ロシア:劇場のしおり


旧ブログ名:『サンクト・ペテルブルクからのひとこと日記』■サンクト・ペテルブルクやモスクワを中心に、ロシア各都市の劇場トピックスなどをご紹介しているJIC旅行センターのブログです。
by jicperformingarts
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30
カテゴリ

タグ:マリインスキー劇場 ( 147 ) タグの人気記事

HP更新記録(2017.09.30) :10月モスクワ、ペテルブルク公演予定

10月モスクワの公演予定を作成しました。
10月ペテルブルクの公演予定を作成しました。

 ブログに投稿するのを失念しておりましたが、10月のモスクワ、サンクト・ペテルブルクの公演予定を更新しました。本格的にシーズンが始まり、盛りだくさんなプレイビルになっています。マリインスキー劇場では「ニーベルングの指輪」のツィクルス上演も予定されていますので、体力のある方はぜひ挑戦されてはいかがでしょうか。





[PR]
by jicperformingarts | 2017-10-08 18:08 | HP更新記録 | Comments(0)

2017.6.23 マリインスキー・バレエ『Le Divertissement du roi/イン・ザ・ナイト/シンフォニー・イン・C』

現代作品によるトリプル・ビルですが、いずれもある意味クラシックより上品な作品です。楽しめた公演でしたが、マリインスキー・バレエの層の薄さが浮き彫りになった公演でもありました。

Le Divertissement du roi
 意味としては「王様のディベルティスマン」ですが、ラモーによる17世紀後半の音楽に乗せて個々の小品がつらつらと続いていく、ルイ14世時代のフランス宮廷の様子を再現したような作品なので、フランス語のままの方が、作品の雰囲気がよく伝わると思います。
冒頭、いきなりスカート姿の王様と4人の貴族(御学友?)が登場し、荘重で美しくはありますが、現代人の目には舞踊的にはかなり物足りない振付で、これが約30分続いたら退屈だな~と思っていたのですが、その後のオランダ風やらゼフュロスやらの踊りでは、優美さの平均値ならパリ・オペラ座の向こうも張れるマリインスキーの男性陣に合った振付けで、見せ場もそれなりにあり、楽しめました。バランシンの「ルビー」のような手をひらひらさせる振りや、脈絡なく登場するカタツムリなど、微妙なやる気のなさがいいアクセントになっています。
 王様役はフィリップ・スチョーピン。跳躍時の姿勢の美しさやプリエのなめらかさなど、そして生まれ持ったお公家っぽさがこの役にとても合っています。そのほか、4人の貴族の中では、アンドレイ・アルセニエフにコンテンポラリーの可能性を感じました(しかし、目立っていたのは若干踊りがこの作品の雰囲気に合ってなかったからでもあるので、一概に褒め言葉とは言えません)。

イン・ザ・ナイト
アナスタシア・マトヴィエンコ&フィリップ・スチョーピン
エカテリーナ・コンダウーロワ&エフゲニー・イワンチェンコ
ヴィクトリア・テリョーシキナ&ユーリ・スメカロフ

 まずスチョーピン、連投お疲れ様です。そして昨日全幕で主要な役を踊ったばかりのイワンチェンコ、スメカロフもお疲れ様です。
 最初のペアについてはみずみずしさがイマイチで、二組目の似たような踊りになってしまっており、しかし二組目のような円熟味もなく…という印象でしたが、ダンサーのせいと言うよりはこんな日程で踊らせた事務局のせいという気がしなくもありません。
 三組目では、テリョーシキナから熱演したい気持ちは伝わってくるのですが、抑制的な振付の中では時に浮いてしまうというか、もう少し水面下での激情を感じさせて欲しいです。

