ロシア:劇場のしおり


旧ブログ名:『サンクト・ペテルブルクからのひとこと日記』■サンクト・ペテルブルクやモスクワを中心に、ロシア各都市の劇場トピックスなどをご紹介しているJIC旅行センターのブログです。
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1/26  マールイ・ドラマ劇場 カルロ・コッラ人形劇場による「シェヘラザード/ペトルーシュカ」

 イタリア・ミラノから来たマリオネット劇団による公演です。バレエ「シェヘラザード」のイメージが強かったので、どんなものなんだろうという好奇心から観て来ました。
 まずその「シェヘラザード」ですが、あらすじがそもそもバレエとは別物で、牢屋で出会ったシンドバットとカレンデール王子がそれぞれの身上を物語る、という回想形式で進みます。なので大雑把に言って2部構成で、前半がシンドバットの話なのですが、こちらはオペラ「サトコ」によく似ているのでロシア版「浦島太郎」という感じ。
 そして後半のカレンデールの身の上話は「婚礼直前の姫君に偶然出会って恋に落ちて、彼女もそれに答えるけれどどうにもならず、婚礼行列をかき分けて(衆目の中)姫君に想いを告げたら不敬罪で投獄」とのこと。しかも彼は最後に斬首に処せられます。繊細な装置・衣装、そしてリムスキー=コルサコフのあの音楽がピアノ演奏という、とても美しい世界だったので、この際「王子なのに不敬罪??」なんてことは考えないようにします。
  そして2演目めの「ペトルーシュカ」ですが、こちらは印象薄です。ペトルーシュカ(道化の人形)がバレリーナ人形に恋をするけれども相手にされず、 しかもニグロの人形にはいじめられ、でも大団円という微妙なあらすじというせいもあるのですが、もともと人形を人形が演じても…、という本質的な理由も大きいと思います。とはいえ、サンクト・ペテルブルクを舞台にしたこの演目、装置は絶品なので、極上の三次元紙芝居を観ているようでした。
 大人向けのマリオネット劇場を観るのは初めてですが、生身の人間でなくマリオネットが演じているだけに、「突然魚が現れて、シンドバットを乗せて陸の世界へ連れて行く」とかなどの現実にはありえない演出は逆に自然に見えます。それから、日本の文楽とは違って全く言葉のないドラマなので、細かい設定や心情を表現するのは難しいのですが、あらすじが普遍的な分、ストレートでいいなと思いました。
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# by jicperformingarts | 2008-01-26 15:00 | 公演の感想(その他)

1/13  マリインスキー劇場 「コンテンポラリー・プロ」

   “老バイオリン弾きのように…”/ソフィア・グメロワ  アントン・ピモノフ
   “スワン家のほうへ”/オレーシア・ノヴィコワ  アレクサンドル・セルゲイエフ  
   “リング”/アントン・ピモノフ 
         ヴィクトリア・テリョーシキナ  イリーナ・ゴールプ
         ミハイル・ロブヒン  アレクサンドル・セルゲイエフ 

  
 アレクセイ・ミロシニチェンコ振付のコンテンポラリーを3作品集めたプログラムです。ロシア・コンテンポラリー侮るなかれ、と言いますか、斬新というか奇抜なアイディアが淡々と構成されているので面白かったです。
 それでも長期的にレパートリーに残ったり、海外遠征に持っていくことはないだろうなあと思います。理由は主に①長い。あの骨組みで各演目25~30分というのは無理があります。②キャストが若手中心。将来性に賭けるとはいっても、やっぱり今観て素敵な人が見たいので(笑)、一演目くらいはスターを投入してくれないと、どうにも求心力に欠ける…という感じでした。要するに、実験的作品なのでサービス精神に欠ける、ということだと思います。
 まず“老バイオリン弾きのように”ですが、こちらはとてもきれいな音楽にぴったり合った、きれいな作品でした。
 次の“スワン家の方へ”は、プルーストの小説の「スワン」とサン=サーンスの「白鳥」をかけた作品で、幕が開いた瞬間、一面のバーコードでビックリしました(笑) 完全なモノクロの世界で、濃ゆいメイクで淡々と踊るダンサーが良かったです。
 そして最後の“リング”ですが、これはボクシングのリングだったんですね。ヒップホップやラップが専門の音楽グループ、「2H Company」に音楽を依頼したそうです。そのラップ部分では、本当に審判役のアントン・ピモノフが歌っているようで面白かったですし、彼の抑制の効いたエネルギッシュな動きも良かったです。でもこの日一番の収穫は、なんといってもゴールプです。彼女のコケットリーは、音楽を通じて発揮されるところがすごいと思います。とはいえテリョーシキナもしなやかな動きで甲乙つけがたかったし、ロブヒンも超絶技巧で盛り上げてくれました。
 個人的に好きな若手が勢ぞろいの公演だったので、楽しかったです。繰り返しになりますが、どの作品もガラ・コンサートで15分程度の一演目として観ていたのなら、心置きなくブラボーだったと思います。
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# by jicperformingarts | 2008-01-13 19:00 | 公演の感想(バレエ)

