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ロシア:劇場のしおり


旧ブログ名:『サンクト・ペテルブルクからのひとこと日記』■サンクト・ペテルブルクやモスクワを中心に、ロシア各都市の劇場トピックスなどをご紹介しているJIC旅行センターのブログです。
by jicperformingarts
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2019.12.28(夜)モスクワ・クラシック・バレエ『くるみ割り人形』


ナタリア・オグネワ
アルチョム・ホロシロフ

 工科系の大学内に劇場があり(多分普段はフォーラム会場なのでしょうが)、学生さん達がパンフレットなどを販売し、そして受付で1000ルーブル(≒1700円)で手書きのチケットを買うという公演でした。ロシア、大分ヨーロッパ化したと思っていましたが、まだまだ奥が深いです。

Photo: JIC旅行センター
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 「モスクワ・クラシック・バレエ」は海外向けの名称で、ロシアでは「カサトキナ&ワシリョーフ・バレエ」の名前で呼ばれています。直近では2017年に来日しています。そこまで来日頻度は高くないですが、かつてイレク・ムハメドフやウラジーミル・マラーホフも在籍していた、ロシア国内でも名門のバレエ団です。モスクワの3~4番手とはいえ、ボリショイ・モスクワ音楽劇場に次ぐレベルなので、ダンサーのレベルは高いなと思いました。全体に、男女ともに脚が高くあがるダンサーが多く、そういう振付が好まれているカンパニーでもあるようです。
 
 今回、会場の奥行きが足りなかったせいか、装置はほぼ背景幕のみでしたが、HPを観ると、オリジナルの装置は豪華なようです。
 ウラジーミル・ワシリョーフとナタリア・カサトキナの演出は、古典演出ではありますが、なかなか独自色が強いです。くるみ割り人形が大きめの人形で、ローラン・プティ版の『コッペリア』のように、ドロッセルマイヤーが自らの四肢に括り付けて、二人羽織風に踊ったりします。第一幕の人形も、ハレーキンとコロンビーヌまではまあ普通ですが、その次には、壊れた女性の人形と小熊(巨大ネズミにも見える着ぐるみ)が登場します。また、ネズミの王さまを女性が踊ります(女王様)。手下のネズミたちに担がれながら開脚を変形させていったり、宙を舞うなど、結構音楽に合っていて、これはこれでいいなと思いました。マーシャと王子の関係にしても、ネズミの女王様を撃退したところから、既に恋人同士のような甘やかさがあるのですが、ラストでは、誰設定にしたのかわかりませんが、現実に戻ったマーシャの前に、人間界の青年として王子が現れ幕、ということで、一片の曇りもないハッピーエンドです。
 
マーシャのオグネワは、演出もあるのでしょうが、第一幕は若作りというか、ベテランにミュージカルの子役をさせるような違和感がありましたが、第二幕は、やはりメリハリは付けすぎの感はあるものの、きちんとクラシック・チュチュが似合う踊りです。
 王子は、アルチョム・ホロシロフ。立ち姿はしっかり王子ですが、マネージュなどを存分にできるほど広い舞台ではなく、大技は抑え気味でしたが、特に回転の際に怒り肩気味になるのがなあです。

 そしてドロッセルマイヤーが踊りまくります。アンドレイ・ボリボトは、なんだか北斗の拳に出てきそうなビジュアルで、ポーズなどはかっこいいのですが、アントルッシャが汚いのが残念です。
 また、このバージョンは、フリッツがマーシャと仲良しです。以前モスクワ音楽劇場にいた(現在はボリショイ・バレエの団員リストに名前がありますが)セルゲイ・クジミンが踊っていましたが、舞台が狭いので跳躍の高さでアピール!でしょうか。第二幕のパ・ド・トロワ(フランス)も踊っていました。
 第二幕は、おおむねワイノーネン版準拠でしょうか。雪の精のソリストでも活躍したエカテリーナ・シナンチエワの東洋の踊りも神秘的で良かったです。中国の踊りの男性を踊ったウラジスラフ・ドゥベンコは、荒いですが、荒ぶる感じが新鮮でよかったです。

Photo: JIC旅行センター
大学内での公演でした。本当にここで良いのか…とドキドキしながら向かいました。笑
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# by jicperformingarts | 2020-01-04 18:20 | 公演の感想(バレエ)