シンフォニー・イン・C
 マリインスキー・バレエのこの作品は大好きです。4組のペアが、それぞれ男女2人ずつを従えて踊ったあと華やかにフィナーレ、という構成です。
 Allegro vivo(オレンジ)はオスモルキナとジュージン。久々に観たオスモルキナですが、持ち前の明るさが健在でうれしいです。そしてエシャペで2番に立ったときの幅がびっくりする位広くて、コンパスの違いを再認識…。
 Adagio(グリーン)はアナスタシア・コレゴワとアンドレイ・イェルマコフ。コレゴワは、マリインスキーにあっては凡庸なソリストという評価にならざるを得ませんが、全幕主演の翌日でもしっかり踊れるスタミナはあるのだなと思いましたし、それゆえ貴重な人材だと思います。
 Allegro vivace(グレイ)はオレーシア・ノヴィコワとエルネスト・ラティポフ。ラティポフも6月20日までモスクワ国際バレエコンクールに出てたのにお疲れ様です。でもノヴィコワのサポートなら、お疲れでもこなせるか~と思うくらい、華麗な音楽をさくさく裁いていくようなノヴィコワの踊りは、自立していてパートナーへの負担も少なそうです。
 もう一度Allegro vivace(ネイビー)で、ナデジタ・ゴンチャルとアレクセイ・ティモフェーエフこのペアだけイマイチでした。この作品、男性ソリストにとってはそこまでの超絶技巧はないので、安心してマリインスキーの男性ソリストの洗練・優美が堪能できるはずなのですが、ティモフェーエフだけ音の遅れや、着地の乱れが目につきました。この曲は、グレイのAllegro vivaceよりも軽やかさが求められるにもかかわらず、なぜズラータ・ヤリニチとニカ・ツィフヴィタリアというアレグロ向きではない二人(役によってはいいダンサーです)で脇を固めたのかなあ…と疑問です。



[PR]
by jicperformingarts | 2017-07-03 07:03 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

2017.6.22 マリインスキー劇場『海賊』

アナスタシア・コレゴワ
エフゲニー・イワンチェンコ
ウラジーミル・シクリャロフ
エレーナ・エフセーエワ

 久々に全幕の「海賊」を観ましたが、やっぱり面白いです。個人的には、イワンチェンコが脚の線含め若返っていてびっくりです。1992年ワガノワ卒ということは、現在42歳くらいのはずですが、多少跳躍の高さに衰えはあるもののとても40過ぎには見えません。そして、メドーラを高々と持ち上げるリフトも、全然腕がプルプルしていないのがすごいです。思わずオペラグラスで確認してしまいました。さすが、長年ロパートキナや他の長身のマリインスキーの女性ソリストを持ち上げ続けて何十年怪我なしなだけのことはあります。加えて、若手には出せない海賊の頭領としての貫禄もあります。

 メドーラはコレゴワでしたが、花園の場で、快活な音楽なのにテロ~ンとした踊りなのはいかがなものかと思いましたが、身体の線はきれいです。
 アリ役のシクリャーロフは客席からの歓声がとても大きかったです。ただ、特に空中での回転で軸がぶれがちだったり、そして着地音がとても大きいので、また怪我をするんじゃないかと不安になる踊りです。この役を演じる上では、野性味と従順かつ優秀な部下ぶりのバランスが重要ですが、かなり従順さに偏る印象でした。
 
 ギュリナーラ役はエフセーエワでしたが、動きの一つ一つにいい意味での型があり、日々の研鑽が窺えます。ただ、ミハイロフスキー・バレエ時代の天真爛漫さが失われてしまったようで少し寂しくもあります。これからベテランになる中で、いい意味で肩の力が抜けてくれますように。

 そして、ランケデム役のマクシム・ジュージンがとても良かったです。ディズニーのアニメに出てきそうな軽妙な足取りに、客席からも自然に笑いが出ます。プリエが綺麗なので、一幕のパ・ド・ドゥも軽快です。
 ビルバントはユーリ・スメカロフです。踊りそのもののキレは普通ですが、濃ゆい演技をテクニックの中に織り込むスキルはさすがです。

 オダリスクの三人娘は、ラウラ・フェルナンデス、ヤナ・セリナ、ヴァレリア・マルティニュクでした。フェルナンデスは、ローザンヌ・コンクールでのコンテンポラリーの印象が強かったのですが、要所要所のポーズはクラシックとしても美しく、はつらつとしたいい踊りです。しかし、次のヤナ・セリナの360度いつでも端正な踊りをみると、ベテランはさすがだなと思います。



