ロシア:劇場のしおり


旧ブログ名:『サンクト・ペテルブルクからのひとこと日記』■サンクト・ペテルブルクやモスクワを中心に、ロシア各都市の劇場トピックスなどをご紹介しているJIC旅行センターのブログです。
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2017.6.23 マリインスキー・バレエ『Le Divertissement du roi/イン・ザ・ナイト/シンフォニー・イン・C』

現代作品によるトリプル・ビルですが、いずれもある意味クラシックより上品な作品です。楽しめた公演でしたが、マリインスキー・バレエの層の薄さが浮き彫りになった公演でもありました。

Le Divertissement du roi
 意味としては「王様のディベルティスマン」ですが、ラモーによる17世紀後半の音楽に乗せて個々の小品がつらつらと続いていく、ルイ14世時代のフランス宮廷の様子を再現したような作品なので、フランス語のままの方が、作品の雰囲気がよく伝わると思います。
冒頭、いきなりスカート姿の王様と4人の貴族(御学友?)が登場し、荘重で美しくはありますが、現代人の目には舞踊的にはかなり物足りない振付で、これが約30分続いたら退屈だな~と思っていたのですが、その後のオランダ風やらゼフュロスやらの踊りでは、優美さの平均値ならパリ・オペラ座の向こうも張れるマリインスキーの男性陣に合った振付けで、見せ場もそれなりにあり、楽しめました。バランシンの「ルビー」のような手をひらひらさせる振りや、脈絡なく登場するカタツムリなど、微妙なやる気のなさがいいアクセントになっています。
 王様役はフィリップ・スチョーピン。跳躍時の姿勢の美しさやプリエのなめらかさなど、そして生まれ持ったお公家っぽさがこの役にとても合っています。そのほか、4人の貴族の中では、アンドレイ・アルセニエフにコンテンポラリーの可能性を感じました(しかし、目立っていたのは若干踊りがこの作品の雰囲気に合ってなかったからでもあるので、一概に褒め言葉とは言えません)。

イン・ザ・ナイト
アナスタシア・マトヴィエンコ&フィリップ・スチョーピン
エカテリーナ・コンダウーロワ&エフゲニー・イワンチェンコ
ヴィクトリア・テリョーシキナ&ユーリ・スメカロフ

 まずスチョーピン、連投お疲れ様です。そして昨日全幕で主要な役を踊ったばかりのイワンチェンコ、スメカロフもお疲れ様です。
 最初のペアについてはみずみずしさがイマイチで、二組目の似たような踊りになってしまっており、しかし二組目のような円熟味もなく…という印象でしたが、ダンサーのせいと言うよりはこんな日程で踊らせた事務局のせいという気がしなくもありません。
 三組目では、テリョーシキナから熱演したい気持ちは伝わってくるのですが、抑制的な振付の中では時に浮いてしまうというか、もう少し水面下での激情を感じさせて欲しいです。

シンフォニー・イン・C
 マリインスキー・バレエのこの作品は大好きです。4組のペアが、それぞれ男女2人ずつを従えて踊ったあと華やかにフィナーレ、という構成です。
 Allegro vivo(オレンジ)はオスモルキナとジュージン。久々に観たオスモルキナですが、持ち前の明るさが健在でうれしいです。そしてエシャペで2番に立ったときの幅がびっくりする位広くて、コンパスの違いを再認識…。
 Adagio(グリーン)はアナスタシア・コレゴワとアンドレイ・イェルマコフ。コレゴワは、マリインスキーにあっては凡庸なソリストという評価にならざるを得ませんが、全幕主演の翌日でもしっかり踊れるスタミナはあるのだなと思いましたし、それゆえ貴重な人材だと思います。
 Allegro vivace(グレイ)はオレーシア・ノヴィコワとエルネスト・ラティポフ。ラティポフも6月20日までモスクワ国際バレエコンクールに出てたのにお疲れ様です。でもノヴィコワのサポートなら、お疲れでもこなせるか~と思うくらい、華麗な音楽をさくさく裁いていくようなノヴィコワの踊りは、自立していてパートナーへの負担も少なそうです。
 もう一度Allegro vivace(ネイビー)で、ナデジタ・ゴンチャルとアレクセイ・ティモフェーエフこのペアだけイマイチでした。この作品、男性ソリストにとってはそこまでの超絶技巧はないので、安心してマリインスキーの男性ソリストの洗練・優美が堪能できるはずなのですが、ティモフェーエフだけ音の遅れや、着地の乱れが目につきました。この曲は、グレイのAllegro vivaceよりも軽やかさが求められるにもかかわらず、なぜズラータ・ヤリニチとニカ・ツィフヴィタリアというアレグロ向きではない二人(役によってはいいダンサーです)で脇を固めたのかなあ…と疑問です。



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by jicperformingarts | 2017-07-03 07:03 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)
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