ロシア:劇場のしおり


旧ブログ名:『サンクト・ペテルブルクからのひとこと日記』■サンクト・ペテルブルクやモスクワを中心に、ロシア各都市の劇場トピックスなどをご紹介しているJIC旅行センターのブログです。
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9/15 マリインスキー劇場『スパルタクス』

イーゴリ・ゼレンスキー
ヴィクトリア・テリョーシキナ
ユーリ・スメカロフ 


 『スパルタクス』といえば、グリゴロヴィッチ版が圧倒的に有名ですが、こちらはレオニード・ヤコブソン版です。しばらく、マリインスキー劇場では上演されていなかったのですが、今年2010年7月にマリインスキー・バレエでリバイバルとなりました。あらすじもグリゴロヴィッチ版と少し違いますが、演出上の大きな特徴は、まず殺陣の迫力、それから絵画と重ね合わせる手法でしょうか。
 一幕は、剣闘士達の戦いの場面が繰り広げられますが、ちゃんと舞踊になっているのに、予定調和なところがなく、迫力があります。一方で、主役のスパルタクスの戦いは、(最終幕を含めて)舞踊と言うより、純粋にお芝居の場面であり、こちらはよく盾が壊れないものだと感心するくらい剣が激しくぶつかります。
 そして、要所要所でダンサー達がポーズを決めて「生ける絵画」になると、全く同じ光景が描かれた紗幕が降りて、場面転換となります。もちろん、紗幕に描かれた人たちの顔立ちはギリシャ的なのですが、舞台上のダンサー一人ひとりのポーズ、配置はぴったり揃っています。
 
 ただし、純粋に舞踊としての見せ場は少なかったと思います。主役のスパルタクスは、蜂起を決意する場面でのソロがある以外は、フリーギアとのパ・ド・ドゥが2回ほどです。それだけに、ベテランのゼレンスキーで観れたのは幸運だったと思います。舞台の上で、反乱軍を指揮していてとても自然な風格があります。
 ヒロインのフリーギアは、ヴィクトリア・テリョーシキナでしたが、個人的にはもう少し可憐なタイプのバレリーナに踊って欲しかったと思います。振付けがかなりエキセントリックなので、ただでさえパワフルな彼女が、スパルタクスの亡骸を前に嘆いていると、権力への怒りを客席にたたきつけるかのようです。恐怖さえ感じる域の表現で、カタルシスも何もかもが吹っ飛びました。単に、グリゴロヴィッチ版がレクイエムで終わっているのを引きずっているだけかもしれませんが、死んだ夫へのねぎらいというものは、影が薄かった…。
 このヤコブソン版で、一番のキーパーソンになるのは、スパルタクスの仲間のガルモーディです。将軍の愛妾エギナに誘惑されてスパルタクスを裏切り、機密を漏らしてしまいます。ユーリ・スメカロフは、影のある気性の激しさで適役だったとは思いますが、期待したほどの濃さはなかったです。
 そして誘惑するエギナを踊ったのはエカテリーナ・コンダウーロワ。超の付くクールビューティーなのですが、もう少しフェロモンを放って欲しいです。ガルモーディが破滅する場面では憐憫の表情をみせていたエギナですが、ガルモーディが連れて行かれた途端に大哄笑で歓喜の踊り、という転換はおみごとです。コンダウーロワに、これがぴたりとはまる不健全さがあればと思うと、惜しいです。
 あとは、最期の最期までスパルタクスの腹心でありつづけた黒人奴隷(”アフリカ人”とあるだけで名前はありません)を踊ったコンスタンチン・スヴェーレフのすらっとした美しいおみ脚と、キレのある動きにブラボーでした。
 
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by jicperformingarts | 2010-09-15 19:00 | 公演の感想(バレエ) | Comments(0)
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