[PR]
by jicperformingarts | 2017-06-29 18:34 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

2017.4.16 マリインスキー・バレエ『フォーキン・プロ』

『ショピニアーナ』
ダリア・パヴレンコ、アナスタシア・マトヴィエンコ、ザンダー・パリッシュ
 10年振り位にパヴレンコを観ましたが、自己陶酔感にびっくりしました。年齢的なものもあってポワントも弱くなってしまいましたが、ロマンティシズム溢れるショパンの音楽を、かなりゆっくりしたテンポで、いい意味でねっとり踊ってくれました。なんというか、むわっとした熟女感があり、シルフィード達を率いる貫禄は十分です。
 ザンダー・パリッシュも、跳躍の時にフリーレッグがぐらんぐらんするのはいかがなものかと思いましたが、細心の注意がうかがえるサポートで、妖精達から歓待されるのも納得の、夢見る詩人の風情です。
 という中、マトヴィエンコは美しいものの、心を閉ざしたような機械的な踊りで残念でした。

『薔薇の精』
ワシリー・トカチェンコ、クセニア・オストレイコフスカヤ
 トカチェンコは勢い余って着地でよろめく時も数回あり、人外の魔性感はありませんでしたが、音楽の華やかさに見合うみごとなバネです。オストレイコフスカヤも、いくつになっても少女のような佇まいで眼福です。

『瀕死の白鳥』
カテリーナ・チェブィキナ
可もなく不可もなくでしょうか。肩が意外と堅かったです。

『シェヘラザード』
ヴィクトリア・テリョーシキナ、ダニラ・コルスンツェフ
 テリョーシキナのゾベイダは、一つ一つのポーズの端正さ、音に合わせてさらに身体のラインを引き絞るところ、そして絶妙な音ハメなど、この役ってダンスそのものでこんなに魅せられるものなんだな~という新鮮な驚きを与えてくれるゾベイダでした。わかりやすい恍惚の表情やクネクネ感はありませんが、宦官から鍵を奪って扉を開けるところは、これは初めての逢瀬じゃないんだろうなあ、と予感させるほど、沸き立つ気持ちが伝わってきます。そして、命を賭けるならこの程度の快楽では足りないとばかりに、金の奴隷や群舞をあおる目力もさすがです。おかげさまであおられた舞台全体が盛り上がりました。
 コルスンツェフは、ゾベイダへの愛というか崇拝に溢れており、こんな純朴な金の奴隷があっていいのだろうか、と途中まで思っていました。が、後半、愛するゾベイダに「もっと踊れるわよね?」とばかりに顔をのぞき込まれ、それに応えようとするかのように踊る姿を見ると、変に魔性の存在ぶるよりも、この人にはこういう金の奴隷の方が合っているなとしっくりきました。1992年バレエ学校卒ということは、とうに40歳を超えているわけですが、主役として舞台を盛り上げる水準のテクニックは保っている一方、体力的にはさすがにそこまで余裕はなくなっているからこそ、渾身!という感じが出ており、「そうまでしてゾベイダの期待に応えたいか~頑張れ~」と応援したい気持ちになりました。


[PR]
by jicperformingarts | 2017-04-25 19:26 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

HP更新記録(2017.03.18 :4月ペテルブルク公演予定

4月サンクト・ペテルブルクの公演予定を作成しました。

 4月のサンクト・ペテルブルクの公演予定を作成しました。4月上旬は、マリインスキー国際バレエ・フェスティバルです。
 また、『イェヌーファ』や『カーチャ・カバノヴァ』をベースにしたオペラ『嵐』、『利口な女狐の物語』をベースにした『Vixen.Love』など、4月はレオシュ・ヤナーチェクの作品がペテルブルクで色々上演されるようです。1854年生・1928年没の作曲家なので、特に何かの記念年というわけでもなさそうです。ただの偶然でしょうか。



[PR]
by jicperformingarts | 2017-03-18 13:10 | HP更新記録 | Comments(0)