2019.12.28(昼)ボリショイ・バレエ『くるみ割り人形』オブラスツォーワ&ツヴィルコ

エフゲーニヤ・オブラスツォーワ

イーゴリ・ツヴィルコ

毎年ボリショイ劇場の年末年始は、怒濤の『くるみ割り人形』祭りですが、今年一番観たかった組み合わせで観られて満足です。 

オブラスツォーワはいつまでも少女らしい容姿ですし、演技も辺に若作りして浮くところがなく、第1幕から少女マーシャとして自然です。古典バレエとしての自然な演技と、端正な技術のバランスがよく、いつまででも幸せな気持ちで観ていられます。サポートされている時も、跳んでいる時も、腕が綺麗なのもあるでしょうか。

ツヴィルコは、ピルエットの時のルティレがあまり綺麗ではないですが、どんどん加速して重量感も増していくようなコーダのピルエットはお見事。いい意味で踊りに重みがあり(ジャンプの着地音は小さいです)、この重みが存在感に繋がっています。

 ドロッセルマイヤーは、ヴィタリー・ビクティミロフ。ボリショイのドロッセルマイヤーには、いつも脚さばきの美しさに惚れ惚れされますが、今回は小芝居時の観客へのアピールが強く、舞台の世界と観客の世界を行き来するトリックスター的な存在にふさわしかったです。

 この演目では多数の人形が出てきますが、人形という設定なので、みなさんフレックス(くるぶしを曲げる)のことが多いですが、ボリショイ・バレエの皆さんは、フレックスですら脚が大変長く見えます…。

1幕の人形は、ハレーキンがイワン・ポドドゥーブニャク、コロンビーヌがクセニヤ・アヴェリナで、あまり人形ぶりは強調しない振付です。続くムーア人の人形は、グリゴロヴィチ版では赤い衣装の悪魔の男女で、タチヤナ・チリグーゾワとゲオルギー・グーゼフが踊りました。うーん、ここまで男女で似た動きさせるならもうちょっと揃っていた方が盛り上がるような。

第2幕は、グリゴロヴィッチ版では、男女1名ずつ5組10名で各国の踊りが踊られます。スペインのクセニヤ・ジガンシナはぎゅるぎゅる回ります。軸がゆがんでも回ってるうちにまっすぐに戻ります。

そのほか、ロシアの踊りでは、普段はついつい動きの派手な男性の方に目が行ってしまうのですが、この日ロシアの女性を踊ったアンナ・バルコワは活力に溢れていて、上背があるせいもあるのでしょうが、10名全員で踊るところでも彼女が目立ちます。

葦笛の踊り(フランス)のダリヤ・ホフロワはさすがに上手いです。グリゴロヴィッチ版は、男女同じような振りで踊ることが多いので、女性に高い技術が求められますが、ホフロワにとってはなんてことないようです。お相手のアルトゥル・ミクルチャンは、踊り全般はさほどエレガントではないですが、跳躍の着地はともかく足音がしないです。

なお、この演出は、宙乗りもありますし、第二幕冒頭、主役二人を乗せて魔法の国へ向かう舟は舞台高く吊るされ、しかもかなり激しく左右に振り子のように揺れるなど、結構危険満載なことをするので、上演される国によっては法規制にひっかかるんだろうな~と思いました。あまりツアーに持って行った話を聞かないのも納得です。



# by jicperformingarts | 2020-01-01 23:05 | 公演の感想(バレエ)

2019.12.29(昼) ワガノワ・バレエ・アカデミー『くるみ割り人形』

アナスタシア・スミルノワ
ジャック・ハーチル

 毎年恒例で、マリインスキー劇場で行われているワガノワ・バレエ・アカデミーによる『くるみ割り人形』です。
 
 スミルノワについては、2019年1~2月のワガノワ・バレエ・アカデミー来日公演でもマーシャを踊っていたので、既にご存じの方が多いかと思います。ピルエットの時に肩が上がる癖は早く直して欲しいな~と思いますが、回転自体は非常に安定しています。また、既に、サポートはまだまだ発展途上の高学年の男子生徒(カヴァリエール達含む)を引っ張る頼もしさがあり、未来のソリストとして有望なのは間違いなさそうです。
 王子のジャック・ハーチルはスウェーデンからの留学生のようです。容姿はとても美しく、跳躍も高いです。ソロの1回目のザンレールが超垂直で高さもあったので、おお、と思ったのですが、若干尻すぼみ気味、しかしコーダのマネージュで名誉挽回していました。
 小さいマーシャはナタリー(ナターシャ)・フルマン。アメリカ国籍で、2019年のYAGPでも入賞しています。2009年生まれとのこと、ポワントワークはまだまだ発展途上で、一際小柄ですが、早熟といえるほど演技はしっかりしており、ワガノワ比でも年齢相応の生徒という感じがしませんでしたが、あと7~8年かけてバレエ学校でじっくり育てられていけば、印象も変わっていくのでしょうか。
 フランツのニコライ・フィリューシキンは、人形の方のくるみ割り人形も踊っていましたが、フランツの時の悪ガキぶりはさすがです。今日は嫌みなく演技の上手い子役が多かったです。