1/10  マリインスキー劇場 「白鳥の湖」

       オデット&オディール/ウリヤナ・ロパートキナ
       ジークフリート/イワン・コズロフ
       ロットバルド/イリヤ・クズネツォフ
  
  
 ロパートキナの十八番、「白鳥の湖」ですが、踊りの調子は今日はあまりよくなかったかなとおもいます。32回転は前半にドゥーブルを織り交ぜてましたが、その分後半がグラグラになっていました。
  一方コズロフは柔和でいい人そうな王子です。王子があんなに腰低くていいのかという気はしますが(笑) ロパートキナのオデットがそれはそれは冷たかったので(彼女の場合はだからこそ美しいんですか)、「片想いかー、かわいそうにねー」と彼に感情移入してしまいました。そんなわけで第3幕(マリインスキーでは第2幕)は、あんなにつれなかったオデットがちゃんと夜会に来てくれて、しかもカモーン☆とか言ってくれたら、そりゃあ嬉しさのあまり判断力も鈍るよね、ということで騙されても物語として自然でした。
 でもこの公演で何より癒されたのはヤナ・セリナ(4羽の白鳥/ナポリの踊り)の存在でした。ミハイロフスキー劇場のタチヤナ・ミリツェワのよう、といいますか、マリインスキー・バレエを観にいくと常に彼女の名前がキャスト表にあります。けして華やかなポジションではありませんが、ある意味マリインスキーの大黒柱です。彼女がいなかったら、マリインスキーの舞台はもっとバラバラになっているのではないかと思います。
  “スペインの踊り”はベテラン対若手対決で見ごたえがありました。アンナ・スィソエワの方がいきおいはあるのですが、それでもバジェノワが熟練の勝利でした。その他、ロットバルドのイリヤ・クズネツォフはやっぱりというか、いつもどおり濃ゆくて良かったです。
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# by jicperformingarts | 2008-01-10 19:00 | 公演の感想(バレエ)

1/8  マリインスキー劇場 「くるみ割り人形」 (ワガノワ・バレエ学校)

      マーシャ/ユリアナ・チェレシケヴィッチ 
      王子/アンドレイ・ソロヴィヨフ  


 今シーズン最後のワガノワ・バレエ・アカデミー「くるみ割り人形」ということで行ってきました。が、シメとしてはそれほどいい公演でなくて、残念です。結局、一番のホープと言われるアナスタシア・ニキーチナは踊らなかったそうです。
 ユリアナ・チェレシケヴィッチは、ほっそりした美人ですが、“おっとりふわふわ”した身振りがどうも浮いてしまいます。逆に、ピケ・ターン(回転の一種です)の前にキッと進行方向を見据えるところで、あ、こっちが素なんだろうなあと思いました。アンドレイ・ソロヴィヨフは、もうマリインスキーで踊っているプロとしてはちょっと頼りない気がします。
 この日の「スペインの踊り」を踊った男の子は、チェカ・ロメロ・ホセ・アントニオというスペインからの留学生です。どこが苗字なんでしょうか。パートナーのニーナ・オスマノワがおっとりした子なので、彼の濃さがこれまたちょっと浮いてました。
 少しややこしいですが、今年度からこのアカデミーが8年制から9年制に移行した関係で、今年の最上級生は去年も最上級生です。なので、ソリストのメンツは去年からあまり変わっていないのですが、去年からどのくらいレべルアップしたのかな~と聞かれると、答えに困ってしまいます。とはいえ今回のこの改革の評価を下すにはまだまだ時期尚早なので、もう数年し待ちたいと思います。
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# by jicperformingarts | 2008-01-08 11:30 | 公演の感想(バレエ)

1/7  マリインスキー・コンサート・ホール 「魔笛」

      タミーノ/アレクサンドル・チムシェンコ 
      パミーナ/オクサーナ・シロワ
      パパゲーノ/エフゲニー・ウラノフ
      パパゲーナ/エレーナ・ゴルシュノワ  