HP更新記録(2017.02.16):3月公演予定

3月モスクワの公演予定を作成しました。
3月サンクト・ペテルブルクの公演予定を作成しました。


 3月の公演予定を作成しました。3月30日~4月9日にかけては第17回マリインスキー国際バレエ・フェスティバルが、4月13日~24日にかけてはダンス・オープンと、サンクト・ペテルブルクでは春はバレエ関係のイベントが続きます。一方、モスクワのボリショイ・バレエでも3月中旬はクランコの「オネーギン」とスヴェトラーナ・ザハロワの冠公演が続き豪華です。



[PR]
by jicperformingarts | 2017-02-16 09:17 | HP更新記録 | Comments(0)

2017.01.02 マリインスキー・バレエ『くるみ割り人形』

アナスタシア・ルーキナ
エルネスト・ラティポフ

13:00~の『雪娘』を観た後、大急ぎでマリインスキー劇場へ移動して14:00~のマリインスキー・バレエの『くるみ割り人形』、ということで、この公演は2幕から観ました。

 2014年にワガノワ・バレエ・アカデミーの公演でルーキナを観ていましたが、マリインスキーの団員としては今日がマーシャデビューだったようです。音に合わせて、伸びやかさや上体の美しさを見せるところはまだまだこれから…という感じではありましたが、容姿・体型・テクニック・華にバランス良く恵まれた若手なので、相性のいい先生に出会えれば化けるかもなあと思いました。

 ラティポフは、爽やかな容姿と踊りが魅力的な期待の若手です。さすがにソロは見事でしたが、一回リフトでミスがあったのと、回転のサポートも少々残念な出来でした。今回の旅行では、こういう系統のダンサーに遭遇する率が高かったです。

 12月31日と被っているキャストも多いですが、印象に残った方を、以下、つらつら上げていきます。雪の精はエカテリーナ・イワンニコワとニカ・ツィフヴィタリヤ。ツィフヴィタリヤ、初めてみましたが、跳躍が伸びやかで素敵です。アラビアの踊りは、31日同様、エレーナ・バジェノワでしたが、音に合わせるというより音が吸い込まれていくような貫禄がありました。トレパックも、31日同じ配役で、アリサ・ボヤルコ、アレクサンドラ・デメンチエワ、フョードル・ムラショフでしたが、ムラショフは、ジャンプの時はとても気合い入っていました(ジャンプ以外は若干流している感が…)。花のワルツでは、ヴィクトリア・クラスノクツカヤが目立っていました。



[PR]
by jicperformingarts | 2017-01-11 04:59 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

2016.12.31 マリインスキー・バレエ『くるみ割り人形』

オレーシア・ノーヴィコワ
ウラジーミル・シクリャローフ

 大晦日のバレエ公演ということで、第3幕は、指揮者・オーケストラが、サンタ帽を被って登場し、客席も盛り上がりました(ロシアのクリスマスは1月7日なのでこれからです)。同じワイノーネン版ということで、衣装・装置は、ワガノワ・バレエ・アカデミーと同じです。

 久しぶりにノーヴィコワを観ました。三児の母になって苦労しているのか、すみません、お顔は老けたなあと思ってしまいましたが、引き上がった上体と、軽やかに音を摘んでいくような踊りは健在です。金平糖の精の踊りは、音楽と彼女の個性がピッタリ合うので絶品でしたし、それ以外の、雪の場の前のパ・ド・ドゥや第3幕のアダージョでも、ポーズの一つ一つがぴしっと決まるので爽快です。
 演技面について言えば、くるみ割り人形が壊されて泣くところも、顔全体でなく口元を手で覆うなど、あまり少女らしからぬところはありました。一方で、ドロッセルマイヤーがくるみ割り人形を差し出した時も、最初は「え、かわいくない、要らない」と断ったものの、他の誰も欲しがらないないので、可哀想になって引き取る、でもその後くるみ割り人形と一緒に踊るうちに段々情が沸いてくる…という細やかな演技も見せてくれました。
 シクリャローフは、2015年の来日公演で負傷したと聞きましたが、怪我以前と変わらない水準まで戻してきたのはさすがですし、相当鍛錬したんだろうなあと思います。…サポートが微妙なところも相変わらずなのは残念でしたが…。
 第2幕(1幕2場とする演出も多いですが)、ネズミ退治から雪の場へ移行するところで、雰囲気はもう一気にロミオとジュリエットです。正直、「あ、甘ったるい…」と思いましたが、誰にでも作り出せる雰囲気ではないので、この二人の面目躍如と言っていいかと思います。

