ロシア:劇場のしおり


旧ブログ名:『サンクト・ペテルブルクからのひとこと日記』■サンクト・ペテルブルクやモスクワを中心に、ロシア各都市の劇場トピックスなどをご紹介しているJIC旅行センターのブログです。
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2017.4.17 アレクサンドリンスキー劇場「シンデレラ」(ペルミ・バレエ)

感想の下書きまで書いてずっと放置していたのですが、2017年4月のダンス・オープンにて、ペルミ国立バレエが招聘されてペテルブルクのアレクサンドリンスキー劇場で公演を行ったので、その感想です。

ポリーナ・ブルガーコワ
セルゲイ・メルシン

 海外での知名度はあまり高くないと思いますが、ロシアを代表する現代舞踊の振付家のアレクセイ・ミロシュニチェンコ演出です。舞台を1957年のソ連政権下のロシアに移し、パロディがふんだんに盛り込まれていて、ロシア人観客の受けもとても良かったです。

<第一幕>
モスクワのグラーヴヌィ劇場(ロシア語でグラーヴヌィ=主な、の意)では、全ロシア・フェスティバルのために「シンデレラ」を新制作することになった。当初は、有名な演出家が、フランスのパリ・オペラ座からのフランソワ・レナール(=王子)をゲストに迎え、劇場のプリマ達(=継母たち)で制作予定だったが、空中分解してしまう。結果、新進振付家のユーリ・ズヴェーズダチキンと、新人ダンサーのヴェーラ・ナジェージナ(=シンデレラ)、フランソワで新制作することになる。文化大臣臨席でのリハーサル(当時の検閲プロセスの一つ、四季の精の踊りがこの場面に置き換えられています。またこの文化大臣も、おそらくエカテリーナ・フルツェワのパロディで面白いです)も無事に通過。

<第二幕>
本番も大成功でヴェーラとフランソワは恋に落ちる。しかし、公演成功を祝うクレムリンでのパーティー(=舞踏会の場の延長)のちょうど12時、KGB職員が現れ、ヴェーラにスパイ容疑ありと告げ、フランソワに24時間以内の国内退去を命じる。

<第三幕>
騒動後もヴェーラはグラーヴヌィ劇場に留まることが出来たが、スペイン、トルコへの海外公演(王子がシンデレラを探す旅がこの海外公演に置き換えられています)への参加は許可されず、一人留守番となる。ツアー中、フランソワは同行していたユーリに、ヴェーラへの手紙を渡してくれるように頼む。ヴェーラは手紙を読んで喜ぶが、しかし、意地悪なプリマによって、文化大臣の前でその手紙の存在を暴露され、ついにヴェーラはモロトフ(現在のペルミ)の劇場へ転任となる。ユーリがヴェーラを追ってモロトフへやってくる。二人は、信頼関係をはぐくみ、結婚する。

 結婚相手がフランソワではなくユーリというところは、御伽話にあるまじき結末ではありますが、第一幕から、ユーリがヴェーラに思いを寄せているのがわかりやすかったのと、どこかユーリもヴェーラもおどおどしていて似たもの同士の雰囲気だったので、唐突さはありません。あの時代はそういう夫婦もたくさんいたんだろうな、と説得力があります。

 粗筋はざっくり上記のような感じですが、舞踊的には、第二幕のシンデレラ初演の劇中劇がと、ヴェーラとフランソワとデート(=舞踏会の王子とシンデレラのPDD)がハイライトでしょうか。前者は、ロココ風の衣装・装置がとても華やかです。なお、仙女の役は、劇場で長年働くトウシューズ職人に置き換えられていて、この職人と、彼がプレゼントしたトウシューズに励まされて初演を乗り切る、ということになっています。
 後者は、リラの花咲く月夜のアレクサンドロフスキー公園を散歩しながら、フランソワが風船をプレゼントしたりと、なんとも健全な昔ゆかしい、マイナスイオン溢れるパ・ド・ドゥでした。なお、振付自体はほぼクラシックですが、KGB達のいい加減な足取りの踊りは面白かったです。

 ヴェーラ=シンデレラ役のポリーナ・ブルガーコワは、スタイルも良く、ほどよく筋肉質な脚が美しいです。ポーズの一つ一つ、特にリフトされている時のポーズが綺麗です。スパイ容疑をかけられて、フランソワと引き裂かれるところは、さすがに舞踏会で魔法が解けちゃう~レベルの話ではないので、迫真の演技でした。当時スパイ容疑をかけられるということが何を意味するか、生々しい記憶も持つ観客も少なくなかったようで、この場面は客席の空気も少し違いました。

 フランソワ=王子役のセルゲイ・メルシンは最近ちょっと珍しい男らしい踊りです。自信たっぷりそうなオラオラ系の演技で、パリ・オペラ座らしい雰囲気はまったくありません。笑 ブルガーコワとのパートナーシップあってのものですが、サポートがとても上手で、シンデレラの劇中劇での、空中での2回転半のリフトや、夜の公園での場面でのリフトなど、自然と客席から拍手が起きる鮮やかさです。



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by jicperformingarts | 2017-07-31 07:44 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)
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