 とっても楽しくて2時間55分があっという間でした。演出を手がけたアレン・マラトラがインタビューで「サーカスみたいな舞台構造に」と語っていたとおり、ホールの中央に四角い小さいステージを設けてその四方を客席で囲む形になっていて、装置らしい装置もないので、客席と舞台の境界がかなり曖昧です。そんなわけで、歌手(一応オペラなので…)に与えられた空間はかなり広くて、客席までめいいっぱい使って演じていました。
 特に客席を縦横無尽に行ったり来たりで(しかも声もいいので)一番目立っていたのがパパゲーノです。うら若き女性客のほっぺにチュー出来た上に、それで拍手できるなんて役得です(笑) もう一人目立っていたのがパミーナ役のオクサーナ・シロワです。まず歌手としてとてもパワフルで魅力的だし、演技も上手です。衣装が寝間着みたいなのはいただけないですが…。
 その他基本的に現代的な演出なのですが、パパゲーノの衣装が中国風だったり、3人の侍女は能面を被って登場したり、獅子舞が登場したり、という感じでした。中国か日本なのかどっちかなあと思いましたが、ヨーロッパ人がエキゾチズムを借りて「魔法の」空間を演出したわけなので、厳密に考えることはないかもしれません。
 こんな感じで皆俳優のように演じていましたが、さすがマリインスキーだけあって、各登場人物のアリアはそこだけで聞き応えがありました。
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# by jicperformingarts | 2008-01-07 12:00 | 公演の感想(オペラ)

1/6  マリインスキー劇場 「ドン・キホーテ」

      キトリ/エフゲーニヤ・オブラスツォーワ 
      バジル/ウラジーミル・シクリャロフ
      エスパーダ/アレクサンドル・セルゲイエフ 
      森の女王/タチヤナ・セロワ  


 オブラスツォーワのキトリ・デビューに興味があっていった公演ですが、シクリャーロフもこの日にバジル・デビューだったし、若手中心の公演で楽しめました。オブラスツォーワは可愛いって言われ慣れてそうなキトリでした。イヤ実際かわいいんですが(笑)この人のアラベスクはとてもきれいなので、ドゥルシネアは良かったです。踊りがまろやかすぎなところはあるのですが、パートナーのシクリャロフも同様だったので、まあこういうほのぼの「ドン・キホーテ」もアリかなと思いました。
 そのシクリャロフですが、リフトに大きなミスもなかったし、ソロでは大技を詰め込んでましたが、もう一息というところで微妙にキマらないのがこの人らしい(笑)酒場の場面では飲み干した杯を、みんな後ろに投げるのに、一人だけほぼ真上に投げてて、つい和んでしまいました。でもこんなふうにダンサーの個性が浮かび上がる舞台は観ていて楽しいです。
 そしてセルゲイエフのエスパーダです。サラッとした華があって、いい意味で「古典を踊らすには惜しい」若手ですが、マント裁きも鮮やかで良かったです。
 ただ今日は男性陣は充実してたけど、女性陣はイマイチ影が薄かった気がします。女性ジプシーのソロがないのも大きいかなと思いますが…。なお、蛇足もいいところですが、デルモ立ちの花売り娘(ヴィクトリア・クテポワ)と、谷間のあるキューピット(ヴァレリア・マルティニュック)が今日のサプライズでした。
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# by jicperformingarts | 2008-01-06 19:00 | 公演の感想(バレエ)

1/6  マリインスキー劇場 「くるみ割り人形」 (ワガノワ・バレエ学校)

      マーシャ/タチヤナ・チリグーゾワ 
      王子/セルゲイ・ウマーニェツ

 
 今のところ、今日のペアが一番良かったかなあと思います。やっぱりウマーニェツ良いです(アクセントの位置を確認したら、ウマニェーツではなくウマーニェツだったので、訂正しておきます。失礼しました!!)。チリグーゾワは様式美より華で押すタイプと言いますか、リフトで高々掲げられると自然と拍手が起こる、そういう子でした。この生徒に限らず、今年のワガノワ上級生は、「ほっそりしててともかくキレイ」というタイプが少ないです。
 今日も花のワルツにクラスナクツカヤがいました。この人、なぜかミハイロフスキー・バレエのエレーナ・エフセーエワを思い出させるなあ、と思っていたら、理由は笑顔だったんですね。とても楽しそうに踊っているので、見てるこちらも良い気分になります。
 その他、バティール・ムルタザエフが第一幕でフリッツとくるみ割り人形を踊り、第三幕ではパ・ド・トロワ(フランス)も踊るという活躍ぶり。多分まだ12~3歳だと思いますが、パ・ド・トロワではしっかり貴公子顔で、言われなければ一幕の“悪ガキ”だとはわかりません。
 それから、4日はイマイチだったヴァチェスラフ・チュチュキンが、今日のニグロ役では超高速回転でおおっと思いました。
 他にもまだまだ目に留まる子は沢山いますが、顔と名前が一致している生徒しかここには挙げられないのが残念です。
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# by jicperformingarts | 2008-01-06 11:30 | 公演の感想(バレエ)