 くるみ割り人形とフランツ(フリッツ)を、女性のアンナ・ラブリネンコが踊りました。不思議に色っぽいくるみ割人形でした…(笑)
 ハレーキンはマクシム・イズメスチエフ、コロンビーヌはソフィア・イワノワ=スコルブニコワ、ムーア人はエフゲニー・コノヴァロフ。この役に求められるものは過不足なく見せてくれましたが、特に強い印象もなく…でしょうか。
 雪の精のソリストはタチアナ・トカチェンコとエカテリーナ・イワンニコワ。トカチェンコ、若いイワンニコワにはまだまだ負けない大きな跳躍がたくましいです。
 クラシック・トリオは、スヴェトラーナ・イワノワ、ヤナ・セリナ、ダヴィド・ザレーエフ。ザレーエフは昔カザンの「ドン・キホーテ」で観た伊達男の印象が強いのですが、この役では、温厚そうな微笑みの貴公子ぶりでした。イワノワもセリナもロココ風の衣装・かつらがよくお似合いで眼福です。また、スペインのオリガ・ベーリクの、軽やかに華やかなスペインも良かったです。



[PR]
by jicperformingarts | 2017-01-04 20:01 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

2016.12.30 マリインスキー・バレエ『石の花』

ヴィタリー・アメリシコ
エレーナ・エフセーエワ
アナスタシア・マトヴィエンコ
アレクサンドル・セルゲイエフ

 プロコフィエフ音楽のグリゴローヴィチ演出です。元々、ソ連時代にレパートリーに入っていましたが、プログラムによると1991年以降上演されておらず、今年12月6日に復刻上演となりました。グリゴローヴィチ、90歳にして益々御活躍の様子です。

 ロシアのウラル地方の民話を基にしたバレエです。主役の石細工師のダニーラは、領主の家令セヴェリアンから石の花の花瓶を作るように依頼されているが納得のいく作品が作れず、彼の婚約者カテリーナの婚約のお祝いの最中にセヴェリアンが乱入。カテリーナの仲裁により事なきを得るが、逆に美人のカテリーナがセヴェリアンに狙われることに。そんな中、ダニーラは石の秘密を求めて地下の王国へ向かい、そして地下の王国の銅山の女王に見初められる(ここまで第一幕)。
 カテリーナは言い寄るセヴェリアンを撃退した後、ダニーラを探して旅に出る。ジプシーの踊りで盛り上がる市場でばったりセヴェリアンに出くわしてしまうが、村娘に扮する銅山の女王に助けられる。一方セヴェリアンは地下の世界へ沈められる。その後、カテリーナも銅山の女王のお膝元・蛇の丘に迷い込むが、カテリーナのダニーラへの愛と勇敢さに感じ行った銅山の女王は悲しみつつもダニーラをカテリーナと一緒に地上に返す。
…銅山の女王、とてもいい人です(人じゃないけど)。

 あらすじはざっくり上記のような感じです。ロシアの民族舞踊がそもそもアクロバットなので、民族舞踊的にも、クラシック的にも見せ場が多い演出で、とても見応えがありました。

