ロシア:劇場のしおり


旧ブログ名:『サンクト・ペテルブルクからのひとこと日記』■サンクト・ペテルブルクやモスクワを中心に、ロシア各都市の劇場トピックスなどをご紹介しているJIC旅行センターのブログです。
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2016.12.30 マリインスキー・バレエ『石の花』

ヴィタリー・アメリシコ
エレーナ・エフセーエワ
アナスタシア・マトヴィエンコ
アレクサンドル・セルゲイエフ

 プロコフィエフ音楽のグリゴローヴィチ演出です。元々、ソ連時代にレパートリーに入っていましたが、プログラムによると1991年以降上演されておらず、今年12月6日に復刻上演となりました。グリゴローヴィチ、90歳にして益々御活躍の様子です。

 ロシアのウラル地方の民話を基にしたバレエです。主役の石細工師のダニーラは、領主の家令セヴェリアンから石の花の花瓶を作るように依頼されているが納得のいく作品が作れず、彼の婚約者カテリーナの婚約のお祝いの最中にセヴェリアンが乱入。カテリーナの仲裁により事なきを得るが、逆に美人のカテリーナがセヴェリアンに狙われることに。そんな中、ダニーラは石の秘密を求めて地下の王国へ向かい、そして地下の王国の銅山の女王に見初められる(ここまで第一幕)。
 カテリーナは言い寄るセヴェリアンを撃退した後、ダニーラを探して旅に出る。ジプシーの踊りで盛り上がる市場でばったりセヴェリアンに出くわしてしまうが、村娘に扮する銅山の女王に助けられる。一方セヴェリアンは地下の世界へ沈められる。その後、カテリーナも銅山の女王のお膝元・蛇の丘に迷い込むが、カテリーナのダニーラへの愛と勇敢さに感じ行った銅山の女王は悲しみつつもダニーラをカテリーナと一緒に地上に返す。
…銅山の女王、とてもいい人です(人じゃないけど)。

 あらすじはざっくり上記のような感じです。ロシアの民族舞踊がそもそもアクロバットなので、民族舞踊的にも、クラシック的にも見せ場が多い演出で、とても見応えがありました。

 ダニーラを踊ったヴィタリー・アメリシコは、男性らしい踊りで、この役に合っています。しかし勇壮に踊っているより、悶々悩んでいる時間の方が長く、銅山の女王とのパ・ド・ドゥでは完全に言い寄る側の銅山の女王が主役でダニーラの影が薄いので、このあたりの逡巡もくどくど表現してくれたらいいのになと思いました。
 カテリーナはエレーナ・エフセーエワ。ダニーラとのクラシックなパ・ド・ドゥでは若干地味だったのですが、フォークロアの香り漂うほんのりコケティッシュな踊りの時は、群舞に埋もれないキラキラ感が出てくるから不思議です(同じ印象を『シュラレー』を観たときにも思いました)。しかし、第2幕、鎌を振りかざしつつ(窮鼠猫を噛むレベルの迫力ではない)、「失せろ」とばかりの表情で、顎でクイっとドアを指し示しセヴェリアンを撃退するところは、「ソビエト女性強えぇー!!」となりました。
 銅山の女王は、カテリーナより舞踊上も物語上も重要なポジションにあります。身体の線が美しいアナスタシア・マトヴィエンコが跳躍等見栄えのする技をこれでもかと繰り返すので見応えはありますが、舞台上に君臨するとまでは行きませんでした。音と動きがぴったりはまれば、プロコフィエフの音楽が味方になってくれそうなのですが、少し残念です。
アレクサンドル・セルゲイエフがセヴェリアンを踊りました。ラスプーチンのような風貌で、オフバランスで脚を派手に振り回す動きが怪し気で、彼のキャラクテール的な魅力が存分に発揮されていて良かったです。

 という感じで、主要キャラの4人に十分な見所が与えられているほか、粗筋には出てこない銅山の場面の群舞も華やかでした。また、粗筋では一文で通り過ぎる部分ですが、市場の場面は、定番の古典演目にはないロシアの市井を描いた場面で新鮮でした。民衆の踊り、ジプシーの踊り、スコモローヒ(流れ芸人)と、これでもかという位、踊りづくしです。若いジプシーのナイル・エニケーエフが強烈な存在感を放っていました。オリガ・ベーリクも、まだ入団数年の若手だったと思いますが、ジプシー達を従えて踊る貫禄がありました。また、実は、第一幕は男性群舞の弱さに愕然としていたのですが、第2幕のこの市場の場面では、男性ダンサーも女性ダンサーもとても楽しそうに踊っていて良かったです。
 最近はヨーロッパの劇場のような豪華な衣装・装置がロシアでも増えてきているので、今回の『石の花』の旧ソ連そのままの簡素な衣装・装置はなんともレトロですが、元々、ロシア・バレエは衣装・装置ではなくダンサーの水準で勝負だったことを思い出しました。



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by jicperformingarts | 2017-01-03 07:44 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)
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