1/4 マリインスキー劇場 「くるみ割り人形」(ワガノワ・バレエ・アカデミー)

      マーシャ(金平糖)の精/ユリア・チッカ  
      王子/イリヤ・ペトロフ 


 バレエ団の公演ではなくて、ワガノワ・バレエ・アカデミー(今は付属のバレエ学校ではないのですが、現在も密接な関係を保っています。)の生徒による公演です。
 ユリア・チッカは思わず見守りたくなる可愛らしさで得してますが、スター・オーラはまだまだ、という感じでした。ペトロフは、バネはありますが余裕はありません。ので、ノーブルさに欠けるところがありますが、髪型といい「いまどきの若者」っぽくて、こちらも可愛らしかったです。
 今回は一番ステージに近い席で観ていたので、動きのアラ、群舞の乱れ、足音などが気になって気になって、どうしても辛口になってしまいます。この至近距離に耐えうる学生を探すのはほぼ不可能とわかってはいるのですが…。
 もちろん“雪の場”でも“花のワルツ”でも目に留まる子はいるのですが、名前がわからないので、ご紹介できなくて残念です。とりあえず、“花のワルツ”の4人のソリストの中にいたクラスナクツカヤが、好みは別にしても、パキパキっとしてて一際目立っていました。
 今日も“中国の踊り”は日本人でミホ・ヨシカさんという方でした。その他、くるみ割り人形とフリッツの二役を演じたセルゲイ・クルィロフが、まだちっちゃいのに芸が細かくて感心です。彼だけではなくて、細かいところを見れば見るほど、みんなしっかり演技していて驚かされます。世界的にバレエ学校の水準が低下している昨今、やっぱりワガノワ・バレエ・アカデミーは世界最高峰ということでしょうか。
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# by jicperformingarts | 2008-01-04 19:00 | 公演の感想(バレエ)

1/4 ミハイロフスキー劇場 「カモメ」(エイフマン・バレエ) 

トレープレフ/オレグ・ガブィシェフ  ニーナ/マリヤ・アバショーワ
 トリゴーリン/ユーリ・スメカロフ  アルカーディナ/ニーナ・ズミエヴェッツ


 ミハイロフスキー・バレエは現在日本ツアー中なので、これは「芸術広場フェスティバル」の一環として、エイフマン・バレエを招聘した公演です。100ルーブリの立見席のチケットを発行しすぎたのか、満席も満席、クロークも満杯でコートを預かってもらえませんでしたし、立ち見する場所を探すのさえ一苦労でした。12月の公演もほぼ満席だったので、それだけこのカンパニーの評価が高いということでしょうか。
 さてこの「カモメ」、チェーホフの戯曲をバレエシーンに置き換えた作品なので、ヒップホップあり、クラシックありと、ともかくダンスづくしですが、話の枝葉は削いであるので難解な印象は受けませんでした。若手ダンサーのニーナと若手振付家のトレープレフ、それから有名振付家のトリゴーリンと有名ダンサーのアルカーディナ、という二組のカップルが軸になるのですが、筋書き上でも舞台上でもパートナー・チェンジがめまぐるしかったです。そしてすれ違いの末に別離、というお話です。「狂うほどの気力もない」感じがとってもチェーホフでした。
 もちろんアイディアにおおっと思う演出も盛りだくさんですが、今回は振付そのものに目が行くことが多かったです。ダンサーが良かったから、というのが大きいと思います。
 まずアバショーワが素敵でしたし、ズミエヴェツも健闘してました。ガブィシェフは始終女の子を追い掛け回してはひっぱたかれ、という役回りなので、イマイチ見せ場が…と思っていたら(舞踊的にはもちろんあるのですが)、ラストの鬱~な感じがとってもよかったです。 スメカロフは黒の衣装が大層似合ってました。どの組み合わせになっても、リフトが全く危なげないところがすごいです。
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# by jicperformingarts | 2008-01-04 19:00 | 公演の感想(バレエ)