 ダニーラを踊ったヴィタリー・アメリシコは、男性らしい踊りで、この役に合っています。しかし勇壮に踊っているより、悶々悩んでいる時間の方が長く、銅山の女王とのパ・ド・ドゥでは完全に言い寄る側の銅山の女王が主役でダニーラの影が薄いので、このあたりの逡巡もくどくど表現してくれたらいいのになと思いました。
 カテリーナはエレーナ・エフセーエワ。ダニーラとのクラシックなパ・ド・ドゥでは若干地味だったのですが、フォークロアの香り漂うほんのりコケティッシュな踊りの時は、群舞に埋もれないキラキラ感が出てくるから不思議です(同じ印象を『シュラレー』を観たときにも思いました)。しかし、第2幕、鎌を振りかざしつつ(窮鼠猫を噛むレベルの迫力ではない)、「失せろ」とばかりの表情で、顎でクイっとドアを指し示しセヴェリアンを撃退するところは、「ソビエト女性強えぇー!!」となりました。
 銅山の女王は、カテリーナより舞踊上も物語上も重要なポジションにあります。身体の線が美しいアナスタシア・マトヴィエンコが跳躍等見栄えのする技をこれでもかと繰り返すので見応えはありますが、舞台上に君臨するとまでは行きませんでした。音と動きがぴったりはまれば、プロコフィエフの音楽が味方になってくれそうなのですが、少し残念です。
アレクサンドル・セルゲイエフがセヴェリアンを踊りました。ラスプーチンのような風貌で、オフバランスで脚を派手に振り回す動きが怪し気で、彼のキャラクテール的な魅力が存分に発揮されていて良かったです。

 という感じで、主要キャラの4人に十分な見所が与えられているほか、粗筋には出てこない銅山の場面の群舞も華やかでした。また、粗筋では一文で通り過ぎる部分ですが、市場の場面は、定番の古典演目にはないロシアの市井を描いた場面で新鮮でした。民衆の踊り、ジプシーの踊り、スコモローヒ(流れ芸人)と、これでもかという位、踊りづくしです。若いジプシーのナイル・エニケーエフが強烈な存在感を放っていました。オリガ・ベーリクも、まだ入団数年の若手だったと思いますが、ジプシー達を従えて踊る貫禄がありました。また、実は、第一幕は男性群舞の弱さに愕然としていたのですが、第2幕のこの市場の場面では、男性ダンサーも女性ダンサーもとても楽しそうに踊っていて良かったです。
 最近はヨーロッパの劇場のような豪華な衣装・装置がロシアでも増えてきているので、今回の『石の花』の旧ソ連そのままの簡素な衣装・装置はなんともレトロですが、元々、ロシア・バレエは衣装・装置ではなくダンサーの水準で勝負だったことを思い出しました。



[PR]
by jicperformingarts | 2017-01-03 07:44 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)

2016.12.29 ワガノワ・バレエ・アカデミー『くるみ割り人形』

ウラーダ・ボロドゥリナ
ルスラン・ステニューシキン

昨年日本公演がありましたが、ワガノワ・バレエ・アカデミーによる『くるみ割り人形』です。主役二人については未来のスター誕生!というほどでもなかったのですが、全体の雰囲気としてはとても良い公演でした。

主役のマーシャはウラーダ・ボロドゥリナ。すらりとしたクール・ビューティーですが、踊りに勢いがありすぎて、ピルエットも、決まるときは鮮やかなものの軸が乱れることも多かったり、また、王子・カヴァリエールの皆さんがサポートしにくそうな印象でした。
王子役のルスラン・ステニューシキンは、今年からボロネジからワガノワに編入してきたばかりだそうです。背も高くて容姿にも恵まれ、立ち姿はとても美しいです。リフトは危なっかしいけど、学生にはよくあることだしこの位ならば…と途中までウキウキしていたのですが、しかし、見せ場の第2幕のパ・ド・ドゥにて、テクニックの致命的な弱さが露呈しました…。跳躍に距離がないのでマネージュ(舞台一周)がなかなか前に進めず、そして普段はきれいに伸びている爪先まで、なぜか跳躍の時は緩んでしまっており、観ていて痛々しくなってしまいました…。しかし、飛距離のある跳躍は現校長のツィスカリーゼの得意とするところなので、これからスパルタで鍛えてくれれば、ロシア・バレエの未来も明るそうです。
マーシャの子役はアンゲリーナ・カラムィシェワ。既に美人さんですが、アイメイクがきつかったので、かわいらしい演技と若干違和感でした。ワガノワ比で、ポワントは弱めで、アラベスクやソテにしても、そこまで脚を高々上げることはありません。個人的には、2~3年生のうちはそこまで脚を上げなくても…と思うので、今後の成長に期待です。

