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ロシア:劇場のしおり


旧ブログ名:『サンクト・ペテルブルクからのひとこと日記』■サンクト・ペテルブルクやモスクワを中心に、ロシア各都市の劇場トピックスなどをご紹介しているJIC旅行センターのブログです。
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2016.12.29 ワガノワ・バレエ・アカデミー『くるみ割り人形』

ウラーダ・ボロドゥリナ
ルスラン・ステニューシキン

昨年日本公演がありましたが、ワガノワ・バレエ・アカデミーによる『くるみ割り人形』です。主役二人については未来のスター誕生!というほどでもなかったのですが、全体の雰囲気としてはとても良い公演でした。

主役のマーシャはウラーダ・ボロドゥリナ。すらりとしたクール・ビューティーですが、踊りに勢いがありすぎて、ピルエットも、決まるときは鮮やかなものの軸が乱れることも多かったり、また、王子・カヴァリエールの皆さんがサポートしにくそうな印象でした。
王子役のルスラン・ステニューシキンは、今年からボロネジからワガノワに編入してきたばかりだそうです。背も高くて容姿にも恵まれ、立ち姿はとても美しいです。リフトは危なっかしいけど、学生にはよくあることだしこの位ならば…と途中までウキウキしていたのですが、しかし、見せ場の第2幕のパ・ド・ドゥにて、テクニックの致命的な弱さが露呈しました…。跳躍に距離がないのでマネージュ(舞台一周)がなかなか前に進めず、そして普段はきれいに伸びている爪先まで、なぜか跳躍の時は緩んでしまっており、観ていて痛々しくなってしまいました…。しかし、飛距離のある跳躍は現校長のツィスカリーゼの得意とするところなので、これからスパルタで鍛えてくれれば、ロシア・バレエの未来も明るそうです。
マーシャの子役はアンゲリーナ・カラムィシェワ。既に美人さんですが、アイメイクがきつかったので、かわいらしい演技と若干違和感でした。ワガノワ比で、ポワントは弱めで、アラベスクやソテにしても、そこまで脚を高々上げることはありません。個人的には、2~3年生のうちはそこまで脚を上げなくても…と思うので、今後の成長に期待です。

その他、個人的に一番気に入ったのは、トレパックを踊った男の子です。女性2人・男性2人の踊りなので、キャスト表からはレフ・ペトロフかアンドレイ・ラグネンコのうちどちらかわからなかったのですが、公演後知り合いに聞いたところ、ペトロフの方ではないかとのことです。
ハレーキンはイタリアからの留学生のダヴィデ・ロリッキオでしたが、ハレーキンには珍しい力強さがありました。コロンビーヌはアナスタシア・スミルノワ。個々のパを人形っぽくこなしていましたが、もっと演技が大げさでもいいのになーと思いました。雪の精はマリア・ペトゥホワとスズキ・カノンさんでした。二人の踊りの系統はちょっと似ているのですが、スズキ(鈴木?)さんの回転には素敵な余韻があり、ペトゥポワは腰の強そうなダイナミックな跳躍でした。パ・ド・トロワは、マリヤ・コシュカリョーワ、ポリーナ・ザイツェワ、ムーサ・スルターノフ。女の子の片割れは、前述の「そこまで脚を上げなくても…」でしたが、この年齢にして観客席へ笑顔を振りまくことを忘れない舞台度胸は見事でした。

この冬、ボリショイ、モスクワ音楽劇場とで『くるみ割り人形』を観てきましたが、ワガノワ・バレエ・アカデミーの『くるみ割り人形』は物量作戦の勝利というか、第2幕(第1幕2場)ではネズミ約18匹(すみませんとうろ覚えです)に歩兵14人・騎兵8人、そして雪の精32人と、プロのカンパニーにはなかなか難しい、贅沢な出演人数です。これだけの数の少年少女の努力が舞台上に満ちているとなると、そのマイナスイオンたるやという感じです。



by jicperformingarts | 2016-12-31 22:20 | 公演の感想(バレエ)
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