12/29  ミハイロフスキー劇場 「スヴェトラーナ・ザハロワ ガラ・コンサート」

    これでバレエは年納めです。順不同になりますが、まずザハロワについて一気に感想を書きます。
第一部 「カルメン組曲」 カルメン/スヴェトラーナ・ザハロワ 
 ホセ/アンドレイ・ウヴァーロフ トレアドール/デニス・マトヴィエンコ
   ザハロワのカルメンは「絶品」ではありませんでした。クラシックだった、とかそういうことではなく、単に個性の問題だと思います。ポーズは深くてメリハリもつけてるし、何より華やかです。ただ、ザハロワの音の使い方は「軌跡を見せる」もので「ポーズを見せる」ではないので、カルメンだと音に遅れ気味に見えてしまいます。そのせいか、この役に必要不可欠な生命力がいまひとつで演技にも前のめり感がないので、そのポーズの大きさが浮いてしまっていた気がします。キュート路線で押すカルメンの方が魅力的だったのでは。
    一方マトヴィエンコは全てが前のめりで(笑)、「オレを見ろ!!」オーラがまさしくトレアドール。ウヴァーロフはいい人そうすぎて恋人を刺し殺すような人には見えなかったのが残念です。
第二部
 「Revelation」 (平山素子が振付けたコンテンポラリー作品です。)
 「マルグリットマニア」アルテム・シュピレフスキーと
   カルメンを見ているときの違和感は完全に抜けていて、自然に「ああ、すごくきれいなダンサーだな」と思いました。
 「イゾルデの死」アンドレイ・メルクリエフと
   クシシュトフ・パスター振付で、ワーグナーのオペラ「トリスタンとイゾルデ」をダンスにしたものです。イゾルデの衣装が素敵でした。
 「Voice」
   こちらもパスター作品です。オペラの歌つきの音楽に合わせて、コミカルに踊るというものですが、衣装はクラシック・チュチュだし、振付もクラシックが多用されています。やはり、チュチュ姿のこの人が放つ輝きは、ただごとではありません(笑)一気に会場がオリュンポス山です。といってもクラシック・クラシックしているわけではなく、この作品を踊るザハロワはとてもキュートで魅力的でした。
   こんな感じで、ザハロワは「カルメン組曲」とコンテンポラリー4作品を披露してくれたのですが、バラエティも確保しつつ、後半になるにつれどんどん魅力的になっていくという素晴らしいプログラム構成だったと思います。

 「ラジオとジュリエット」より デニス&アナスタシア・マトヴィエンコ
   エドワード・クルーグが振付けたコンテンポラリー作品からの抜粋です。デニス・マトヴィエンコの動きは本当に軽やかで、複雑なステップをサラッとこなしていました。
 「くるみ割り人形」ニーナ・カプツォ-ワ ヤン・ゴドフスキー
   カプツォーワはとてもかわいらしいですが、グリゴロヴィッチ版の「くるみ割り人形」はテクニック的にとても高度なものを求められるので、しんどそうでした。ゴドフスキーは軸のきれいな回転が印象的です。
 「ディアナとアクティオン」デニス&アナスタシア・マトヴィエンコ
   超絶技巧で会場を沸かすデニス・マトヴィエンコに対し、アナスタシアは影が薄かったかなあと思います。彼女の魅力は、結構大部分がスタイルの良さ由来なので、ザハロワとカプツォーワにはさまれると、あまり目立ちません。
 「海賊」ニーナ・カプツォーワ イワン・ワシーリエフ
   カプツォーワの衣装がシンプルながらとてもきれいでした。32回転はフラフラでしたが、テクニック面ではワシーリエフが過剰なくらいアピールしてくれたので(笑)、彼女の何気ない仕種のかわいらしさなどなどを堪能させていただきました。
 「アダージョ」アンドレイ・メルクリエフ
   彼は元はここ、ミハイロフスキー・バレエ(当時はムソルグスキー記念バレエ)所属で、マリインスキー、ボリショイと移籍してきたダンサーです。そんなわけで、今日は彼にとっても凱旋公演。観客の拍手も一際大きかったです。
 フィナーレ  ロシアのこういうリサイタルでフィナーレがあるのは珍しいですが、やっぱりあった方が盛り上がりますね! なによりザハロワがすごく楽しそうで可愛かったです。
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# by jicperformingarts | 2007-12-29 19:00 | 公演の感想(バレエ)