その他、個人的に一番気に入ったのは、トレパックを踊った男の子です。女性2人・男性2人の踊りなので、キャスト表からはレフ・ペトロフかアンドレイ・ラグネンコのうちどちらかわからなかったのですが、公演後知り合いに聞いたところ、ペトロフの方ではないかとのことです。
ハレーキンはイタリアからの留学生のダヴィデ・ロリッキオでしたが、ハレーキンには珍しい力強さがありました。コロンビーヌはアナスタシア・スミルノワ。個々のパを人形っぽくこなしていましたが、もっと演技が大げさでもいいのになーと思いました。雪の精はマリア・ペトゥホワとスズキ・カノンさんでした。二人の踊りの系統はちょっと似ているのですが、スズキ(鈴木?)さんの回転には素敵な余韻があり、ペトゥポワは腰の強そうなダイナミックな跳躍でした。パ・ド・トロワは、マリヤ・コシュカリョーワ、ポリーナ・ザイツェワ、ムーサ・スルターノフ。女の子の片割れは、前述の「そこまで脚を上げなくても…」でしたが、この年齢にして観客席へ笑顔を振りまくことを忘れない舞台度胸は見事でした。

この冬、ボリショイ、モスクワ音楽劇場とで『くるみ割り人形』を観てきましたが、ワガノワ・バレエ・アカデミーの『くるみ割り人形』は物量作戦の勝利というか、第2幕(第1幕2場)ではネズミ約18匹(すみませんとうろ覚えです)に歩兵14人・騎兵8人、そして雪の精32人と、プロのカンパニーにはなかなか難しい、贅沢な出演人数です。これだけの数の少年少女の努力が舞台上に満ちているとなると、そのマイナスイオンたるやという感じです。



[PR]
by jicperformingarts | 2016-12-31 22:20 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)


検索
リンク集
■JIC旅行センター
メインページ
■JICトピックス■~ロシア・旧ソ連の情報あれこれ~
エンターテイメントのページ

■バレエ/オペラ
ボリショイ劇場
マリインスキー劇場
モスクワ音楽劇場
ノーヴァヤ・オペラ(モスクワ)
ミハイロフスキー劇場
エカテリンブルク国立劇場
ペルミ国立劇場
ノヴォシビルスク国立劇場
タタール国立劇場(カザン国立歌劇場)
バシキール国立劇場(ウファ)
サマーラ国立劇場
チェリャビンスク国立劇場
サラトフ国立劇場
クラスノヤルスク国立劇場
ボロネジ国立劇場
ニジニ・ノヴゴロド国立劇場
ロストフ国立音楽劇場
アストラハン国立劇場
チュバシ国立劇場
オムスク国立音楽劇場
国立ブリャート歌舞劇場
コミ共和国国立劇場(スィクティフカル)

カザフスタン国立オペラ劇場
アルメニア国立オペラ劇場
リヴィヴ国立オペラ劇場(ウクライナ)

エルミタージュ・バレエ
クレムリン・バレエ
モスクワ・シティ・バレエ
エイフマン・バレエ
タッチキン・バレエ
ヤコブソン・バレエ(サンクト・ペテルブルク・アカデミー・バレエ)
パンフィーロフ・バレエ

■コンサート
モスクワ音楽堂
チャイコフスキー記念モスクワ・コンセルヴァトーリア
チャイコフスキー記念コンサート・ホール(*Moscow Philharmonic Society)
ボリショイ・ザール(*マールイ・ザールと共通)

■その他(編集中)
サンクト・ペテルブルク国立児童音楽劇場
アレクサンドリンスキー劇場
マールイ・ドラマ劇場
ヴォルコフ・ドラマ劇場(ヤロスラヴリ)

タグ
Twitter
以前の記事
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