 ハレーキンはウラジスラフ・ホダセヴィッチ。例年のハレーキンの枠を破る感じでもありませんでしたが、バネのある、膝がきれいに伸びた跳躍の男の子を常に揃えてくるのは、ワガノワの面目躍如なのでしょうか。コロンビーヌはエレーナ・ルィスコワ。こちらはちょくちょく膝が緩んでしまっていました。ムーア人(最近、バレエにおけるポリコレが問題になっていましたが、やはりロシアは欧米の批判にはどこ吹く風)はイタリア人留学生のダニエレ・ブルーノ。もうちょっと爆発力がほしいところです。
 雪のソリストは、ヴァレリア・ベスパロワとポリーナ・チェーホフスキフ。ひたすら跳ぶ役とも言えます。今回かなり舞台に近い席で観ていたため、必死に跳ばないと舞台回りきれなくて大変そうという現実の方が眼に入ってしまい、例年に比べてどうなのかよくわかりませんでした…。

 第2幕はスペインがソフィヤ・ディネルシュテインとレフ・セミョーノフ。えぐい角度の付け方がメリハリ効いてです。東洋の踊りは、エフゲーニヤ・サフキナ。脚の上げ方だったり、音楽はしっかり聴いていると思いますが、もっと陶酔してもいいのになと思います。中国はケイトリン・ジルカとゲンナーディ・オオルジャク。男の子は、跳躍は元気いいですが、打点自体はあまり高くないもよう。フランスは、アリーナ・スタシコワ、ソフィヤ・ロマノヴィッチ、イワン・ヴォルコフと、久々に全員才色兼備で初々しさのある組合せで眼福でした。

 花のワルツのソリストは、4組の中に当然上手い下手はありますが、パートナーに左右されるところも多く、皆様お疲れ様です。下手側の群舞の最前列の女の子が、腕の使い方まで美しく素敵でしたが、来年あたり、ソリストで観られるでしょうか。また、男性群舞の下手側後方に、ルジマトフの息子さんがいました。私も最初は気づきませんでしたが、言われてオペラグラスを観たらお顔がそっくりでした。笑



# by jicperformingarts | 2019-12-31 16:21 | 公演の感想(バレエ)

猫のサーカス: 2019~2020年末年始の公演予定

 猫好きにはたまらないモスクワのククラチョフ猫劇場(通称:猫のサーカス)では、年末年始は「クリスマス・ストーリー」というプログラムを上演します。
仲良くなれる人間が家に住んでくれたらいいなと夢見る、猫に愛されるドモヴォイ(家や家族を守る精霊)のようです。プログラムのお写真はこちら

 古いですが、2008年にこのサーカスに行った時の感想はこちら です。珍しく1月1日から公演があるようですし、また、アクロバットは観てて怖いわ~という方にもお勧めです。公演日程は以下の通りです。


12月24日(火)12:00〜/15:00〜
12月25日(水)12:00〜/15:00〜
12月26日(木)12:00〜/15:00〜
12月27日(金)12:00〜/15:00〜
12月28日(土)12:00〜/15:00〜/18:00〜
12月29日(日)12:00〜/15:00〜18:00〜
12月30日(月)12:00〜/15:00〜18:00〜
12月31日(火)12:00〜/15:00〜

1月1日(水)15:00〜/18:00〜
1月2日(木)12:00〜/15:00〜/18:00〜
1月3日(金)12:00〜/15:00〜/18:00〜
1月4日(土)12:00〜/15:00〜/18:00〜
1月5日(日)12:00〜/15:00〜/18:00〜
1月6日(月)12:00〜/15:00〜/18:00〜
1月7日(火)12:00〜/15:00〜/18:00〜
1月8日(水)12:00〜/15:00〜/18:00〜
1月9日(木)18:00〜
1月10日(金)18:00〜
1月12日(日)12:00〜/15:00〜
1月14日(火)18:00〜



# by jicperformingarts | 2019-12-10 08:08 | 猫のサーカス公演情報

HP更新記録(2019.12.7):モスクワ・ペテルブルク1月公演予定

1月モスクワの公演予定を作成しました。
1月サンクト・ペテルブルクの公演予定を作成しました。

 1月の公演予定を更新しました。ロシアのクリスマスは1月7日なので、年明けしばらくは休暇シーズンで街中も祭り気分となり、劇場の公演数も非常に多くなります。年末年始にロシアへの渡航を検討されている方は、是非劇場詣ではいかがでしょうか。



# by jicperformingarts | 2019-12-07 23:34 | HP更新記録


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