12/26  ボリショイ・ドラマ劇場 「ドン・キホーテ」 (エイフマン・バレエ)

      ドン・キホーテ/ユーリ・スメカロフ 
      キトリ/ニーナ・ズミエヴェッツ
      バジル/アレクセイ・トゥルコ


 今日の演目も、古典バレエ「ドン・キホーテ」を「頭のおかしいおじいちゃんの妄想ワールド」に作り変えたものです。音楽の入れ替えが激しいので、元の場面を思い出しながら観ると楽しいです。精神病院の場面では、繰り返し“夢の場”の音楽が使われていて、その能天気さがおかしかったです。他にも、“ファンタンゴ”(第3幕)や“トレアドール”(第一幕)はドン・キホーテが踊ります。まぁまぁ彼の夢の世界なんですから華を持たせないとということでしょうか。見た目はクラシック版と同様、よぼよぼのメイクなんですが、踊りだすと結構超絶技巧がふんだんに使われてるので、「あれっ若い!」と思います。そんな彼を演じたのはスメカロフですが、もうちょっと不健康さが欲しかったような。
 一方、キトリは衣装もやってることも古典版とあまり変わりません。3幕のグラン・パもほぼそのままです。ズミエヴェッツは跳躍は大きいし、関節の可動域も広くて、舞台上で一際目を引きます。指先など細かいところはさておき、クラシックとしても充分見られるレベルです。
 でもバジルのトゥルコは連日の公演でお疲れだったのでしょうか、音楽に遅れ気味で残念でした。それでも狂言自殺の場面は面白かったです。
 それにしても、このカンパニーの公演を観ると、いつも群舞の持つエネルギーに圧倒されます。鬼才エイフマンの求心力でしょうか、優れた振付家が率いるカンパニーは、マリインスキーなどの大カンパニーにはないまとまりがあります。作品・群舞というハード的要素が抜群に優れているので、エイフマンはどの公演を見てもハズレにはなりません。今回はソリストがあまり良くなかったのでアタリではありませんでしたが(笑)1月4日にはミハイロフスキー劇場で「カモメ」が上演されるので、そちらを楽しみにしようと思います。
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# by jicperformingarts | 2007-12-26 19:00 | 公演の感想(バレエ)

12/25  ボリショイ・ドラマ劇場 「赤のジゼル」 (エイフマン・バレエ)

      バレリーナ/エカテリーナ・コザチェンコ
      バレエ教師/オレグ・マルコフ
      パートナー/アレクセイ・トゥルコ


 日本でのツアーはもう長いこと行われていませんが、世界でも非常に評価が高いロシア・のモダンバレエ・カンパニー「エイフマン・バレエ」の公演です。この作品はオリガ・スペシフツォワの生き様にインスパイアされて作られたそうです。
 大雑把なあらすじとしては、「将来を嘱望されたとある共産圏の若手バレリーナが、西側からやってきたパートナーに恋をして、恩師さえ捨てて亡命して彼を追いかけて来たものの、彼には既に恋人がいて(しかも男)全てが行きづまって絶望した彼女はついに気が狂ってしまう」という陳腐でさえあるものですが、エイフマンはこういう汎用性のある筋書きを大迫力で魅せるのが上手いです。エイフマン作品のどこが好きかというと、1幕より2幕のほうが盛り上がり、そしてエンディングがいつも面白いところ。この作品のラストは姿見を7枚使った演出で、バレリーナの意識が深いところに沈んでいくさまを表現していて印象的でした。
 その他全体の演出について触れますと、「ジゼル」とは言っても、音楽は最後の夜明けの鐘がなる場面以外はまったく別の曲を使用していましたし、衣装も「赤」にこだわりすぎるところもなくて、安っぽい感じは全くしません。古典バレエ「ジゼル」の劇中劇のシーンは、どこまでが現実でどこからが空想の世界なのかはハッキリわかりませんでしたが、漂う禍々しさはまさしく狂気の世界です。
 そんな作品を踊りこなしているカンパニーですが、ソリストに関しては多少作品負けしていた印象。コザチェンコはクラシックもちゃんと踊れるところがいいですが、この人本来の持つ輝き!というのはあまり感じられませんでした。男性陣もさすがのカッコよさなのですが、このバレエ団の看板ソリストの踊りを知ってしまった後では、どうしても物足りなさを感じてしまいます。
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# by jicperformingarts | 2007-12-25 19:00 | 公演の感想(バレエ)

