」では、それぞれの楽器の特徴を解説するという基本は押さえているので、勉強にもなります。

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Photo:JIC旅行センター
(小ホールは大ホールとまたがらりと違う雰囲気です。)


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by jicperformingarts | 2015-01-06 00:38 | 公演の感想(コンサート) | Comments(0)

HP更新記録(2014.8.24):9月公演予定

9月モスクワの公演予定を作成しました。

 9月モスクワの公演予定を作成しました。ボリショイ劇場、モスクワ音楽劇場ともに、9月は招待公演を予定しており、バラエティ豊かな公演日程になっています。残念ながらシルバーウィーク中は公演が盛りだくさんというほどでもありませんが、それでも元々公演数が多いモスクワのオペラハウスですので、観るべきものがなくて退屈するということはありません。
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by jicperformingarts | 2014-08-24 23:21 | HP更新記録 | Comments(0)

HP更新記録(2014.5.17):6月モスクワ公演予定

6月モスクワの公演予定を作成しました。

 6月のモスクワの公演予定のページを作成しました。ボリショイ劇場では、英国ロイヤル・バレエの招待公演が予定されている他、ボリショイ・バレエのクランコ版「オネーギン」、ノイマイヤー版「椿姫」が予定されており、ヨーロッパ色の強いプレイビルになっています。
 また、モスクワ音楽劇場バレエは、7月に「マノン」新制作を予定しているため、バレエ公演の数が少な目になっています。
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by jicperformingarts | 2014-06-22 20:30 | HP更新記録 | Comments(0)

HP更新記録(2013.1.3):2~3月モスクワ公演予定

1月モスクワの公演予定を更新しました。
2月モスクワの公演予定を更新しました。
3月モスクワの公演予定を作成しました。


 あけましておめでとうございます。本年も、どうぞよろしくお願いいたします。
 モスクワを中心に公演予定を更新しました。1月のボリショイ劇場のキャスト、2月のチャイコフスキー・コンサート・ホールの公演予定を追加した他、3月の公演予定のページを作成しました。
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by jicperformingarts | 2013-01-03 00:07 | HP更新記録 | Comments(0)

2012.10.06 モスクワ音楽劇場「人魚姫」

アナスタシア・ペルシェンコーワ
ゲオルギー・スミレフスキ
マリーヤ・セメニャチェンコ


ジョン・ノイマイヤー版です。以前ハンブルク・バレエ来日公演でも上演されたので、ご覧になった方も多いと思います。今回、チケット印字されている公演名が「人魚姫(大人向け)」となっていて、ちょっと笑ってしまいました。人魚姫と言えば、ロシアの子とも向け演劇、ミュージカル、人形劇の定番ですが、確かにこの作品は確かに子どもむけとは言い難い。基本的なあらすじは原作どおりですが、王子が海軍将校みたいだったり、またプリンセスにあたるヘンリエッタもレトロながら現代的な格好です。また、人魚姫の衣装やメイク、そして特に陸上に上がってからの描写は、人間にとって異形の存在であることが明らかで、美しいお姫様スタンダードからは外れています。

 人魚姫を踊ったのはアナスタシア・ペルシェンコーワ。無表情のまま、あどけない眼だけから悲しみが伝わってきます。エキセントリックさはさほどでないのですが、多分人間の尺度では測れない感情だったのだろうということで。エドワードが去った後、エドワードのために失ったものにうちのめされるところも、決して押しつけがましくないものの、だからこそ一層哀れです。
 死んだふりをしているエドワードに想いをぶつけるところが彼女の精いっぱいを感じていじらしいのですが、そんな姿にエドワードもやっと彼女の想いに気が付いたのか、キスしかけて思いとどまるまでの葛藤が長かった(笑)この役はゲオルギー・スミレフスキが踊りました。ベテランならではの優雅な所作にお茶目なところもあり、人魚姫との掛け合いは一見ほのぼのしていて温かいのですが、人魚姫にしてみれば、」生殺しの辛さでしょうか。
 プリンセスにあたるヘンリエッタは、ウクライナ出身の美しいバレリーナ、マリーヤ・セメニャチェンコが踊りました。完全に好みの問題ですが、ややコケットリーが過剰だったような。当時の記憶があいまいなのですが、ハンブルク・バレエで観た時はヘンリエッタはとても善良な人として描かれ、いい人で恨みようがないからこそ、と、行き場のない人魚姫の悲しさが際立っていたような気がします。セメニャチェンコのヘンリエッタは、人魚姫がエドワードとヘンリエッタの間に割り込むたびに「え、なんなのこの子」という表情をしていました。

 ノイマイヤーらしく、主要キャラクターだけではなく、コールドにも見せ場が与えられています。水兵たちの踊りは、テクニックも華やかで見どころもりだくさんですが、ダンサーたちが結構手を抜いてたような気もします。
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by jicperformingarts | 2012-10-07 18:18 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)


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