12/24  マリインスキー劇場 「ガラ・コンサート」

 「ガルージンと輝ける仲間たち」と「ロパートキナと輝ける仲間たち」を同時上演したかのような公演でした。格が違う…(笑)
 バレエファンの私ですが、この公演に関してはオペラの出し物の方が楽しめました。演目数が多いので、印象に残ったもののみ箇条書きで感想を述べます。
第一部
 「エフゲニー・オネーギン」よりポロネーズ(オーケストラ)
 オペラ「アレコ」より イリヤ・バンニク
 オペラ「ジャンニ・スキッキ」より ヴィクトリア・ヤストレボワ
 バレエ「海賊」 エルヴィラ・タラソワ アンドレイ・バタロフ
   バタロフの胸毛が気になって仕方ありませんでした。
    いくらダンサーは踊りで勝負といっても、鳥の巣みたいで…(笑)
 オペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」より アンナ・マルカロワ
 オペラ「愛の妙薬」よりロマンセ ドミトリー・ヴォロパエフ
    歌手のおかげか曲のおかげかわかりませんでしたが、
    とてもひきこまれました!
 バレエ「タラス・ブーリバ」 アンドレイ・イワーノフ
   バレエ・ガラならもうちょっと拍手が大きかっただろうに…惜しいです。
 オペラ「ランスへの旅」より ダニール・シュトーダ エレーナ・ツヴェトコワ
    ツヴェトコワは鈴を転がすというより鈴を引きずるような声だったけど、
    ほとんど動いてないのにちゃんとドラマになってるのには感心しました。
 オペラ「アルルの女」より ダニール・シュトーダ
 バレエ「アレルキナーダ」 エレーナ・シェシナ アンドレイ・イワーノフ
 オペラ「セビリアの理髪師」より ヴィクトル・コロチッチ
    この方もお芝居が達者でいらっしゃる。小洒落た感がイタリア・オペラでした。
 バレエ「ディアナとアクティオン」 タチアナ・トカチェンコ ミハイル・ロブヒン
   ロブヒンが頑張ってて「おおっ」と思いましたが、トカチェンコは伸び悩んでる印象。 
 オペラ「オテロ」より ウラジーミル・ガルージン ナタリヤ・チムシェンコ
   一幕のデュオでした。
   彼のオセロを全幕で観ていただけに、その後が思い出され…
第二部
 「カルメン」より序曲(オーケストラ)
 オペラ「サムソンとデライラ」より オリガ・サヴォワ
 バレエ「病めるばら」 ウリヤナ・ロパートキナ イワン・コズロフ
   おととし観たときよりも、ずっと良くなっていました。
   ロパートキナは私の中では「雪の女王様」というイメージなので、
   「母性」とか「生々しい女らしさ」を削ぎ落とした作品だと、彼女は本当に神々しい。
 「ウィーンの森の物語」(オペラ) ラリサ・ユージナ
   彼女の超高音に眠気も吹き飛んだのか、面を上げる人が多かったです。
   傾斜の少ない平土間席にいたので、一気に舞台が見にくくなりました(笑)
 バレエ「バヤデルカ」 タチアナ・トカチェンコ ダニール・コルスンツェフ
 オペラ「トスカ」より ウラジーミル・ガルージン
   アンコールの「トゥーランドット」もですが、もうプッチーニの音楽は本当にきれい!
   この歌手で聞けて本当に良かったです。 
 オペラ「パリアッチ道化師」より ウラジーミル・ガルージン
   ここら辺からもうガルージンの独壇場で、
 アンコールに 「トゥーランドット」の“誰も寝てはならぬ” を披露してくれました。
   個人的にはこれが今日一番のパフォーマンスです。余韻に浸りたかったので、この日は歩いて帰宅しました。
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# by jicperformingarts | 2007-12-24 19:00 | 公演の感想(オペラ)

12/16 ノヴォシビルスク国立オペラ劇場 「バヤデルカ」

     ニキヤ/ナタリヤ・エルショワ 
     ソロル/エフゲニー・イワンチェンコ
     ガムザッティ/アンナ・アジンツォーワ


 イワンチェンコはマリインスキーからのゲストです。ので結局このプルミエの主役ダンサー4人の内、生え抜きはナタリヤ・エルショワ一人ということになります。確かにこのカンパニーは男性陣が弱いので(というかカンパニーの水準の差は女性よりも男性陣のほうに露骨に表れるからなんですが)、ソロルの大技が多いこの演出でゲストを呼ぶのは仕方ないこととは思いますが、次は自前のキャストでプルミエ公演が行えるといいなあと思います。
 その唯一の生粋ノヴォシビルスクっ子のエルショワですが、クラシックとしてもそう見劣りしないレベルだし、なによりきちんと演技できるダンサーなので、良かったです。一方イワンチェンコは…立ち居振舞はちゃんとワガノワなのですが、演技が適当でした(笑) とはいえ、サポートにもソロの大技にも不安は全くないのはさすがです。
 ガムザッティのアジンツォーワは、やっぱりフェッテはグラグラなんですが、気位の高さがちゃんとガムザッティでした。一幕2場のニキヤと言い争う場面では、ニキヤに自分の婚礼用のティアラを見せることが多いのですが、このバージョンでは代わりにハイ・ブラーミンが置いていったニキヤのヴェールを使います。こうすると「聞いたわよ、私の未来の夫と付き合ってるんですってね」的なせりふが浮かび上がってきて、うわあ怖!と思いました。
 黄金の仏像は両日ともロマン・ポルコーブニコフでした。初日は結構ぐらついてましたが、二日目はミスなくまとめてきました。いかにも黄金の仏像要員な彼なので、当然のように喝采を浴びていました。
 ここがこの街唯一のオペラ劇場なので、当然市民の大部分はこの作品は初見なわけですが、最初に観たバヤデルカがこれなら運がいいんじゃないかな、と思います。大層失礼ながら、まさかシベリアでこんなバレエが観れるとは、と思ってしまいました。2日通してみると、キャストがほとんど重複しているので、まだまだ層は薄いのかな~という気はするのですが、コールドもきれいだったので、5年後に期待です。
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# by jicperformingarts | 2007-12-16 18:30 | 公演の感想(バレエ)

12/15 ノヴォシビルスク国立オペラ劇場 「バヤデルカ」 

      ニキヤ/エレナ・ヴォストロティナ
     ソロル/イーゴリ・ゼレンスキー
     ガムザッティ/クリスチーナ・スタロスチナ


 芸術監督を務めるゼレンスキーが演出も手がけて更に主役も踊るというプルミエ公演でした。この公演を見た日本人はほぼ皆無だと思うので、ちょっと詳しめに感想を書きます。
 まず演出に関して。2幕までは至って正統派ですが、3幕はちょっと変わっていて、結婚式の場面はなしで、影の王国からそのまま寺院崩壊になります。自分から天罰受けに行ったように見えるので、「ほんっとソロルってどうしようもない男だよねー」と言おうとしたら先手打たれました(笑)転換の都合上、影の王国が森の中という設定なので、まるでインド版ジゼルです。でも装置がとても良かったので、この3幕はとても気に入りました。
 装置はグルジア人のダヴィド・モナヴァルディサシビリ。舌かみそうです(笑) グルジアの血でしょうか。装置が本格的にアジアで、アジア人としてはおおっと思いました。ユニークだと思いますし、森の装置が本当に森のにおいがしてきそうで素敵でした。衣装はロシアでは有名なバレエ歴史家・デザイナーのアレクサンドル・ワシーリエフです。遠目に見てると悪くはないのですが、スパンコールがまんべんなくキラキラ、とか縁取りが単調とか、のっぺりした印象で、オペラグラスでじっくり観る楽しみがなくて残念です。あとは、ソロルの衣装だけが嫌がらせのように変でした(笑)
 ダンサーに関して。ニキヤを踊ったヴァストロチナは元マリインスキーの期待の星で、今は移籍してドイツのドレスデンで踊っています。巫女らしい神々しさはないのですが、年頃の女の子という感じで、かわいらしいニキヤでした。3年ほど前に彼女の「白鳥の湖」を観た時は、血の気が全く通ってないようなお人形さんタイプに見えたので、だいぶ成長したんだなあと思いました。3幕では足音がほとんどしなくて、クラシックとしての品格も保ってるし、跳躍のときも身体能力をひけらかすこともなくて好印象でした。
 そしてソロルですが、う~ん、偉そうですね! 戦士という設定なのですが、将軍とかにしか見えません(笑)威厳ありすぎて、純愛はどうかな~と思ってたのですが、実はその威厳が崩れた瞬間が印象的になるのでよかったです。
 ガムザッティのスタロスチナはまだ学生なので、ガムザッティはちょっと早かったかなあと思います。やっぱりガムザッティはテクニックになんの不安もない人に踊ってもらわないと、舞台がしまりません。それでもジュテは軽やかで素敵だったし、精一杯演技していて、応援したくなる子でした。 
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# by jicperformingarts | 2007-12-15 18:30 | 公演の感想(バレエ)


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